しらぼ、

松本真青がSFを書くとこうなる。

正月企画!青春18きっぷ一人旅 熊本〜大阪 4

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23時33分。

涙を流しながら見える車窓からの景色は、漆黒の闇だけだったが、車内のアナウンスで流れた「広島」というワードが僕の心に小さなともしびを滾らせた。次第に漆黒の中に点々と灯りが見え始め、車両はホームに流れ着いた。広島だ。

 


閑散としたホームを抜け、外へ。風が冷たく頬を叩く。広島駅周辺はオフィス街となっており、チェーン店の居酒屋やコンビニなど、面白味に欠けた街並みで、人もまばらにしか歩いていなかった。

 


よし、ここは過去の戦争の悲惨さ、核原発の恐ろしさをメディアではなくこの目で、更には五感で感じとろうではないか!いざ参らん!原爆ドーム

 


とは微塵も考えずに「広島 風俗」でGoogleマップで検索。でるわでるわ風俗店がゾクゾクと。どうやらこの周辺が賑わっているらしい。

 


ちなみに、日本中旅するときは、この「〇〇 風俗」でググるとだいたいディープな街に行けるので是非。

 


駅前でタクシーを捕まえ、乗り込んで一言「風俗!!!」って言ったもんだからタクシーのおっさんも、うわ、キチガイ乗せてしまったわ、みたいな目でミラー越しに僕を見つめていた。

 


ふぅ、というため息というか諦めた声で「じゃあ、薬研堀の方だね。」とおっさんは呟き、アクセルを踏んだ。

 


10分程タクシーに揺られたところでタクシーはギラギラとした繁華街の中で停まった。

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ふむふむ、ここが薬研堀ですか、と辺りを眺めていると腹が減ってきた。そういえば今日おっとっととおでんしか食べてないな、とりあえず、せっかく広島だからお好み焼きでも食おう。

 


ふらふらを薬研堀を徘徊して一軒の小汚いお好み焼き屋を見つけた。青いひさしに赤ちょうちん。決まりだ。引き戸をガラッ、と開けた。

 

 

 

中にはおっさんが5人おばさんが1人、それとお店の主人のおっさんという面子だった。

 


へいらっしゃい!

 


みたいな勢いはなくて、軽くヨボっとした主人のおっさんがこんばんは、と挨拶してきた。拍子抜け。

 


あ、どうも。

 


カウンターの席に座る。ビールを頼むとまたヨボっとした瓶ビールとグラスが出てきた。うん、ぬるい。でもこれがまた、乙なんだなぁ。

 


とりあえず、お好み焼きと、そこのおでんください。

 


お好み焼きを焼くのもどうせトロいと踏んだ僕は、空腹に耐えかねて速攻で出てくるであろう湯気の立ち昇るおでんの鍋を指した。

 


はいはい、ちょっと待っててくださいね。

 


恐ろしく標準語の店主のおっさんがそそくさとプレートに火をつけ、タネを仕込む。おい、ちょっと待て。おでんはどうした。

 


20分ほどビールをちびちびと傾けながらようやく焼き上がったお好み焼きが僕の面前に出てきた。どうやらおでんは忘れてしまったようだ。

 


一口食べる。うん、ぬるい。

 


そんなぬるめの店主のおっさんと対比する様に、カウンターに座るおっさんは会話がヒートアップしていた。

 


「でよぅ、紳助のやつがよぅ。」

 


酩酊して顔を赤くしたおっさんが先ほどから紳助紳助と、紳助との過去話に花を咲かせていた。他のおっさん共はうんうん、と半ば聞いているフリをしながら、またか、みたいな顔をしていた。そんな周りの雰囲気を察したのだろうか、黙るわけではなく、いきなり僕に絡んできた。

 


「紳助、じゃねえ、おめえさんはどこからきたんだい??」

 


「あ、僕は旅行で来ました。お好み焼き食べたくて。」

 

 

 

「え?こんな汚え店に!?」

 


これには周りのおっさんも皆含めて、こいつキチガイだな!!みたいな顔をされたけど、もう慣れた。

 


それからは広島の地元愛と紳助と時々やしきたかじんの話をループさせながら、僕はお好み焼きをボソボソと口にしながら、おでんはこのまま忘れてもらって帰ろうか、などと逡巡としていた。

 


紳助が釣りで大物を釣った話が3周目を迎えた時、僕は店主のおっさんにお会計を告げた。

 


はい、少し待っててくださいね。

 


また、トロい動きで店主がそそくさ呟く。会計の紙でも出すのかな?と思いきや、大根、卵、白滝の3種のおでんが出てきた。

 

 

 

こいつ、覚えていやがったか。

 

 

 

僕は飲み込むようにおでんを流し込むと、会計を済ませ、そそくさと店の戸を開けた。背後からは3回目のたかじんが生きていた頃の夜遊び事情を語るおっさんの声が響いていた。ちなみに、おでんもぬるかった。

 

 

 

1時間程過ごしたのだろうか。深夜の薬研堀は気温がグッと下がり、足の裏から冷気がゾクゾクと上がってくる。それを振り払うようにして僕はまたブラブラと歩きだした。

 


キャバクラ、キャバクラ、ホスト、キャバクラ。その間をひしめくキャッチの男達。

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おっぱいはいかがですか?ヌキですか?そんな中をシカトして通り過ぎる。けど内心はめちゃくちゃ興奮していた。

 


行く当てもなく彷徨い、疲れたのでコンビニでチューハイを買い、公園の片隅に座る。新年会の後みたいな社会人がワイワイと騒いでいたり、明らかにフェラしてるだろってくらいの体勢てしゃがむ女と男のカップルがいた。散らかったタバコの吸殻。なんとも節操のない街だ。そろそろ寝るか。そんな時だった。

 


「おにいさーん。おにいさーん。」

 


若者が声をかけてきた。キャッチとはちがう声色だったのか、無意識に返事をすると、ツーブロックカリアゲヤンキーの二人組が近寄ってきて話しかけてきた。

 


「おにいさーん、やっぱり喧嘩しにきてるんですか?」

 


は?一瞬意味がわからず思考が止まった。とりあえず、こいつキチガイだな!みたいな目で見てやった。もう1人のキンパツロンゲスウェット(キティちゃんの健康サンダル)が言った。

 


「ぼくたち、喧嘩したいんっすよ!だったら、やっぱりここですよね!」

 

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キチガイ二人組の話を聞くと、どうやらここの公園は昔、喧嘩上等な暴走族やらヤンキーやらのキチガイが集まっては、この広場の真ん中で日々喧嘩を繰り返していた場所らしい。そこで、正月早々キチガイなこの二人組は、酒の力を借りて、いざこの公園に来たものの、いまとなってはパリピ社会人とフェラチオの溜まり場と化していたのだ。

 


「いや、よくわからないね。」

 


一切の感情を消したような声でそう言い返し、僕は立ち上がった。どうですか?僕とタイマンはりませんか?と言われたが、無視した。僕もキチガイだが、こいつらもキチガイだな!正月はこういう訳の分からない奴らが湧いて出るらしい。その場に居ても変な雰囲気になるので、公園を後にした。

 


欲望の渦巻く広島の街、薬研堀。そこにはたくさんのキチガイ共が様々な想いを馳せ、いまとなっても彷徨っているのであろう。

 

 

 

どうせなら、フェラチオ最後まで観たかった。

正月企画!青春18きっぷ一人旅 熊本〜大阪 3

 

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後悔はしたくない。その一心だった。荷物をそそくさとまとめ、駅に出た。ここからの乗客は居ないのか、すぐさま走り出す電車。ホームには3人の影が取り残された。その時、ユウキは言った。


「まっ、さっきの話、ウソなんだけどな。」


「う、ウソだと?マジかよ〜期待して損しちゃったよ〜。」


「ほら、俺徳山に親戚の家があるから、今日はそこに泊まろうぜ。」

 

あはは、と笑う2人を少し離れたところから見ていた僕は、ガクガクと震えていた。

 

 

 

もちろん、一月の寒さではない。見ず知らずの土地にカズの陰謀によって放り出されてしまったのだ。なんもないだろ、ここ。

 


次着の電車が来るまではおよそ2時間程度。ホームで1人待つなんてあまりにもバカバカしいので、僕は徳山を探索することにした。

 

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改札を抜けて表へ。綺麗なイルミネーションの駅前をみると、なんだ、なかなか栄えておるではないか。と少し安堵する。またしばらく歩きつづけてみる。

 

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結局、商店街を見てみるともう、シャッター通りとなっていた。閑散としていて人の姿もない。正月だってのに、なんでこんなに寂れているんだ。田舎の過疎化も本当に深刻な問題だ。

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しばらく歩くと、お、それらしい店があった。寂れた雰囲気と、妖しげに光るネオン。もしかして、、って思ったけれどここは風俗店ではなくてキャバクラだった。どうやらポールダンスのショーなどもやっているようだ。桃太郎、いい名前じゃないか。

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さらに歩くと公園が。徳山市民はイルミネーションが好きらしい。沢山のカップルと、シャボン玉で遊ぶ親子に紛れながらただ1人ぽつねんと佇む僕。リア充公園。なんて正月なんだ。

 


徳山の街は何もない。イルミネーションの光に照らされたリア充と鬼が出てきそうな桃太郎。この街はギャルとかおっぱいとかは無縁のようだ。早く、電車に乗って次の街へ行こう。そう思いながら駅へ向かった。

 

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しばらく歩いていると、ポツンと一軒の屋台があった。そこには、まるでこの街のイルミネーションとは正反対の、小汚い、でもどこか懐かしいような灯りがついていた。灯りに集まる虫の様に、僕は自然と吸い込まれるように暖簾を潜る。

 


『へいへい、こんばんは。』

 


中にいたのは1人の爺さんだった。とても愛想の良さそうな、人当たりの良さが分かる顔だ。おでんの汁をかき混ぜていた。

 


とりあえず、酒を頼んだ。なみなみと注がれたコップが目の前に出される。

一口啜る。ぽうっ、と身体が温まる。そのままおでんを二つ三つ選んだ。

 


『この辺の人じゃあないねぇ、何処からきたんだい?』

 


僕の着ていたピンク色のド派手なジャケットがあまりにもこの街に馴染まないのだろう。やはり旅行客だと分かったようだ。

 


「あ、熊本から来ました。」

 


『へぇ!珍しいねぇ!親戚でもいるのかい?』

 


それはユウキだろ!と思ったけどこの爺さんには分かるはずもないので辞めた。

 


「いえ、鈍行の列車できました。旅行です。」

 


一瞬、なんだこいつキチガイだな!みたいな顔されてしまったけど、そうなんですか、そういうこともあるんですねぇ、なんて適当に相槌をうつ爺さん。わかんなくていいよ、もう。

 

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そこからなんだかんだと会話が弾んだ。爺さんの出身が福岡だとか、この屋台を50年くらい続けているだとか(このときは仕返しにキチガイかよ!みたいな顔してやった)、いろんな人がいるもんだなぁ。と感慨にふけった。自然と杯も進んだ。

 


うぃーっす!

 


背後から暖簾を潜って1人のおっさんがにょろっと入ってきた。爺さんはアイヨっと瓶ビールを置く。どうやら今きた客は常連の様だ。もう何処かで呑んできたのか、いい感じに酔っていて、気さくに話してくれた。僕の電車の話をしたときはもれなく、こいつキチガイだな!みたいな顔になっていた。逆に僕はおっさんに正月は何をして過ごしていたのか、聞いてみた。

 


『いやぁ、オレね、今日が姫はじめだったんですわ。』

 


どうやらこのおっさん、今日の昼間にホテルにデリヘルを呼んで、それが今年の姫はじめだったらしい。もうこのブログのネタの為に登場した人物かってくらいタイミングのいい話だ。思わず身を傾ける。

 


「良かったですね、おめでとうございます。」

 


僕がそういうと、嬉しそうな顔でもするのかと思いきや、おっさんは少し寂しそうな顔になった。

 


『いやぁ、そうでもないんだよ、これが。』

 


空いた瓶を爺さんに渡して新しいビールをグラスに注ぐと、おっさんはその経緯を教えてくれた。

 


おっさんには、いつも指名しているデリヘル嬢の子がいるらしく(残念ながらギャル巨乳ではなかった)、かなりの清楚系、芸能人でいうところのSKE46の47番目みたいな感じらしい。その子が年末年始、しばらく風俗の出勤情報に載っておらず、まさか風邪か?インフルエンザか?などと心配していたが、無事に今日から出勤になっていた。おっさんがデリヘルに電話を掛けて指名して予約を済ませ、いざホテルにその子が来たときには、なんと、いままでの清楚系から一転、めちゃくちゃ派手な金髪に変貌していたそうだ。

 


「最近流行ってますし、いいじゃないですか。」

 


そう僕がフォローしたものの、おっさんは悲しみから怒りの表情へ変貌した。

 


『ちがうんだよ!オレの知ってるアカリ(仮名)は、そんな奴じゃないんだよ!』

 


グイッと傾けて空になったグラスをドンっと叩きつけたおっさん。

 


『アカリは、他の悪い男にそそのかされているんだ!しかもオレに内緒で!そうじゃないと、あんな金髪にはならねぇ!』

 


気持ち悪いおっさんだ、風俗嬢にハマってる気持ち悪いおっさんだ、と思いつつも、その覇気の前にはそれを口にすることは出来なかった。僕にとってはそもそもギャルじゃないし、巨乳じゃないなら論外だわ。

 


そのときは、爺さんはまたいつものコレか、ってな具合の無視で、新聞を広げて読んでいた。きっと爺さんも巨乳ギャルにしか興味ないのだろう。

 

 

 

ごちそうさま。僕は金を払い、爺さんに簡素な礼を告げて暖簾の外に出た。おでん屋はいいお店だった。夜風が冷たくなっていた。首元を縮こませながら駅へと急いだ。腕時計を見る。

 


21時を少し過ぎた頃だった。

 


間に合う。まだ、広島に行ける。

 

 

 

21時21分。ちょうど駅のホームに着いた頃に電車が到着した。広島駅まではここから岩国駅で乗り換えが1回。2時間で着く。つまり、日付は超えないのできっぷの期間内で間に合う。

 


なぜ徳山に来てしまったのか。全てはあの2人の青春18きっぷ共のせいだ。次見かけたら髪の毛金髪にしてやるからな!

 


そう呟き、涙目で車窓の外を眺めると、そこには徳山の綺麗なイルミネーションが瞬いていた。

 

 

 

 

正月企画!青春18きっぷ一人旅 熊本〜大阪 2

1月3日。午前11時。

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元日に熊本に到着してからは、地元の友人と会っては酒を呑み、と楽しい2日間を過ごし、そしていま、僕は西熊本駅に着いた。無人の改札を抜けてホームに出る。冷たい風が肌を刺すが、正月らしい快晴。なんてめでたいんだ。こんな日にまさか電車にこれから十数時間も電車に乗るバカ野郎なんてきっといないはず。

 


列車がホームに滑り込んできた。2両車。小豆色の渋い車体が陽の光を浴びてギラギラとしている。田舎の閑散とした車内、と思いきやまさかの満員電車で、もみくちゃにされながらなんとか乗車。え、こんなに乗るやつおるん???

 


ジャコメッティみたいなポージングのまま博多駅まで行くのかと考えただけで震えが止まらなかったのだけれど、すぐ次の熊本駅で大量に乗客が降りていった。空いた椅子にすぐ座る。車内は一気にまばらに。車両が動き出す。

 


植木、玉名を抜けていく景色は昔と変わらない。しっかし田舎だなぁ。とぼんやりと肩肘をつく。南荒尾。現在も無人ホームのままだ。よく無賃乗車したなぁ。

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1時間ほど列車に揺られ、久留米へ。ホーム向かい側の列車に乗り換え、博多に。ここでようやく30分程時間が空くので博多駅を出た。

 


駅前は正月の雰囲気のままに賑わっていた。

金髪のあの人が喋っていて、写メを撮っていたらスタッフに注意されてしまった。

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そういえば以前にも博多でこんなことがあった。

数年前に東京から電車で向かったときはここ博多駅で終電を迎えてしまい、ラーメン屋も居酒屋もろくに開いてない中でセブンイレブンで豚骨ラーメンを買って路上で食べた思い出がある。東京にも売っているラーメンを平らげ、その辺で寝ていると、親切な通行人に起こされた。


「お兄さん、ここで寝たら危ないですよ?」


優しいサラリーマンに揺さぶられ起こされる。あぁ、すいません、どうもありがとうと言って、僕はまた100mくらい近くの路上にもう一度横になる。

30分程経ち、そろそろ眠りに入ると思った頃にまた、今度は別の人に注意され起こされる。そんな事を何度も繰り返すうちに夜は開け、始発の時間を迎えた。福岡の県民性なのだろう、とっても優しいんだけどありがた迷惑だった。

 


そんな事を振り返りながら、駅に戻った。酒を買い、ホームにやってきた電車に乗り込む。ここから1時間半ほどかけて下関トンネルを抜けた下関に向かう。


長いトンネルの中にいると、耳が痛くなった。


ウトウトしてきた頃、下関に着いた。16時45分。正月の日は沈むのも早く、夕陽が下関の離島に今にも隠れていきそうだった。とても綺麗だ。

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さて、下関といえば、そう!皆さまもご周知の通り、本州最西端の歓楽街である。いずれは行ってみたい、そんな熱い気持ちで悶々としていたのだけれど、ついにこんな機会があったので電車の乗り換えもほったらかして街に出てきたのだ。


下関の歓楽街の歴史を辿ると、意外に古い。1185年、平氏と源氏の最後の戦い、壇ノ浦の戦いが行われた。その時に敗れた平家の女官たちらが生活の為にと売春を始めたのが下関の遊女の始まりとなっている。小鳥になりたいとか鈴になりたいとか言いだして一世を風靡した金子みすゞなんかも、この辺りに住んでいた。

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現在ではちょこっとソープランドが点在しているくらいだが、戦後残った遊郭や料亭の数々がなんともレトロな雰囲気を醸して残っている。

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もちろん、僕はソープランドとかマットプレイとかローション風呂なんてのには一切の興味もなく、歴史あるこの街並みを観にきたのだ。ほんとうだぞ!


とまぁ、そんなレトロな街並みを堪能し、とてもサッパリした気持ちで、下関を後にした。

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列車に乗り込む前に酒とおっとっとを買う。ここからは鹿児島本線から山陽本線に路線が切り替わるのだが、道のりがひたすら長い。下関からストレートに大阪まで向かうと10時間くらいかかる。っていうか、もうその時間に列車は走っていないので、この時点で大阪には今夜辿りつかないという事だ。


だが、青春18きっぷなら問題ない。降車駅を決めずに列車に乗るので、好きな駅にぶらりと降りてしまえば良いだけなのだ。とりあえず時間に余裕をもって、山口県内のどこかでぶらぶらして、最後は広島県に辿り着くプランで行くことにした。旅は気まぐれ風まかせとはよく言ったものだ。


電車に揺られながら外を見た。すっかり日が落ちてしまい、もうさっき乗った下関トンネルと景色が変わらないくらい真っ暗になっていた。


持参していた本を取り出し、読みふける。1時間程読んでしばらく休憩と手を止め、車内を見回した。生暖かい暖房が車内に充満し、少ない他の乗客達が沈黙の中でも存在を明らかにしている様に息をしていた。やけに静かだった。


ふと、僕の前の席に座っている若い2人組の男を見ると、どこか見覚えがあった。そうだ、博多駅のホームで見かけた奴らだ。1人の男が言った。


「てかさぁ、やっぱりこんな鈍行列車で移動するとか、狂ってるよな。」


「うん、マジで疲れたわ、暇だし。」


どうやらこの2人、青春18きっぷで僕と同じ様に旅をしている様だった。会話が気になってしまい、本を開くのを止め、聞き耳をたてた。


「なぁユウキ?中洲、下関、って流れで来たから、次は広島かなぁ?」


一人はどうやらユウキという名前らしい。

そしてこの2人組、おそらく青春18きっぷを駆使して地方の風俗街を回って遊んでいる様だ。なかなかの強者だ。


ユウキはその言葉に少し驚いた様に答えた。


「広島!?カズ、何言ってんだよ、せっかく電車で移動してるんだ、真っ直ぐ広島まで行くのはもったいないだろ!」


ん?このユウキという男、なにを言っているのだろう。広島までの道中にどこか魅力的な場所があるのだろうか?僕は首を傾げた。ネットで調べた限りでは、さして有力な情報は無かった筈だ。


「え??なに?どこ寄るの?」

カズがすかさず聞いた。

 

「…徳山だよ。」

 


「…徳山‼︎?」『…徳山‼︎?』


ゴクリ。と唾を飲み込む音が僕の喉から聞こえてきた。緊張

がカズと僕の中に渦巻いていた。


「そうだよ、徳山だよ。なんでも、徳山にはものっすごいギャルで巨乳のデリヘル嬢がいるらしい。その人気は凄まじいもので、県外からのリピーターもいるらしい。口コミ情報によると、巨乳過ぎておっぱいが3つあるとか、徳山の守神だとかの都市伝説まで流れてるんだぜ…」

 


「…徳山だっ!」『…徳山だっ!』

 


その時、僕の心の声と、カズの声がシンクロした。

 

ユウキとカズの事、今まで知らない他人とか、イカれた青春18きっぷ野郎だなんて思ってしまったけれど、ごめんな。

 


僕たちは仲間なんだ。

 


硬いで結ばれているんだ。

 


腕時計を見る。19時を少し回った頃か。

間も無く徳山駅に電車は着く。

 

ブルッと身体を震わせた。

武者震いがしてやがる。

 

僕は扉がひらくと同時に、徳山の地に降り立った。

 

正月企画!青春18きっぷ一人旅 熊本〜大阪 1

 

年が明けた。

 

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2020年、1月1日。令和に改元されてから初めての正月。世の中は浮かれていた。そして当然、浮かれて軽トラとかひっくり返しちゃう渋谷の街も浮かれていて、そこに住むイカれた住人も浮かれていて、この僕も相当に浮かれきっていた。

 

毎年のこの浮かれきった時期はいつもなら歌舞伎町でおっパブの女の胸の谷間に顔を埋めながら新年の抱負を考えたりしてるのだけど、今年はついに東京を離れることに。


友人に正月に熊本に帰ってこい!との誘いを受け、いつもならアホみたいな飛行機代がもったいないから断るのだけど、なぜか奇跡的に元日の夕方の便が1万3000円で残っており、こりゃしめたわい、しかも羽田空港からやないかい、と勢いで購入。


さて行きますかって時に帰りの飛行機の便を買っていないことに気づいてしまい、膝から崩れ落ちてしまった。慌ててネットで金額を見ても、殆どが2.3万円オーバー。


こりゃあヒッチハイクでもするかって考えたものの、連休中の高速道路の鬼渋滞ではとてもじゃないが東京まで行ける気がしない。よっぽど面白い運転手に巡り会えないと知らない人と長時間気まずい思いを強いられる。

 


となるとやはり、アレしかないでしょう。

 

僕はこんな困難が立ち塞がっても臨機応変、縦横無尽、花弁大回転なわけだ。

そう、青春18きっぷを使うのである。

 

説明しよう!(富山敬風)

 

青春18きっぷ(せいしゅんじゅうはちきっぷ)は、旅客鉄道会社全線(JR線)の普通列車、快速列車が12,050円(大人、子供同額)で1日乗り放題を5回利用可能[1]となる、販売および使用期間限定の特別企画乗車券(トクトクきっぷ)である。

利用期間は学生・生徒がおおむね長期休暇(春休み・夏休み・冬休み)に入る期間で[2]、その開始約10日前から終了日の10日前まで発売される。

春季[7]
発売期間:2月20日- 3月31日
利用期間:3月1日- 4月10日
夏季[7]
発売期間:7月1日- 8月31日
利用期間:7月20日- 9月10日
冬季[7]
発売期間:12月1日- 12月31日
利用期間:12月10日- 1月10日
ゴールデンウィークは利用期間に含まれていない。なお、秋は、秋の乗り放題パス(2012年[8]から[9]。2011年までは鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ)が発売されている。

払い戻しは、利用期間内で5回とも未使用の場合に限り取扱箇所で行える(220円の払戻し手数料がかかる[10])。利用期間が終了した後は5回とも未使用でも払い戻しは受けられない。列車の運休・遅延等による場合など、いかなる理由でも一度使用開始した回(日)の取消はできず、払い戻しおよび利用期間の延長もできない。利用期間が終了したきっぷは5回使用していなくても無効となり、次の利用期間にまたがって使用することはできない。

(Wikipedia引用)

 

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青春18きっぷは結構マイナーなやつであまり認知されていない。もっぱら買うのも鉄オタとかよっぽどイカレタ暇野郎しか使わない。だがメリットさえ理解していればとてつもなく便利なのである。

気合い入れて電車で行けば、ハイシーズンでも東京〜熊本間を2410円で行ける。数年前にはお盆のシーズンにこの技を駆使して帰省したブログも書いたので是非。無くしものをしないようにしよう - しらぼ、

早速僕はホッとして更に浮かれながら、なんなら鼻歌でも歌いながら渋谷駅のみどりの窓口に向かった。

 


「すぅーいませぇーん!」

 


浮かれ暇野郎が受付に声をかける。

 


「はい、どういたしましたか?」

 


正月のくせにクールな窓口のお姉さん。

どうせ職場の同僚がみんな彼氏と初詣とか行っちゃって、それでもアタシは彼氏いないから仕事。正月からシフトに入ってていいことなし。どうせ実家に帰ってもうるさい両親と猫のタマしかいないし。アタシもそろそろ結婚相談窓口でも行ってみようかしら。仕事ですか?みどりの窓口です。アタシの窓口もご用意してますよ?くらい攻めの姿勢でいこうかしら。

とか、ふてくされてるんだろう。僕が付き合ってもいいぞ。

 


「僕で良ければ。」

 


「はい?」

 


うっかり妄想のまま会話してしまったもんだから、完全に変人を見る目で見られてしまった。

 


「あ、いやっ、すいません、あのー、青春18きっぷを買いたいんですけど。」

 

 

 

「ありません。」

 

 

 

「…ンえっ!?あの、青春18き…」

 

 

 

ありません。

 

 

 

やってしまった。お姉さん正月に彼氏と初詣できない上に興味ない男が青春青春言ってくるから怒ってしまったのかな?っと思ったら普通に販売期間終了してた。1日はもう売ってないやん。さっきの説明にも書いてるやん。また膝から崩れてしまった。

 


残る手段は一つ。金券ショップを回って青春18きっぷを買うしかない!渋谷から電車移動して飛行機のチェックインを済ませるまでの時間を計算すると、残り30分。急がねば。

 


携帯で金券ショップの場所を調べる。何箇所か候補が上がってきて片っ端から電話をかける。繋がらない。正月休みなのだろう。寒空の中、額から冷や汗が垂れる。

いや、もしかすると電話に出ないだけで店は開いているのでは、と思い、足を動かす。店舗の前に行くと、どこもシャッターが降りている。営業開始は5日からです。と抜けしゃあしゃあと書きなぐってある。こちとら生活がかかっとるんだ、頼むぞマジで。

 


2、3店舗回った。

 


もう諦めてみどりの窓口のお姉さん口説いて青春18きっぷ発行させる作戦でいこう、なんならお姉さんの分も発行して、さあ、お待たせ、初詣に行こうなんて言って手を差し伸べて一緒に旅に出よう、そして戻るのはみどりの窓口じゃないよ、区役所の婚約届の窓口だよ、とか言えばいけるだろ!ワンチャンいける!ワンチャンワンチャン!ってところまで考えてたら奇跡的にも金券ショップが開いていた。

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そして五枚綴りのは無く、二枚のみ、つまり2日分の青春18きっぷが売っていた。6000円。通常より割高。背に腹は変えられん。急いで買って渋谷駅に向かった。

 

みどりの窓口の脇を通り、山手線のホームへ。


みどりの窓口のお姉さん、すいません、僕はもう旅立つときが来たのです。僕のことは忘れてください。もし運命が、そう、まるでロミオとジュリエットのように、2人をまた呼び寄せるその時が来るまで、さようなら。とか考えてたら山手線逆方向乗ってしまった。慌てて折り返す。

 

空港に着く。
飛行機の手荷物検査ギリギリに入り込んだ。

搭乗口までなかなか遠い。アナウンスが流れる。どうにか間に合った僕は飛行機に乗り込み、指定された席に着いた。

 


機体が陸を離れ、空を舞う。

離れていく東京。

そしてやってくる熊本。

そこからの長い旅。

期待に胸が膨らむ。

 


ポケットの中には、なんとか手に入れた一か八かの青春18きっぷ。だから18きっぷなのね。とか思いつつ、みどりの窓口のお姉さんに想いを馳せ、眼をを閉じた。

 

 

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語 10

 

ここまでの旅を読みたい人はこちら↓

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語1 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語2 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語3 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語4 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語5 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語6 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語7 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語8 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語9 - しらぼ、

 

 

9:00

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外がだいぶ明るくなった頃、クラクションの音が耳に聞こえてきた。今回はバスの揺れに怯えることもなく、深く眠れていた。


外を見ると曇った天気模様の中、多くの車が行き交っていた。黄色いタクシーが多い。かなり発展した地域だ。コルカタには入っているはずなので到着はもうすぐだろう。


T君も同じタイミングくらいで起きた。が、外をしばらく見るなり、とりあえずまだ到着していない事を確認し、また眠り出した。

 

次第にバスが速度を落とし、やがて側道に停車した。片側3、4車線の大通りだ。どうやら着いたっぽい。僕はバスを降り後方に積んだ荷物を取りに行く。一緒に乗っていた少年が荷物を取ってくれたのだが、案の定チップをせがんできた。こういった対応にはもう完全に慣れたのでアッサリシカトする。


僕らを乗せたバスはまた次の目的地に向けて排気ガスを撒き散らしながら走り去っていった。今回の旅では最後の深夜バスになるだろう。遠くに去っていくのをぼんやりと見届けていた。


トイレをずっと我慢していた僕ら3人はすぐさま道路脇の壁に向かって並び、立ちションを開始。まずはJ君、その右にT君。その右に僕。って並びなんだけど、僕の正面でちょうど壁が途切れてて、目の前にはパイプ椅子にもたれた警察官が数人。どうやら交番の裏だったらしい。


あっ、やべっ。

 

って思ったものの素直な僕の股間は堰を切ったようにオシッコを撒き散らした。完全に警察官に向かってオシッコ撒き散らしてるという有様。まぁインドだからなんも言われないだろうって思ったけど、そんな期待も虚しく、オシッコに気づいた警察官がすごい剣幕で僕らの方にやってきた。

 

多分、「オシッコ止めろ!!」みたいな事を怒鳴ってる。


いいじゃないか立ちションくらいって思ったんだけど流石に背中にアサルトライフル背負ってる警察官に囲まれると焦ってきたもんだから、とりあえず常識のない観光客って感じにしてたらすっごい言葉責めをされて解放された。

 

最悪チップとかたかられると思ったから何もなくて安心した。明らかにニューデリーやガンジス周辺、ガヤよりも警察官の態度が横柄になっている感じだ。

 


「とりあえず、何も無くて良かったね!」


って僕が言ったら、T君が顔を青くして、

 

「いや、やばいっす!無いんですよ!」


って言ってるから、ん??コイツは何言ってんだ??状態に。


どうやらT君、さっきのバスの中にケータイを忘れてきてしまったらしい。あ、そっちですか。


インドの旅で撮ったたくさんの思い出もあの深夜バスと一緒に走り去っていったみたい。すっごい落ち込んでるけど、日本とは訳が違うからバス会社もわからんし、追跡手段も全く無く、諦めてもらうしかなかった。


T君、どんまいっす。


とりあえず僕らはこのバスの降り口からまだ数キロ先の空港を目指す。


近くを走るタクシーを止め(というかガンガンタクシーから声掛けられる)、値段交渉。適当に数台のドライバーの値段を聞き、相場を予測してそれなりの値段で決める。この辺の流れはバイタクと共通。


タクシーに乗り込み、走り出す。

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テンションの異様に低いT君。

 

インドって言えばニューデリーの方が有名なのかもしれないが、コルカタの方がかなり発展している印象を受けた。もちろん、僕らの旅したルートで受ける印象も変わるのだけれど。区画整備された碁盤の目の道路が伸び、ひしめく様に建物が並ぶ。

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2.30分程乗って、ようやく空港に到着。乗る便は夜中なので、一度空港に荷物を預けて、コルカタ市内に行こう、という事に。


空港の入り口付近まではスムーズに来れたものの、肝心の荷物の預け場所がわからない始末。

 

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入り口付近のスタッフに聞いても、いまいちよくわからない。おでこ広いし。結局預けるまでに1時間ほどかかってしまった。うーん、難しい。

 

とりあえず飯でも食いますか!と、空港ロビー外のレストランへ。外国人向けなのでビールもバッチリ置いてあった。外がなかなかの暑さだったので、ガンガンに効いた冷房が気持ちいい。


適当にチャーハン的なやつとかを頼み(何食べたか忘れた)酒を飲みながら、どこに向かうか計画を練ることに。

 

とりあえずタトゥーいれようタトゥー!ってなってGoogleマップで調べてみるといくつか出てきた。


とりあえず空港から近い場所に目星をつけて、そこへ向かうことに。外に出て、タクシーを捕まえる。とりあえずグーグルマップを運転手に見せてそこまで送ってもらう。


わずか5分程の位置でここだ、と告げられタクシーは走り去っていった。僕らの目の前にあるのはまだ開店時間前のデパート。せめて開店時間が分かればいいが、時間も分からなければデパート自体が潰れてるかも分からない有様。僕らはとりあえず近くにあるはずの別のタトゥーショップを目指した。

 

途中、薬局らしき店があったので、ダニさされ用の軟膏を購入。ネット情報だと日本の虫刺されの軟膏ではインドのダニ、虫刺されには効き目がないらしい。病気なんかもそうだが、やはり現地のものは現地の薬で治すのが良いみたいだ。


しばらく裏路地をうろついたものの、タトゥースタジオはなかった。どうやら二つ目に目指した場所は誤情報らしい。


僕らはとりあえず空港に引き返しながら他のレストランを覗いたが、酒がないor営業してない店ばかりで、諦めてもう一度空港前のレストランに入った。暑い中を小一時間も歩いたのでレストランのクーラーはまるで天国だった。


先程とはだいぶ客の減ったレストラン。ビールを頼み、飛びつくように飲む。美味い!!やっぱりアルコール大事っす。僕らしか昼からビール飲んでないだろう、って思ったら他のテーブルにもウイスキーを飲んではしょっちゅう表に出てタバコを吸ってるおっさんがいた。


会計を済ませて、外へ。

表にいたさっき見たヘビースモーカーおっさんに声をかけられた。なかなかの酔っぱらい度だ。インドでは珍しい。

 

どうやら他の酒を飲める店を教えてくれるとか言ってるらしい。なんとも親切な。なんか地元コルカタの威勢のいいチンピラおっちゃんって感じ。


とりあえずレストランの脇のジュース屋?売店で使い勝手の悪すぎる2000ルピー紙幣を渡して両替を頼む。しばらく待っても両替を渡して来ないので待っているとその店員は、

 

「金なんて受け取ってない。」


としらばっくれてきた。

やってしまった。両替するのであれば相手が代わりの紙幣を用意してから最後に渡すべきだったのに、先にこっちから渡してしまったので、しらばっくれられた。

 

説得して回収も出来なくはないだろうが、かなり時間かかるのは覚悟しなければならない。


やっちまったーっ。

と途方に暮れたところでヘビースモーカーおっさんが、なんだ?どうした?って聞いてきたんで、一件を話すと、おっさんがポケットから2000ルピー出して僕にくれた。

えっ、なんだ、このおっさん、

神さまかよ!!本当にありがとう!


お店を紹介してくれるという事で、出会って間もないのに親切にしてくれたヘビースモーカーおっさんと共にタクシーに。後から何人か知り合いらしき人が乗り込んできてタコ乗り状態のまま空港から出た。


こういう、いきなり親切にされたりタクシー乗ったら知り合いが後から乗ってくるパターンってのは海外では犯罪に巻き込まれる典型パターンなんだけれど、インドでの生活に慣れてくるといちいち警戒したりする程でもないなって考えに変わってきた。なるようになるさ。


この日何度も通っている大通り沿いを進み、車を止めた。中に入ると少し薄暗いバーのようだった。

 

普通にビールやらウイスキーやらかなりの種類の酒が置いてある。

 

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ヘビースモーカーおっさんの奢りっぽいので、それぞれ僕らは酒を頼んだ。最近ビールばっかりだったのでおっさんと同じウイスキーにした。うん、美味い。ご馳走さまです。

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それからなにかと頻繁に電話が鳴るおっさん。小難しい顔で喋っている様子を見ると、どうやら仕事かなにかのようだ。電話を終えたおっさんはこれから用事があるからここでサヨナラだ。的な事を言って去っていった。

 

バーに長居してもしょうがないので、僕らも表へ出た。おっさんの友達?が外に止めたタクシーに乗って僕らを呼んでいた。とりあえず、タトゥーいれれる所に行ってくれ!と伝えた。


しばらく走る。酔ってるのであんまりどこ走ってるのかはよくわからないまま。しばらく走ると賑やかな通りに出た。車を降り、ダイヤモンドプラザというショッピングモールに入る。

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(拾い画像)

 

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中に入ると、正方形の建物の中心にエスカレーター、周りにいろんな店舗が入っていて、日本にもよくある普通のデパート。PARCOみたいなイメージ。おっさんの友達のおっさん(めんどくさいからおっさんと呼ぶ)に連れられてデパートの上の階へ。


最上階にまで上がると、なんとそこにもバーが。際どい感じの格好の女性が席に着いた。日本で例えるとキャバクラに近い。PARCOのデパートの最上階にキャバクラがあるような強烈な違和感を感じつつ、酒を流し込んだ。


小一時間ほど酒を飲んだ後、店を出た僕らは下の階に。3階に行くとタトゥースタジオがあった。

 

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僕は今回タトゥーを入れるのを断念していたので、J君とT君がデザインを決める。タトゥーを入れるのは少し順番待ちらしい。おっさんもそろそろ帰ると言い出したので僕らは一旦表へ。


ヘビースモーカーおっさんの心の広さについ油断してしまったが、結局着いてきたおっさんの方は案内料としてチップをせがんできた。結構揉めたのだけれど決着もつかないので妥協してチップを払う。まぁ案内してくれたし。


またPARCOっぽいデパートの3階に戻った後、J君とT君はタトゥーを入れ始めた。僕は暇になってしまったのでデパート内を散策することに。

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ゲーセンとかもあった。やろうとしたけれど、ルピーの現金をほとんど持ってないので辞めた。

 


3階にマッサージ店があったので、そこに行ってみると、カードの読み取り機はあるのに、カード払いじゃダメだ!現金でよこせ!とか言われてしまい断念。

 

グーグルマップで周辺を調べるとどうやらこのデパートの横のビルにマッサージ店があるらしい。表へ出て向かってみる。

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なんとも寂れたボロい建物を入るとエレベーターが。ただ、めっちゃ古くて格子状になったゲートのタイプ。途中でぶっ壊れたりしないだろうか。乗り込み、適当な階で降りると、中は廊下が延びていて、部屋がいくつもある。ラブホテルみたいな感じだ。

 

強烈なのは建物の造りもそうだが、頻繁に出入りしているのがまだ10歳くらいの少女ばかりだった。完全にアウトな雰囲気を醸している。


とりあえず一階に引き返すと、受付の様なところがあった。値段を見ると1時間あたり4000ルピー程。約6千円。完全にそっち系のお店だろう。ロリコンでもないし、幼女は勘弁なのでそそくさと表へ出た。

 

ダイヤモンドプラザに戻り、お土産を買う。カルカッタのバザーとは違い、整った商品が並んでいる。

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買い物も長くは時間が潰せないのでタトゥースタジオに戻ると、二人のだいぶタトゥーも進んでいた。あと1時間くらいだろう。


暇を持て余していると、さっきのカード使えなかった店の受付の人が話しかけてきた。どうやらカードでも払えるから来て欲しい、とのことだ。よっぽど店が暇なのだろう。じゃあ仕方ねぇな、と言いつつホッとしながら僕は3階のマッサージ店へ。

 

受付を済ませて個室に入る。完全にそっち系の紙パンツを履いて待つ。あれ?ってかほぼ確定なのだけれど結局エロい格好の女が出てきてご想像通りの展開に。インドのPARCOにはキャバクラもタトゥーもエロエロマッサージ店もあった。

なんでもアリすぎるだろ。


心も体もスッキリした僕が1時間後にタトゥースタジオに戻るとJ君とT君のタトゥーが完成していた。

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なかなかの出来。そして、値段も安かった。デザインの持ち込み等は日にちをとるかもしれないが、ぜひコルカタでタトゥー入れる機会があればダイヤモンドプラザで。


さて、各々目的も済ませたところで、空港に向かうことに。表でタクシーを拾う。夜の10時30分。日本時間では夜中1時半くらい。

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かなりパンチの効いたタクシーで、窓を開けてタバコを吸おうとしたら窓ガラスが外れそうになった。


10分程でまた空港に到着。あとは2、3時間暇を潰して帰るだけ、の筈なのだがここで問題があった。


そう、持ってるガンジャがまだ結構残ってるのだ。流石に検問を突破して日本に持って帰ろうなんてリスクは負えない。じゃあ捨てるか、三人立ち尽くし、そう考えた時だった。

 


「じゃあ、吸いますか。」

 


T君がそう呟く。その瞬間、満場一致で決まった。やっぱ捨てれないっしょ、ガンジャ

 


新聞紙に残ったガンジャを紙にパンッパンに詰めて巻く。最後に形を整えて、完成。周囲を見渡すと、いくら暗いとはいえ警備員がいたるところにいる。空港のセキュリティはバッチリだ。ここで吸うわけにはいかない。


空港の中に入る。どうやら隅のほうに喫煙所があるみたいで、そこに駆け込む僕ら3人。中にはちょうど人がいない。が、ガラス張りのケース状になった喫煙所は完全に周りから見える。


ええい、なんとかなるさ!という勢いでガンジャに火をつけ、3人で回す。焦ってるのも多少あるからか、ガッツリ深く吸い込んでしまい、バッチリ決まってしまった。数分で残りのガンジャも無くなる。この旅もやがて終わるのを感じた。

 

サヨウナラ、ガンジャ

 


喫煙所から出た僕らはフラフラした足取りでとりあえず食べ物を探しに行く。お腹ぺっこぺこだ。だが、あまり店がなく、しらけたカウンターバーがあるくらい。


どうやらチェックインして検査を受けた後のエリアにいくつか飲食店があるらしい。普通に考えたらこのブリッブリで検査は危険だが、もうお腹空いて我慢できないので早速行くことに。


荷物を通し、ボディチェックへ。

以前韓国の釜山港ターミナルでは検査官に呼び出された挙句携帯に撮ったたくさんのアダルトグッズ、ラブホテルのエロビデオ画像を見せるという恥辱を受けたので、あまりボディチェックにいい思い出はない。

 


銃を背負った検査官の前の小さな台の上に立ち、両手を挙げる。チューするんじゃないのってくらい顔を寄せてきたりポケットをチェックしていく。


ガンジャの匂いがしたら多分相当めんどくさいことになるぞ、と思い検査中は息を止める。絶対にキマッてるそぶりをすれば検査に引っかかる。少しの辛抱だ!


とそんな肝心な時だけどやっぱりガンジャ吸ってて愉快全開なもんだから、この検査官の顔がまぁー面白い。

 

なんでこんな顔してんの?みたいな、まるでインド人みたいだな、とか考えてしまうと今度は笑いを堪えないといけない。

かなりしんどい。爆笑したら薬物乱用者系と思われて検査されてしまう。飛行機に乗れるかもわからなくなる。絶対に笑ってはいけない。

 

松本、アウト!になる。


死闘の数分の結果、最後の方はめっちゃ舌を噛んで笑いを堪えて無事終了。

T君とJ君も無事終了。よかった。てかあの検査官顔面白すぎる。

 

無事終えた僕らは急ぎ足で飲食店エリアへ。モモ(肉無しの餃子)の店を発見し、大量に買う。うん、美味い!貪るように食べる僕ら3人の姿は結構いっちゃってる。

 

空腹を満たした僕らは、残りの時間を潰すべく、トランプを始める。旅してて思ったのは、様々な場面で訪れる待ち時間を攻略するにはトランプが一番だということ。もちろん、複数人の旅だが。

 


最後に吸ったガンジャが相当な量だったのか、結局飛行機に乗り込む時もフラフラとしながらなんとか乗り込む。


席は3人並び。飛行機が離陸した時、サヨナラインド!って気持ちになるかと思ってたけど、右も左もインド人ばっかりでカレー臭いからあんまり帰る実感湧かなかった。インド人ってやっぱり臭いな。

 

 

 

 

こうして、僕ら3人の12日間に及ぶ、タイ、インド放浪は幕を閉じた。

タイのバンコクではゲイを払いのけながら酒を飲み、1400キロを超える北インド横断は様々な、強烈な文化と人々と交わりあい、また一つ、成長出来た気がした。

 

そして一緒にノリで旅行に来てくれたJ君、T君に深い感謝を捧げる。

 

 

きっと僕ら3人は思ったに違いない。

 

またいつか、来よう…

 

 

 

 

 


ガンジャでも吸いに。

 

 

 


 

 

 

 


駄文、長文ですが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語9

 

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11/3 10:00

 


いつもより少し早めに起きた時にはまた新たなダニに大量に体を喰われていた。かきむしると血が出るので我慢する。

 


T君もJ君もまだぐっすりと眠りについていた。部屋のシャワーを使うと、前日まで泊まっていたホテルよりも幾らかお湯の出も良い。シャワーの後に大便すると、肛門がはちきれんばかりにヒリヒリとして痛かった。完全に栄養バランスを見失った食生活が祟っている。

 


これだけの期間を異国の地で過ごしてみると、案外英語とか無理でもなんとかなるという感覚が身についてきて、一人でぶらぶらしてみることにした。

 


外に出ていつもの道を歩く。数頭の牛と乞食とすれ違い、数軒のボロい家を通り過ぎる。いつものお店でアイスクリームを買い、頬張る。いつもの味がした。

 


砂埃を立てながら沢山の車が走る大通り、ドマハン・ブッダガヤ・ロード(もちろん後から知った)を無理やり渡り奥の道を進む。携帯で調べた感じだとこのあたりに飲食店やら出店があるようだった。

 


実際に着いてみるとほとんどの店がシャッターを閉めたまま。おっさんが一人、プラスチックの椅子に座ってタバコをふかしている。

 


なんとかカタコトの英語で会話してみると、どうやらほとんどの店が閉店している様だった。昔は日本人の日本料理の店もあったらしい。おっさんの骨董品店は一応開いていたが、客がいない間はこうしてタバコを吸っているようだ。

 


ついでにこれから向かうコルカタまでのバスのチケットの買い方を聞いてみた。普通、このタイミングでチップを渡さないと嘘をつくか、適当な返事しかされないのだが、このおっさんは丁寧に教えてくれた。そればかりか携帯を取り出してどうやらバスターミナルまで送ってくれる人を頼んでくれているようだ。本当にありがたい。

 


骨董品店を見てあげないといけないのかなと思ったら、誘い一つされなかった。とてつもなく優しいおっさんなのか、僕の見た目が余程金の無い旅行者に見えたのだろう。

 


しばらくするとバイクに乗ったもう少しだけ若めのおっさんが登場した。バイク2ケツで早速バスターミナルへ向かう。大通りに出て2、3分進んだ場所にバスターミナルはあった。わりと広く、バスもかなりの台数だ。30台くらいはある。バスに乗り込む人達の姿もあった。

 


受付らしきところで今夜乗れるバスを訪ねると、どうやらあったみたいだ。一人400ルピー。破格値だ。470キロ程の距離を600円で移動できる。

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早速どのバスか見せてくれ!と伝え、案内について行く。

 

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遠目で見て内心「このバスじゃありませんように。」と祈ったバスにぐんぐんと近づいて足を掛けたところで半ば諦めはついた。

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中を見ると前の深夜バスよりも一目瞭然で、ランクがだいぶ低い。


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これ絶対寝るの辛いだろ、ってか途中でブッ壊れないか?と心配しかないが、足元に割れたモニターが無いだけ良しとした。

まぁ、なんとかなるさ。


独断で決めるのは悪かったので、一応動画を撮り、一旦宿に戻ることにした。

 

部屋に戻った頃には12時を回っていた。まだ安眠を貪る二人。

しばらくすると起きたのでバスの話を伝えると二つ返事でオッケーとなった。とりあえずまだチケットを買いに行く時間は有り余るのでトランプに精を出す。

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しばらくトランプで遊んでいると、部屋にノックが。もしや…と思ったらやはりその通り。ビシャールがやってきた。

 


グッモーニンネー!

 


昨夜の落ち込み気味のビシャールとは一転、テンションが高い。多分吸ってから来たのだろう。

 


で、どうやら今日も案内をかましてくる訳ではなく、僕らに案内代のチップをせがみに来たらしい。気持ちだけ欲しい、とのことだった。

 


うろ覚えなのだけど、J君が1000ルピー、僕が500ルピー、T君は全くあげなかった。僕らからすれば充分過ぎる額なのだけど、よっぽど過去の日本人観光客が気前良かったのかビシャールは露骨に、マジかよ、って顔してた。うるさいな、気持ちだろ?文句言うなら金返せ。

 


さすがにこの空気の中でもっとくれ、とはビシャールも言えず、ブダーのご運あれ!とか、シヴァー!とか叫びながら帰っていった。最後までイカれた奴だ。でも、この旅を振り返ると絶対に欠かせない奴だったのも確かで、またいつか会いたいと思った。

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バスのチケットを取り、外の出店で適当にチャイを啜る。だんだんと日が暮れていく。3日ほど滞在したブッダガヤの濃厚な日々を思い起こすとこの土地を去るのは少し寂しく感じる。それと同時に最終日のコルカタではどんな事が起きるのだろうか、楽しみでもある。

 


だいぶ薄暗くなってきた。深夜バスに備えて近くの売店で適当なお菓子や水を買い込む。

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バスターミナルに入り僕らの乗るバスの前に来ると、この薄暗さといい、バスのデザインといい、なんとも不気味である。

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記念にT君に前に立ってもらって一枚。なんかどっかで見たことある絵だなと思ったらこれLDHのHiGH&LOWと同じだ!って気づいたので是非ともここでコラボさせて欲しい。

 

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うん、やっぱり違うかもしれん。

 


という感じで乗り込んだんだけど今回もなぜか二人寝台と一人寝台に分かれていてジャンケン。今度は僕とT君で一緒の寝台になった。あぁ、勝ちたかった。

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バスにエンジンがかかる。前のバスよりもあまりにうるさくてビックリしてしまった。バスが走り出すと共に車体は大きく揺れ、風が吹いてゴミが舞う。カーテンもバタバタとはためく。これがバスだなんて!誰が信じるっていうんだ!!


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とりあえず暇なので、トランプを始めることに。皆カードが飛んでいかないように手で押さえながらの大富豪。

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ラクションが鳴り響き、手で掴まっていないと寝台から転がってしまいそうな中の大富豪。当然ながら1、2回で諦めて辞めた。

 


適当に菓子をぽりぽりと貪り、眠りについた。人間の身体とは良く出来たもので、この荒れ狂う揺れにもだいぶ慣れた。

 

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約471キロ。9時間弱。
起きれば最終地、コルカタに着く。それはつまり、旅が終わりに向かうという事。長く、そしてあっという間のインド放浪を振り返る。そして日本に帰ったら、無事に日本に馴染めるのか心配になってしまう。

 


そんな事を考えているうちに、自然と眠りについた。

 

つづく。

 

 

次回はついに最終話!

警察とトラブったり、チンピラと酒飲んだり、空港でガンジャ吸いまくったまま身体検査を受けることに。無事に帰れるのか!?お楽しみに!

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語8

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印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語6 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語7 - しらぼ、


~前回のあらすじ~

山奥に潜むガンジャ仙人との死闘の末、ボロボロになりながらもかろうじて勝利した僕らは仙人から魔界の剣を譲り受ける。熱い抱擁を交わした後、仙人はゆっくりと瞼を閉じ、シヴァの待つ天へと、ゆっくりと昇っていく…

 

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18:20

もうブリッブリなのでさっきまでどういう絡みをしてきたのかよくわからないまま、西に沈んでいく黄昏を見ていた。きっと、あらすじみたいな感じだろう。

 


僕らを乗せたバイタクは元来た道を引き返していく。もちろんビシャールはブリッブリなので待っていたビシャールの知り合いが運転する。きっと最初からこのつもりで知り合いを連れてきていたのだろう。

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ウーファーから流れる爆音インドトランス。乾いた砂埃。無数のクラクション。頭を揺さぶりながら音楽に溺れるビシャール。そして彼が手に握りしめたリモコンが次々と曲を変えていく。

 


カオスたちを乗せたバイタクは荒れた道を駆け抜けていく。

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砂漠…じゃない、乾ききった河川を渡る時の夕日が綺麗だった。

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こうして今日もインドの一日が終わる。いま頃日本はどうなってんだろう。

 

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ブッダガヤに差し掛かる頃にはどっぷりと暗い闇が訪れていた。ビシャールが指差す方を見ると、昨日見た寺院が光り輝いて見えた。自然と、手を合わせる。

 


19:50頃、ようやく僕らはブッダガヤのビシャールの家に着いた。激しくお腹が空いていた。

 


「何か食べよう!僕がご馳走するよ!」

 


みたいなことをビシャールが言ったとき、僕らは耳を疑った。まさか、そんな筈はないだろう。あの勝手に会計一緒にするビシャールが。きっとまだガンジャが抜けてないのだ、という意見で僕ら一同は一致した。

 


ビシャールの家のすぐ脇に屋台が一台出ていた。まさにインドって感じのクオリティで、近所に住んでいるのであろう人々が料理を頼み、店の主人はせわしなく動いている。

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調理の様子を見ているとめっちゃ適当で、落ちた食べ物とかも3秒ルールみたいになんでも拾って入れてしまう。

 


不衛生極まりないあの料理を食べれば、確実にインドの洗礼を受け、腹を下すだろう。しかし、もうここはヤケクソみたいなもんで、やはり現地人と同じものを食べてみたかった。

 

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卵とキャベツと短く切った焼きそばの麺みたいなのを炒めてソースで味付けした奴。

 

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餃子(肉は入ってない)

 


結構シンプルなんだけどもうめっちゃ美味くてみんなで貪るように食べた。

店主がサービスで水まで出してきてくれたんだけど、すっごい白く濁ってて中に微生物みたいなの沢山漂ってたから一切飲まなかったら、何も知らないJ君がグラス掴んでグイグイって一気に飲み干してた。可哀想だからこれはこの先もずっと秘密にしておこう。

 


飯を食べおわった後に金を払おうとすると、「オーケーオーケー。」なんとビシャールか本当に払ってくれていた。雪でも降りそうだ。そしてどうやらビシャールに何か提案があるようだ。

 


「酒を買おう。」

 


とのことだった。僕が毎日、酒酒酒酒うわごとのように呟いていたからきっと気にしてくれていたのだろう。どうやらビシャールの家の近くで闇ルートの酒、つまり密造酒が手に入るらしい。

 


すっかり暗くなった夜道を黙々と歩く。土壁の家が並ぶ一帯を進んでいく。しばらく歩くとどうやら目的の家についたらしい。全員で行くと警戒されてしまうから一人だけ来てくれ、との事だった。酒の密造も飲酒も犯罪だからだ。

 


酒といったらやっぱり僕が行くかってことでJ君とT君を外で待たせて僕とビシャールで家に入った。入るとすぐ脇にまた扉があり、どうやらそこに人がいるらしい。扉を開けると中には入れてもらえず、さっきまで水を入れていたペットボトルを中のインド人に渡す。

 


ちらっと中を覗くと、じいちゃん二人が密造酒であろう液体を床に座って飲んでいた。顔が赤くなっている。

 


しばらくするとさっきのインド人が酒を入れてペットボトルを持ってきた。1.5リットルのペットボトルの半分くらいの量だ。少し濁っていてポカリみたいな色合い。500ルピーを渡すとすぐさまバタン、と扉を閉めた。案外簡単に手に入った。

 


街灯も一通り無く、満天の星空の下、密造酒片手に僕らはビシャールの家に戻った。

 


とりあえず大量の蚊を線香で殺戮し、ビシャールが持ってきたプラスチックのゴミみたいなコップに酒を注ぐ。

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匂いはあまりしない。一口飲んでみる。うん、不味い。

 


ぬるい梅酒に消毒液と砂糖を混ぜたような味だ。一応アルコールは入ってるようで、ある程度飲むと酔ってくる。そして一気に吐き気が襲ってくる。僕らはウエェウエェ言いながら飲み、ビシャールは美味しそうに飲んでいた。こればかりは日本に生まれて良かったと感じた。

 


※密造酒はかなり危険なので絶対マネしないで!

怖っ…インドで密造酒を飲んだ100人以上が死亡している件 - NAVER まとめ



 

 

 

右手に密造酒、左手にガンジャ

 


密造酒とガンジャを交互に吸っては飲みを繰り返す。カオスの跳満ってところか。いつの間にか居なくなっていたビシャールが帰ってきて、得体の知れない料理を持ってきた。肉をソースで煮込んだ様な料理。

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よく肉が手に入ったなと思ったけど、怖くてなんの肉なのかは聞かなかった。マンチなので早速手づかみで肉を食べていく。うん、美味い。甘辛い酢豚みたいな味。

 


で、結局夜の0時を超えてそろそろ帰るかってなったのだけど、戻って泊まる宿を決めておらず(昼間にチェックアウトしていたのを書いてなかった)、とりあえずもう一回泊まればいいかと思って宿に戻った。

 


宿の入り口までいくと流石に時間が遅くて閉まっていた。隣も宿だったのでそちらを訪ねたら入れた。一人500ルピー。背に腹はかえられない。

 


宿に入ると、まぁ隣と同じクオリティ。なぜかついてきたビシャールも一緒に部屋で寝ようとしていたから全力で断った。良いわけないだろ。

 


寂しそうに帰るビシャール。入り口のドアからそっと覗くビシャール。いいから早よ帰れ。

 

 

 

僕らは貪るようにベットに転がり込み、眠りについた。

 

 


つづく

 


次回はついにブッダガヤからの旅立ち。カオスな深夜バスで最終地コルカタを目指します。