しらぼ、

松本まさはるがSFを書くとこうなる。

初夢は1エロ2サケ3バクチ  ①

 


年が明けた。

2021年はコロナでワクチン打ったり知り合いが違うワクチン打っちゃったりオリンピックだったりと変化の多い一年だったが、僕といえば淡々と夢の国に通っては夢のない仕事を続け、家に帰ってはYouTubeやらNetflixやら Xvideoやらを廻し観るくらいの平凡な一年であった。

 


さて年越しといえば旅でしょ、みたいな感じで今年も元旦から旅行にいくことにした。2021年のつまらない一年を払拭してくれるような、刺激的な旅にしたかった。やっぱり、年の初めはなにか縁起の良いことをしないと。

 


年明けの縁起、といえば「一富士二鷹三茄子」である。所説あるがその昔、徳川家康が好きだったものベスト3が富士山と鷹狩りと茄子だったらしい。

 


いや、ちょっと待ってほしい。今は亡き知らんやつの好きなものベスト3とか全く興味ないし、仮に現存するアイドルとかが好きなものベスト3の一つがタピオカミルクティーとか言われても困る。非常に困る。マジ知らんばい。

 


じゃあ何が縁起がいいのか。これは至極簡単な話だ。自分自身の好きなものを3つ挙げればいいのである。だって、価値観ってみんな違うでしょ?

 


ここまで読んで、ははん、タイトルの意味ってこれか。ってなった人、IQ150くらいあるから誇って良い。その辺の刑務所とか兄貴と一緒にあっさり脱獄出来るくらい頭いいよ。きっと。

 


僕の好きなものベスト3は

 


1エロ

2サケ

3バクチ

 


だ。マジで終わってる底辺みたいなベスト3。カイジとかだったら鉄骨渡ってるか、地下深くで労働してる感じだ。

 


こんな初夢狙ってみれるもんじゃ無さそうなので、今回の旅行で体現できれば良いな、そのくらいの気持ちだ。では、前振りもこのくらいにして、早速書いていこう。

 

 

 

 

 

 

 


元日。朝7時の歌舞伎町。路上には大量のゴミが散らばっていて、黒人とゲイとホストと地雷嬢がちらほら。歌舞伎町の安定感はすごい。旅はここから。年末もなかなかにハジけてしまったので数日の間歌舞伎町に寝泊まりしてたのだけど、長くなるので割愛。

 


カウントダウンに知らない外国人達とシャンパンを路上でぶちまけながら過ごした記憶がほんのりとだけ残っている。

 


二日酔いの頭の中で思考を巡らせる。

 


年明けは早速博打といきますか。

 


この早朝から開いてるパチンコもスロットも無いから、インターネットカジノ(通称インカジ)に行ってみよう。

 


インカジとは、現金をオンライン上でチップに替えて、画面上で行われるトランプのバカラとかブラックジャック、カジノにあるルーレットなどをプレイし、増えたチップの増減に対して現金で配当を受け取る、というものだ。

 


もちろん、非合法。だから、その辺に看板でお店の場所の案内も無く、場所が警察に簡単に特定出来ない様になっている。そんな刺激的な非合法賭博場、行かない訳がない。

 


実際に探す事にした。噂ではかねがね聞いていたが、実際に行ったことも無い。どこにあるのかさっぱりだ。路上にいるキャッチに尋ねてみた。20代半ば位の風貌のキャッチの男は場所を分かっているらしく、「お客さん、初めて?」と聞かれ、頷く。男は何者かに電話した後、ついて来てください。と言って歩き出した。

 


彼と歩いて1分もしないところにある雑居ビルの中に入った。地下2階。ビルの看板には何も書かれていない。沈黙を守る扉の脇にはインターホンが付いている。おそらくこのインターホンで人の出入りを管理するのだろう。

 


中に通され、名前を尋ねられる。偽名で構いませんので。と言われたが、偽名なんて普段から用意してないので普通に本名で答えた。今後は名前をインターホンで伝えれば、キャッチに聞かずとも入れるのだとか。

 


中は20坪程の広さで、パーテーションでいくつも仕切られていて、その一部屋ごとにパソコンが置かれていた。その前の椅子に通される。女性スタッフが来た。飲み物を聞かれ、アイスコーヒーを頼んだ。もっと暗闇でタバコの煙モクモクで怖いお兄さん達に挟まれながら博打をするもんだと勝手なイメージを持っていたが、全然違った。下手なカフェより整っている。

 


すぐにアイスコーヒーが運ばれてくる。遊び方が分からない僕に気づいたのか、スタッフが丁寧に使うカジノゲームのアプリを開き、説明してくれた。数種類あったが、とりあえずバカラを選ぶ。スタッフに1万円を払うと、画面上のオッズが13000と表示された。3000円分は初回のサービスなんだとか。

 


バカラはとてもシンプルなゲームだ。

プレイヤーとバンカーに分かれて勝負するゲームで配られた2枚(追加で1枚引く事もできる)のカードの合計の下2桁が9に近い方が勝ち。プレイヤーが自分、という訳ではなく、プレイヤーかバンカーのどちらを選び、そこに賭けるという感じだ。僕の説明で分からない人は、ググればいくらでも出るので調べてほしい。

 


画面上にはどこかのカジノのテーブルが映されていて、プレイボーイの表紙みたいな金髪女が座っている。オンライン上のディーラーの様だ。この映像を通して、様々な国や場所で賭場を開いて賭け事が行われているみたいだ。

 


早速賭ける。

プレイヤーに500円分。とりあえずやったことないから様子見である。

 


30秒くらい経つとベット時間が終わり金髪女がカードを捲る。プレイヤー側。合計14。もう一枚捲る。6が出た。20。つまりゼロだ。

バンカー側。合計で18。つまりバンカー側が勝ちであり、僕の500円が金髪に吸い込まれたって訳だ。

 


それから何度か繰り返していく内にあれよあれよとオッズが消えて10000円に戻った。

 


こりゃあだめだ、金髪にやられたわ。

 


バカラを辞めてルーレットに変えた。

ルーレットは韓国に行った時に体験済みなので賭け方は分かる。(説明書くの省略します)

今度は竹ノ塚のフィリピンパブの子みたいなディーラーが出てきた。

 


僕はだいたい24と27の周りに賭ける。時に理由は無い。自分でラッキーナンバーだと思い込んでるからだ。

 


これまたあれよあれよとやられてしまい5000円に。こりゃあまいった。作戦変更、である。

 


赤か黒かの二択に賭けよう。

勝っても微々たるもんだが、確率は高い。

あっけなく減るのは惜しくなって一回1000円ずすつベットしていく。

増えたり、減ったり、増えたり、減ったり。

なぜかうまいこと辞め時も来ないし、0円にもならない。ただただ時間だけが過ぎる。

 


手持ちが6000円になったところで勝負に出ることにした。全ベットぶち込みだ。勝てば12000円。少しだけ増えて体験もできて満足出来る。負けたら0だけど、しゃあない。元旦の時間の方が貴重だ。

 


そして、僕には策があった。ここまで適当に赤か黒に当てずっぽうに選んでいたが、ふと気づいたことがあったのだ。画面には過去の数字や色の履歴が表示されるのだが、赤が3回連続で来た時の次は黒が来ている。その逆もそうで、このディーラーが回すと必ず4回連続は同じ色が来ていないのだ。

 


そして、手持ち6000円になった今、ルーレットは3回連続で黒が出ていた。唾を飲み込んだ。

 


次は、赤だ。間違いない。

 


赤に6000円ベットする。

なんだ、簡単じゃないか。世の中は確率なのだよ。所詮。いままで適当に選び続けていた自分がなんと愚かだったことか。やっぱり勉強って必要なんだな。小学生の時算数得意で良かったわ。

 


竹ノ塚フィリピンパブ女が転がした球が次第に勢いを失い、ポケットのフレームに数回当たって弾んだ後、球はポケットに収まった。

 


黒じゃなかった。

 


0だった。

 

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そう、ルーレットの盤面の0と00は赤でも黒でも無いのだ。19分の1。

 


0のポケットに入った時、僕のポケットも0になったのである。

 


なに上手いこと言ってるんだ、とぼやきながらチェックアウトした。また来てくださいとスタッフに言われたが、多分もう来ないだろう。

 


表に出てゴミの臭いが鼻につくころには朝の9時になっていた。意外と長くやってたんだな。

 


よっしゃ元旦からギャンブルだぁ。なんて浮かれていたせいですっかり忘れていた飛行機の時間を思い出した。昼から飛行機で熊本に行く。今年も正月から旅に行こうと決めていた。

 

 

 

僕は歌舞伎町を後にした。そう、旅はここから始まるのだ。これから空港に向かい、飛行機で熊本を目指す。

 

 

 

 


つづく。