8月6日1256。バス車内。 ひたすらに田舎道を走るバス。 前回バスに乗るとそのまま青森県内に入ると書いてしまったが、実際はここから秋田県大館市を経由して秋田県の大館駅まで臨時バスで、そこから運行している奥羽本線で青森駅を目指す。 ひたすら山道を右…
8月6日。0600。 目が覚めるとホテルに居た。一瞬戸惑ったが、昨日の一連の流れを思い出す。横を見ると昨日の女がまだ居て、まだ夢の途中だった。 起こさないようにそっと抜け出し、シャワーを浴びた。熱いシャワーで酔いを覚ます。だいぶ飲んだが、記憶は飛…
西のマゾが死んだ。 それは段々と、夏の暑さを肌が忘れていく、そんな季節だった。あれだけ暑くて嫌だったのに、いざ涼しくなると、あぁ、もう今年は海に行けないんだな、と、哀愁が込み上げてくる。 行きつけのハプニングバー。相変わらず店内は薄暗く、換…
8月5日、1000。翌朝の出発までの時間を考えると残り20時間。一刻の猶予もないが、やるしかない。まずは作戦その1、である。 作戦その①ひたすらナンパ シンプルだが最上。知り合いは住んでいないのでコンパを組んでもらうこともできないからひたすらナンパで…
8月5日0430。 ファミリーマート新庄若葉町店。 寒い。8月とは思えない。寝始めた時に直前にカップラーメンで身体が暖まったからちょっと暑いな、なんて余裕をかましてしまい寝袋を脱いで寝たのだが、体温をこれでもかってくらいに奪われた。 野宿の時に一番…
…おい。おめぇマグロ好きか? えっ、はい。好きっす。 …わかった。じゃあご馳走してやるから、着いてこい。 何年も前の、8月のこと。その時も今日みたいな暑い日が続いていた。 いつものように都内の現場で仕事をしていたものの、現場の施工計画が急遽変わっ…
1630。山形駅に到着。駅前の香澄町という名のエリア。 駅前は巨大なバスターミナルがあり、地方都市の駅としては充分な感じ。 ただ、駅前周辺を散策しても、ありきたりな観光地居酒屋しか存在せず、軽く歩き回っただけで興味を失ってしまった。 居酒屋えきで…
1915。 な、なんなんだこの天気予報は。 携帯の天気予報アプリを開くと、自分が今まさにいるであろう福島県一帯に色鮮やかな赤色の雲が。 もはや日本列島の原型すらないので、アプリを閉じ、ネットで検索し直した。 今夜はまだ福島だが、いずれ向かう予定の…
2022年、8月3日。06時50分。 ファミリーマートの自動ドアを出た途端に襲いかかる熱波。吹き出る汗。真夏の歌舞伎町は朝から暑かった。 東横の凄惨な景色を眺めながら角ハイのプルタブを捻る。 皆が皆、思い思いの格好で寝ている。こんなことができるのはある…
ドラマや映画、小説に貴方は何を求めるか? 息詰まるアクション?謎が謎を呼ぶミステリー? 僕はノンフィクションが好きだ。人間の本質が窺えるような、人間讃歌の作品。平凡で単調な人生を送る人なんてほぼいなくて、誰しもが掘り下げてみると悩みと絶望と…
パンツに穴が開いた。 それはまるで最初から決められていたかのように、そこに穴があった。 用を足す時にパンツを膝のところまで下げた時に私は見つけた。 直径4センチほどの穴。 あぁ。開いてしまった。穴が。 私はつぶやいた。 直径4センチの穴。 すぐに履…
残暑とは ショートパンツの 老人よ 1957年の俳句文芸句集に載せられた星野立子の俳句である。残暑のどの辺がショートパンツで、何が老人なのかさっぱりだが、彼女にとってそれが残暑なのだろう。まぁ、ショートパンツの老人みたいに残暑も嫌だってことなのだ…
走馬灯が見えた、なんて表現がある。死にそうな思いをした時に見るやつだ。 元々は回り灯籠とも呼ばれ、影絵が回転しながら写るように仕掛けが細工された江戸中期頃の灯籠のことだ。 走馬灯が起こる原因は、人は死の危険に直面すると、助かりたい一心でなん…
ガソリンが181円になったり、正社員がリストラに遭ったり、非正規雇用がまかり通ったり、空前絶後の円安で世はまさに世紀末。今回はそんなSFみたいな時代のお話。 2月の東京。港区。 ビル風がダウンジャケットの中にまで忍び込む。通りを歩く人々が少しでも…
当初の開花宣言より早まった東京では、至る所にソメイヨシノが街に彩りを添えていた。歩く人々も足を止めては、その美しさに魅了されている。 日曜日の夕方。少し風が冷たいせいか、いつもより早足で僕はいつものビルに入る。 アルファベット一文字だけ書か…
都内某所。日差しが肌に突き刺さる。蝉の鳴き声は聞こえなかった。 いつもの場所に行き、いつものインターホンを押す。会員制のハプニングバー。外観からはどう見ても分からない。この秘密基地感が好きなんだと常連の一人が言っていたことを思い出す。 中か…
1月3日。8時40分。 東萩駅から電車が走り出す。益田駅で一度乗り換え後、米子駅まで一気に目指す。およそ6時間程乗り続け、54駅を移動する。この日に連れが飛行機で米子に来るとのことだったので、出雲は後日行く為スルーする。 昨日の灰色の日本海とはうっ…
「ここからすぐ近くなんです。」 スタスタと歩く信雄さん。もう78歳なのにあれだけ呑んでこれだけ歩けりゃ元気だな。と背中を見ながら感心した。 2分程歩くと、すぐに信雄さんの実家に着いた。 「ここです。」 と言って信雄さんが入った家は、なんとも立派な…
頼むっ、頼む頼む頼む、、、 ぐわぁー!! 揺れる静かな電車の中で男がもがき苦しんでいた。こんな正月からこの時間に電車に乗るような酔狂な人は他におらず、この男1人だった。 長門駅から東萩駅までの道中、YouTube LIVEで競輪中継を観ながら更に賭け続けたこ…
大西洋はさわやかなブルー。日本海は淀んだ灰色。そんなイメージ通りの海の表情をひたすら眺めていた。千切れた雲の隙間からオレンジの光が隙間を縫うように流れている。日本海沿いの景色をひたすらに眺めることのできる山陰本線の線路を轢いた人のセンスの…
1月1日、15:30。熊本空港に着いた。 元旦初日っていつも飛行機が安い。やっぱり年越し前にはみんな帰郷して、一緒に年越しイベントをこなしているのだろう。集団行動が苦手な僕みたいなのが、こうやって元旦の飛行機に乗るのだ。 地元の熊本県は抜群にアクセ…
年が明けた。 2021年はコロナでワクチン打ったり知り合いが違うワクチン打っちゃったりオリンピックだったりと変化の多い一年だったが、僕といえば淡々と夢の国に通っては夢のない仕事を続け、家に帰ってはYouTubeやらNetflixやら Xvideoやらを廻し観るくら…
6月も半ばに入ると本格的な蒸し暑さが始まった。 僕が住んでいる舞浜は海も近く、熱と湿気を帯びた海風が東京湾から漂ってくる。 都内よりも一段と不快指数が高いだろう。ジメジメって形容詞がピッタリすぎる。 こんな辺鄙な町にもう2年以上も住んでしまった…
おっぱいの形の雲が浮かんだ空を見て、夏の終わりを知った。 という始まりの文章だけがメモとして残っていた。 携帯のメモ機能ってのは、まぁとても便利なモノだよね。皆さんはどのように使っているだろうか。僕の場合は、本や広告にあるグッとくる文章をメ…
『ポケモンマスターに、俺はなる!』 というセリフでお馴染みの大人気ゲーム『ポケットモンスター』の新情報が2月27日、ポケモン公式YouTubeチャンネルで発表。 2006年9月に発売されたニンテンドーDS用ソフト「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」の…
「僕はあいみょんを抱けない。」 日曜日。曇り空。昼の居酒屋。少し薄暗い店内にまばらな客。その中に僕の声明が響いた。 人生において何の接点もない老若男女がこの居酒屋にランダムに集い、そして僕の「あいみょん」を「抱けない」という声が鼓膜を伝い、…
1月6日。 西成の光と闇をずいぶんと満喫したこの数日を振り返りながら目が覚めた。今日も二日酔い。鉄格子がクネクネと、砂漠の陽炎のようにうねるのをみながら、あぁ、昨日も飲み過ぎた。と後悔の念が押し寄せた。 もう正月も明けてしまった。 朝6時。外に…
「おうー!あんちゃんマルフクにおったやん!!」 はまちゃんの声はボリューム調整のつまみが壊れたラジオみたいなデカさだ。とりあえず僕のピンクジャケットではまちゃんも僕のことを思い出してくれたらしい。ぼくとはまちゃんの意外な関係性を知った東さん…
軽い頭痛にうなされながら寝返りをうった。いまの夢はなんだ??知らないおっさんが舌を出している。ぼんやりと目を開ける。一瞬、ここはどこだ?となったのだが、昨日の出来事を思い出し、そしてドヤにたどり着いて倒れ込むように寝たことを思い出した。 窓…
1月5日。深夜0時を回った。 西成の街はどこかしこもシャッターを閉ざし、眠りについていた。その街の街頭の下を、赤い頭とピンクの服がうごめく。 「この辺の飲み屋さんは面白いですよー。ま、私は行ったことないんですがね。」 ヨネさんは行ったこともない…