しらぼ、

松本まさはるがSFを書くとこうなる。

初夢は1エロ2サケ3バクチ  ⑥

 

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1月3日。8時40分。

東萩駅から電車が走り出す。益田駅で一度乗り換え後、米子駅まで一気に目指す。およそ6時間程乗り続け、54駅を移動する。この日に連れが飛行機で米子に来るとのことだったので、出雲は後日行く為スルーする。

 

 

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昨日の灰色の日本海とはうって変わって、目が痛くなるくらいのオーシャンブルー。この写真ももちろん車窓から撮っている。

 


いまにも亀を虐める子供達と海亀とか出てきそうな海だ。海岸線も形や深さが安定していないのだろう、これといって大きな港なども無い。整備された海岸線の多い太平洋側に比べて津波の可能性の低い日本海側の海は手付かずの自然のままになっている。

 


美しい。

 


ぼぅっと眺めながら旅情に浸る。

 

 

 

今回の旅行でなぜ僕が山陰本線に来たか。それは至極単純な話で、まだ島根県鳥取県に行ったことが無かったからだ。日本横断の時は山陽本線ルート、新幹線も高速バスも日本海側は通らないので、ずっと無縁の場所だった。旅を繰り返す度に「まだ行ったことない場所」が限られてきて、あぁ、島根鳥取行きたいなぁ。となった訳である。

 


中国地方は行きづらい。わざわざ行かないと通らない地域だ。だが、だからこそ首都圏のような量産型センスの無い建物も乱立しないし、豊かな自然が残っている。中国地方とはよく言ったもので、ある意味日本っぽくない。コンビニもほぼローソンしかない。

 


今となっては飛行機で世界中どこにでも行けてしまうから首都が東京で日本海側は田舎なのだが、歴史を振り返ると大陸と一番近く面した日本海側が日本のメインなのだ。

 


1100年間は京都が首都だった訳だし、歴史に関わる多くの人物がこの一帯で生まれ育っている。

 


歴史とか、自然とか文化に興味がない人にとっては魅力がないのかもしれないが。

 

 

 

 


15時08分。鳥取県米子駅に着いた。

連れが空港に来るのは夜なので、それまでは米子を散策することに。

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駅前の通り。何もない。

 

 

 

 


旅先ではとりあえず

風俗街、飲み屋街を目指すもんだから、まずは周辺の人に声をかけて聞いてみる。何人か聞いてみても、普段は関東に住んでいて、正月に帰省しただけだから詳しくない。と言われてしまう。そうか、世の中は正月なのだ。だが、どうやら朝日町というところが飲み屋街らしく、行ってみることにした。ここからは少し距離があるので、バスに乗る。

 


朝日町。渋い。なかなかいい町並みだ。これが夜になるとまた灯りがついて風情良くなるのだろう。

 

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じごん巣というBARもあった。

九州とか西日本の人はたぶんじごん巣の意味わかると思うのだけれど、今回は伏せておく。気になる人はググって欲しい。


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祝開店。

 


もうこのあたりからどんな感情で写真を撮ったのか、意味不明になる。

 

 

 

一通り見てまわったところで、バス停を目指す。アーケードがあった。正月休みでほとんど開いていない。

 

 

 

 

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しんあいなる日常。

そう。なにか大袈裟なことをするのではなくて、日常にこそ平和があり、愛が生まれるのだ。この写真一枚でブログを一記事書きたくなる。

 

 

 

小腹が空いた。近くに鳥料理で有名な店があると通行人に聞いたので行ってみる。とり料理さんぽうという名の店で鶏そぼろ飯を頼んで食べた。美味い。が、わざわざ訪れて食べるものなのか?疑問が湧く。

 

 

 

お腹を満たした後もまだまだ時間があるので、皆生温泉(かいけおんせん)に行ってみることにした。

 

1884年明治17年)頃、砂浜から180メートル沖合の海面が泡だっているのが漁師に発見され、「泡ノ場」と呼ばれるようになった[9][10]。ところが日野川を流されてくる土砂によって海岸が前進し、「泡ノ場」はどんどん陸に接近してきた[9]。これに注目した地元の事業家・伊島源太郎が温泉掘削を計画したが、実行に移される前に、漁師である山川忠五郎が浅瀬に湧き出る熱湯を偶然発見した(1900年(明治33年)秋)[10][11]。事業家や村が温泉の開発経営を試みたがいずれも失敗し、経営難となった[9]。

これを引き継いだのが米子の実業家有本松太郎で、1921年(大正10年)に会社を設立して福生村(現在の米子市の一部)から土地を買収した[9]。有本は京都を模して街区整理による都市計画をすすめると共に、鉄道(米子電車軌道)、競馬場(皆生競馬場)を整備し、様々なイベントを開催して集客に勤めた[9]。背後の大山と美保湾越しの島根半島・夜見ヶ浜や、隠岐島の遠景などの景観と米子市に近いことから[10][6]、山陰随一の温泉歓楽街となった[12]。

温泉地区が海浜に立地することで、長年にわたって海岸の侵食による影響を受けてきた[9]。特に冬季は日本海からの強風で海浜の侵食が激しく、海岸が一晩で13メートル後退したこともある[9]。20年間で海岸線は60メートル以上後退し、11軒の旅館のうち7軒が水没するに至った[9]。対策として鳥取県が防砂堤や防潮堤を造り、砂州を造成して侵食を食い止めている[9]。

(Wikipedia引用)

 


とまあ地域の発展と苦難の入り混じった歴史ある場所なのだ。そして温泉街ということは、やっぱりソープ街もある。これはやはり行くしかない。ここからバスだと時間がかかり過ぎるのでタクシーに乗り込んだ。

 

 

 

 


少し混んだ道を北上し、15分ほどで到着。

 

 

 

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皆生温泉。なにもない。


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なにもない。


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なにもない。

 

見事に何もない。近くには温泉旅館が何棟か立ち並んでいて、旅館の中で飲み食いやら買い物やら成立するようになっているのだろう。日帰り温泉入る気にもなれないし、タトゥーはお断りされるだろう。

 


2、3件、寂れたソープの建物があったが、特にこれといって味のある雰囲気でもなく、写真も撮らなかった。

 

 

 

結局、戻りのバス停にあった足湯に浸かっただけになった。ぬるかった。売店で買ったアサヒビールはキンキンに冷えていて、青い空、青い海と三拍子揃ったところで一月の風が吹いた。夏ならまだ良かったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 


※ここからは連れが米子空港にやって来たので世俗的な旅行になってるのでダイジェストに進める。

 

 

 

 

 

 

1月4日

米子のビジネスホテルからチェックアウト。

ここから精神18きっぷ出雲市駅に向かう。

(青春18きっぷは複数人でシェアして使うことも可能だから試してみてね)

 

 

 

出雲市駅からバスに乗り換え、出雲大社へ。

古事記で有名で、個人的には因幡の白兎が好き。

 

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正月は観光客が多く、コロナが爆発的に流行ったのだとか。

 


一通り大社を巡ったところで(この合間に競馬ボロ負けした)稲佐の浜へ。

 

 

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(拾い画像)

 


行ったときはバリバリ工事途中だった。

古事記を知らずに来るとクソほど面白くないので、中田敦彦YouTube大学で予習しておいてよかった。

 

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帰りのバス。

本数少なっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出雲市駅に戻り、駅前でのどぐろを食べる。

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金沢は観光地料金過ぎて高いけど、出雲は結構安い。この大きさで1500円くらいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだかんだで時間は経ち、出雲は何も無さすぎるので米子に戻る。

米子でいくつか居酒屋を周り、ハシゴ酒。

朝日町にも行ってみたが、成人式後らしくどこの店もパリピであふれかえっていた。

 


同じビジネスホテルを予約し、就寝。

 

 

 

 

 

 

 


1月5日。早朝。

安い飛行機を取ったので、クソほど朝が早い。最後は余った青春18切符で贅沢に米子空港まで行く。30分くらいで空港へ。

米子空港(米子鬼太郎空港)と記載があったので全く違う空港かと焦ったが、同じ空港だった。同じ空港に呼び名が二つあるとかややこしい。

 


こうして、僕の熊本から鳥取までの僕の旅は終わりを告げた。鳥取砂丘も行こうと思ったのだけれど、米子からあまりに遠かったことと、砂見てもしょうがねえわなってくらい興味湧かなかったので行かなかった。

 

 

 

飛行機が地面を蹴った。一気に空に舞い上がる機体の窓から外を観ると、街が広がり、山々が広がり、日本海がみえた。

 


粒のような街並みの中に人々の生活がある。

いままで踏み込んだこともない地域に、これを書いている今でも、様々な人が生きている。そんな当たり前のことに胸が熱くなる。

 

 

 

1エロ2サケ3バクチ

 

 

 

という目標で旅をした割には酒池肉林みたいなこともなかったし、酒も博打も控えめだった。だが、こんなものだろう。

 


旅先で無理やり変わったことを始めてみたり、無茶苦茶なことをするほど若くはないのだきっと。それよりも、旅先の生活や文化や歴史にフォーカスを当てていく方がどれだけ楽しいか。まぁ、おっさんになったってことだ。

 


こうして人は歳をとっていくのだろうか。勢いが落ちていく様で少し寂しくもあり、見識が深まっていく自分自身を誇らしくも思う。

 


しんあいなる日常。

 


そうなのだ。

日常にこそ、幸せがあり、愛があるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エピローグ

 

 

 

 


1月5日。10時。五反田。

 


昼から開いている中華料理屋で麦焼酎のボトルを入れ、酩酊している僕が壁のいかにも中国って感じの飾りつけのされた鏡に映し出されていた。

 


米子空港から羽田空港に着いた後、そのまま五反田で酒を呑んでいた。既に顔は真っ赤で、医者が見たら絶対にこれ以上飲むな、と言われることは間違いがなかった。

 


酒を飲みながら競馬に賭ける。ハズレ。ハズレ。ハズレ。JRAに仕組まれた様に綺麗に外れる。そしてそれに腹をたたせて酒を呷る。

 


途中から水で割ることも忘れ、ほぼストレートのまま呑んでいる。酔拳とかしたら強そうだ。中華料理屋の主人は、こんな酩酊した客なんて中国でしか見ないだろうから、微笑みながら見てくる。

だがそれが逆に、競馬を負け続けている僕を見て嘲笑っているのではないか、とまで妄想が進み、腹が立つ。

 

 

 

もうだめだ。金が尽きる。

このまま飲み代まで全部突っ込んでやろう。とまで決意していたところで中山11R、正月最初の重賞、中山金杯があるじゃないか。氷の溶けきったグラスに並々焼酎を注ぎ込み、グビリと飲む。喉が焼ける。よし、ここで勝負。

 

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中山芝2000m、17頭。

スクショ画面に全頭は出せなかったがどいつもこいつもそれなりの強さの馬で、何が来るかさっぱりわからない。ハンデ戦で斤量がそれぞれ違うのでぽっと穴馬が来てもおかしくない。データを見ればみるほどわけわからん。酔いが回ってくる。

 


直感と言ってもいいくらいの適当な感覚で一頭決めた。8番レッドガラン。調教が良い。あとは適当に何頭か選んで、いざ勝負。

 

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旅で金を散財したせいで(ほぼ博打)残りで賭けれる金は6000円。銀行口座から賭けるので、流石に手持ちの飲み代は賭けることが出来なかった。もうなる様にしかならん。ボトルも空になり、店を出る。

 


酔いが回ってしまい、記憶がここで飛ぶ。

 


ふと気づいたときは五反田のどこかのラブホテルでうつ伏せで寝ている。胸焼けが酷い。

 


なんだ、記憶飛んでもちゃんと路上でぶっ倒れたりしないんだ、流石だな。なんて思ったけど、大変なことに気づいた。そう、もう金が無いのだ。ラブホテル代すら無い。途方に暮れる。

 


こりゃあ終わった。どうしよう。

とりあえず母に電話して「ラブホテルから出られない」とでも言えばよいのか。そんなバカな話もないだろう。

 

 

 

時計を見る。15時50分。結構な時間寝たらしい。

 


あっ、そうだ。15時35分から中山金杯があったのだ。もし、もしも勝っていれば金が増えてこのラブホテルから出られる。しかし、もしも外れていたらこのラブホテルから出られず、警察のお世話になるしかない。こんなことになるなら、もっと真剣に馬券買えばよかった。

 

 

 

恐る恐る、スマホを開いて結果を見る。鼓動がバクバクと音を立てているのが自分で分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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奇跡が起きた。8-17-4。的中である。

三連単が756.4倍なので、75640円の勝ち。

ラブホテル代どころか、旅行中の負け分も取り返して勝っている。喜び勇んで、冷蔵庫から有料のハイボールを取り出して、飲んだ。キンキンに冷えてやがるっ。

 

 

 

 


1エロ2サケ3バクチ

 


そんな初夢はみれなかったけれど、楽しい正月だった。果報は寝て待てってやつか。