しらぼ、

松本まさはるがSFを書くとこうなる。

Stay with me

(2016年1月6日制作)


日本時間12月6日に発表された第57回グラミー賞


4冠を達成させたサム・スミス。実は筆者と同い年で、年男。猿みたいな顔してからに。
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最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞を掻っ攫っていったサム・スミスによる、「ステイ・ウィズ・ミー」が世界を圧巻させた事は皆様の記憶に新しいのではないか。

甘い声と独特なメロディが恋心を歌うシンプルなメッセージに深みを与えている。

音楽の世界において、その全てがとは言い難いのだが、ラブソングはシンプルな歌詞で作られる事が多い。なぜなら聴く人には一人一人の恋の物語があって、情景も状況もそれぞれなのである。シンプルな歌詞だからこそ五臓六腑に染み渡る。

ここでもしラブソングで、ダライ・ラマみたいな顔の女の子との出会い~そして別れ~みたいな歌詞でも歌ってしまえば、極端にニーズは絞られてしまう。

おそらくダライ・ラマみたいな子と合コンでもしてた奴か、チベット仏教徒のゲルク派に限られるだろう。

そして例えば日本の歌手などに関しては歌手とアイドルの線引きが非常に曖昧で、歌が上手いだけでは成り立たないのである。寧ろ顔が良いか認知度があれば歌唱力は必要とされない。

つまり世の中で重要なことは顧客のニーズに応えるということである。それだけが唯一人を惹きつけ魅了させる。



さて、



富士蕎麦というチェーン店をご存知だろうか。

近年安倍内閣による抜本的な経済改革を目指す為の円安によって、輸入品の高騰が続き、多くのチェーン店や加工食品等が続々と値上げや食品の質を落としている。

王将の唐揚げ炒飯がもう唐揚げが欠片ほどしかなくて、最早ただの炒飯になっていたり、駄菓子の蒲焼さん太郎のサイズが小さくなって袋の中にエアーポケットが出現したことは皆様の記憶に新しいのではないだろうか。


そんな中、低価格を貫き通していた店がある。それが富士蕎麦だ。アッパレ日本男児のような店である。


富士蕎麦ではなんと、かけ蕎麦が一杯290円という価格で堪能することができる。

健康を第一に考えた防腐剤不使用で店舗ごとに出汁をとったスープの上を、慎ましいネギとワカメが踊るように滑るその姿はまさにフィギュア男子の羽生結弦である。

そして咀嚼するほどに香りの広がる蕎麦。雑味はそこに無い。シンプルな蕎麦だからこそ、五臓六腑に沁み渡る。

これが290円。アッパレ富士蕎麦。




まさに富士というネームがふさわしい。僕はそんな富士蕎麦をずっとリスペクトしていた。








しかし富士蕎麦には特徴がある。それは客層だ。

食べにいった人ならご存知だろうが、圧倒的低価格の蕎麦を食べる客層というのは圧倒的低レベルの客層なのだ。

世の中の所得者をピラミッドで例えるとホントに一段目に店を構えている様なレベルだ。まさに底辺。

そこに墓から蘇ったかのような、干しぶどうみたいな顔したミイラみたいなオジさんが訪れる。

提供している富士蕎麦の技術とそこに群がるオジさんという客層。

明らかにそこには歪みができていた。
この関係が続く筈もなかったのである…












2016年。日本時間1月4日朝7時に新年の初営業を開始した富士蕎麦。



僕の心の中でグルメ賞4冠を総ナメしたあの富士蕎麦が、来てみてびっくり、かけ蕎麦が300円になってた。

これは流石にマズイんじゃないだろうか。いや味は美味いんだけど。

明らかに店の前で券売機で食券を買う客の顔が強張っている。不満、不安、憤り。それがどの客にも顔に出ていた。ダライ・ラマみたいな顔してからに。

たかだか10円と言ってはいけない。これはもう闘いである。そう、富士蕎麦は顧客のニーズに応えきれていないのだ。

するとなにが起きるか。ニーズに応えきれなかった店は廃れる。

客は離れていくのである。事理明白。


そこできっと富士蕎麦経営者は
胸を痛めて歌うだろう














Stay with me 
そばにいてほしい。と。













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とこんな感じでブログ書かせてもらったけど、このシャレはshiraboの読者のニーズに応えているだろうか

どうか、そばにいてほしい