しらぼ、

松本まさはるがSFを書くとこうなる。

年越しはフリーメイソンと共に…

(2015年12月31日制作)


やぁ。今年も早いもので、もう大晦日ですね。みなさんいかがお過ごしでしょうか?実家に帰省して一家団欒コタツとミカンと紅白なんて方や、彼女と一緒にカウントダウンイベントなんて方もいるかと思います。まぁなんてステキな大晦日でしょう!(白目)

そんなこんなで僕は部屋にこもってこうやってブログを書いてある次第です。別に年越しのビックイベントに1人さもしくブログ書いてるのが嫌なんじゃないですよ。ブログ書くのが大好きなんですから年末くらい家で好きなことやって過ごしたいじゃないですか。全然カウントダウンイベントとか羨ましくなんかないからね!

とまぁ部屋で1人で目を三角にしながら怒りを露わにしたところで、今年ラストのブログを書いていくことにしましょう。

まぁ年末ってことで、今年一年どうでしたかと振り返るテレビ番組が多くあるわけです。そういえばこんなニュースもあったなと。振り返るわけです。で、僕なんかもそうなんですけど、今年一年良い年を過ごせたかってところまで振り返るじゃないですか。
運が良かった、悪かった。とか。

じゃあ来年はどうなのかしらと来年の運勢とか新聞とかSNSなんかでもしきりに「2016年占い」みたいなのがあるわけです。

占い。それは人の心の内の運勢や未来など直接観察することのできないものについて判断することや、その方法の事を言います。誕生日占いや手相占いやタロットカードなど数多に方法もあります。それを生業とした占い師もいるわけです。占い師によってはそれはそれは高額な料金の占い師さんもいて、新手の詐欺じゃないかとおもっちゃうんですけど、まぁ救われる人もきっといるわけです。

僕の知り合いにも○美ちゃんという占い師がいます。
僕と同年代の女の子なんですけど、まぁなんかもうトチ狂っちゃってる感が全面に押し出された狂人なんです。確実に人のこと占ってる場合じゃないんですけど、棚に上げて人を占ってます。普通占いを依頼するとお金取ってくるんですけど、まぁ友人ってことで無料で占ってくれる訳です。頼んでないけど。勝手に。

なんか勝手にタロットカードを切っていって、あなたのラッキーアイテムは車です。来年は車買いなさいとか的はずれも甚だしいこと言ってきたり、

まさはる君の前世はダライ・ラマだよ。とか、嵯峨天皇の源氏の末裔だよとか会って聞くたびに前世変わっちゃってたりするんです。しかも源氏の末裔とかもはや一般人だからなクソっ。

で、そんな不思議☆ミラクルっ!な○美ちゃんと先日新宿で久々に再会したんですね。とてつもなく暇だったので連絡とってみたら新宿にいるらしくて会っただけなんですけど。

話きいてみると、○美ちゃんなかなか占いの固定客がつかなくて、生活が追い込まれたあげく現在は風俗嬢になってました。占い師と風俗嬢の二足の草鞋を履いてるわけです。でもなかなか風俗の方も指名してくれる固定客がつかないらしくて困ってるんだとか。

○美ちゃんトチ狂ってる顔だけど顔もスタイルも普通なんだけどなぁと思ったんで、なにが原因だろうって聞いてたら、なんとまぁ出張先のホテルでお客さんに占いとかやってるみたいなんですね。

そりゃそうだ高い金払って女の子呼んだのにベッドの上でタロットカードとかされたら発狂しちゃいますもの。

占い師やめれば人生変わるんでしょうけど、そんなこと微塵も聞き入れてくれないのは分かりきってるんで僕も言いません。

そんなこんなでお互いの近況を話あっていたのですが、○美ちゃん、いますごいハマってる物事があるんだとか。もうすでにものすごい暗黒にハマってるんだけども。


まさはる君、フリーメイソンって知ってる?


あー、そう来ましたか。僕もなんとなく知ってますよ。世界中に存在する謎の組織で、世の中のありとあらゆる物事と情報を操作しているっていうヤツですね。で、実はフリーメイソンのメンバーは世界中にいて、日本にもたくさんいるのだけれど秘密裏にされているとのこと。


でまぁ、全くフリーメイソンとか知らなくて、え?なにそれ?フリーメイソン?どこの片田舎のラブホテルの名前?とか思ってる読者の方に補足で付け加えると、まぁこの画像みたいに三角形とか目玉のマークとかがフリーメイソンの象徴なんですね。

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じつはね、私たちの身の回りにある様々なものが、実はフリーメイソンが発祥の物が多いの。

とまで○美ちゃん言いだしましてね、やれおにぎりが三角なのはフリーメイソンのメンバーが作ったからだとか、手相に三角のシワがある人はフリーメイソンのメンバーになれるとか、ボーリングのピンの並びだとか、三角形のタイル貼りの建築物も全てフリーメイソンが関与してるとか、途方も無いことを言い出すわけですよ。三角形のもの全てにフリーメイソン著作権とかあればまだ納得いくんですけど、そんな訳はねぇ。で、僕も話適当に聞き流して、うんうん言ってたんですね。そしてその日は解散したんです。



それからですよ。僕の住む世界が一変したのは。

いやぁ言葉って怖いですね。三角形がフリーメイソンだなんていうからなんか勝手に三角のものに目がいっちゃって、あぁ、これもフリーメイソン、あれもメイソン…なんて無意識に思っちゃう訳です。もうフリーメイソンに夢中、もうご飯も喉を通らないくらいに夢中なんです。メンバーに是非ともなりたい訳ですよ。

というわけでフリーメイソンのメンバーを探したいんですけど、まぁ秘密裏に動いてますからね。見つからない訳です。


そしてそれから数日経った今日。なんだかモヤモヤしたまま富士そばで蕎麦をたべようかなっておもったんですね。年越の蕎麦でもたべようかねと思いまして。で、店内に入って、とり天蕎麦(400円)を頼んだんです。そしたら店員が、

食券が入り口にあるんで、食券を買ってください。

って冷たく言い放つんですよ。
そりゃあいつもの僕ならなんのこともなく、はいはいと食券を買いにいくんですけどね、なんだかモヤモヤしてますし、コタツもミカンもカウントダウンもない僕の心境に、そんな余裕はないわけです。

え~、いいじゃないですか。ここで払わせてくださいよ。めんどくさい。

鬱憤もモヤモヤも混ぜ込めて店員に訴えかけたんです。すると店員がめっちゃくちゃ怒った顔をして、

だから、食券を買ってください!!

ってめっちゃくちゃ目を三角にして怒ってた。


その時きづいたんだよね。

あぁ、この人フリーメイソンだな。って。





相武紗季の結婚に先駆けて物申す

 

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俳優の相武紗季さん(30)が30日、結婚したことを所属事務所を通して発表した。相手は、会社経営の30代の男性という。
 
 
正直ね、驚きましたよと。
いやね、別に良いとは思うんですよ。ぼくはね。相武さんには相武さんの人生ってもんがあるじゃないですか。全然悲しくないですよ。全然。はぁ…。
 
それに社長だからって歳がメッチャンコ離れてて明らか資産目当てだろみたいな感じもとりあえずは無いみたいだしね。そりゃあ相武紗季ファンだった日本国民の皆々様は残念でしょうけども。
 
とりわけ家庭内でも居場所のないお父様方は、終電間際の満員電車で押しつぶされながら乗る電車の中で見る中吊り広告の相武紗季さんが唯一の救いだった訳ですよ。
 
相武さんとの結婚生活を妄想しながら乗る電車一時こそが心のオアシスな訳です。家に帰ったらエプロン姿の相武さんが玄関先まで来て聞いてくるんです。
 
「お父さん。おかえりなさい。お仕事大変でしたね。先にご飯にします?それともお風呂?それとも…」
 
ここで、お父さんが答えます。
 
「あいぶさき!なんちゃって!」
 
それから相武さんと一緒に寝室に籠城。お父さん絶好調。(はあはあ)
 
いやそこは妄想なんだから既婚者でも関係ないだろ。って思った人はとりあえず黙っていなさい素人は。妄想だったとしても、確率が大事なんですよ。
 
相武さんが独身の身でいる間は、もしかしたら日中はいつも年下の上司に怒られてて、円形脱毛症が始まったおっさんでも結婚する可能性はあるんです。
 
限りなくゼロに近いとしてもです。
0では無い。ここが大事なんです。
 
しかし相武さんが結婚してしまったことで、結婚する可能性は0なんです。
 
百田尚樹も愕然とするでしょうね。
中吊りの相武さんを見ながら妄想して、電車を降りるとき、数々の現実が降りかかってきます。
 
家に帰っても居るのは相武さんじゃなくてダライ・ラマ五世みたいな女房と、何を話してもガン無視する娘。
 
おい!お前が今無視して触ってる携帯は誰が払っていると思っているんだ!どいつもこいつも!と、なるでしょう。
 
でも相武さんがまだ独身だったら一縷の望みを握りしめて翌日の仕事に向けて眠りに就くんです。
 
ところが、その望みもないとなると、さあ大変。電車から降りて一気に現実に戻された時の落差が大きすぎて生死の淵を彷徨うわけです。そのままホームの淵から飛び降りちゃってもおかしくないんです。
 
そうじゃなかったとしてもですよ、自宅に帰って女房の顔なんて拝んだ時にはお父さんチベットに飛んじゃうかもしれません。
 
娘がガン無視したらもう監禁ですよ。2年くらい。そして最後はシャブに手を出すか、お御霊でも手に入れようとするんでしょうね。
 
お父さん、どうか、静まってください。おしずまり~。
 
ということなんですよ。相武さんにはこういうことも全て予想した上で芸能界に入って貰いたかった。無責任だ。
 
それか全国のお父様方のお御霊を鎮めるために巡礼の旅にでも行ってもらわないと行けないんです。本当このブログ、相武さんに読んでもらいたいわ。
 
まあね、所詮ね、きっと読んでもらったところで相武さんには世の中のお父様方の辛苦なんて分からないでしょうね。それにぼくの気持ちも。(重要)
 
 
じゃあどうやって伝えたらいいのかなぁ、って今考えてたんですけど、思い付きましたよ。ぼくのアタマには今豆電球が出ましたよ。ピカッとね。
 
短的で心に残るメッセージで伝えればいいんです。5・7・5・7・7のリズムに乗せて、交通安全スローガン的な感じで書けば相武さんの心の奥の方まで届くはず。
 
 
では、早速お届けします。しらぼ川柳で、世のお父様方を救いましょう。
 
 
 
 
まず一句。
 
 
「相武さん ちょっと待ってよ 結婚は 父の頬には 涙流るる」
 
 
 
 
 
 
うんうん。いいですね。
まさに涙が頬をつたっていく、お父様方の悲しみの情景が浮かんできます。
 
 
 
 
では、続いての一句。
 
 
 
 
 
「相武さん 円形脱毛 だけどいい? 円い家庭を 築きゆくかな」
 
 
 
 
 
 
おお。ストレスによる円形脱毛でも、一緒になれるかな?というお父様方の望み、そして円満な家庭を気づいていこうとする姿勢が目に浮かびますね。
 
相武さん、男は顔じゃないぞ!中身だぞ!円形脱毛は8文字だけど4拍子には収まっていますし、円形脱毛と円い家庭を掛けたところは秀逸です。(自画自賛)
 
 
 
 
 
だいぶ相武さんの胸に響いたかもしれませんが、ここでトドメといきましょう。最後に一句。
 
 
 
 
 
 
 
「相武さん 籍と性器は 入れないで 父の頬には 涙流るる」
 
 
 
 
 
 
 
 
キター!文句無し。
これでどうだ!相武さん!
 
これはまさに結婚して欲しくないし、結婚相手とも性行為に及んで欲しくないというお父様方の切なる願いと悲しみの情景が浮かんできます。ただ、最後の7・7の語句は1個目と一緒だけどな。
 
 
 
よし、これで間違いなく相武さんの心の奥に響いた筈ですよ。もうこうなったら相武さんは巡礼の旅か卒論書くしかないね。
 
 
こうして、相武さんの心を揺さぶることに成功した僕は、世のお父様方を生死の淵から見事救い出したのでした。
 
 
 
 
 
 
 
 
いや、まだだ!まだ終わりじゃない!
 
 
冷静に考えてみたら絶対このブログを相武さんが読んでくれるわけないよね。もう詰んだ(白目)
 
 
ここで一句。
 
 
 
 
相武紗季 ぼくとの結婚 だいぶ先 ぼくの頬には 涙流るる」
 
 
 
 
 
どうでしょうか。
おあとがよろしいようで。
 
 
 

パブロフの犬



声を大にして言いたい。僕は白衣が大好きだ。

むしろ、大好きだ!と、エクスクラメーションマークを付けて良いくらいだ。

今回は決して、丸美が以前難病にかかってしまい、余命宣告を受けて泣き崩れる丸美の側で僕はただ棒のように突っ立っていることしかできない、無力な人間だったのだと思い知ったのだけれど、そこで丸美の担当医の熱心な治療のおかげで少しずつ回復し、遂には完治、まさに奇跡としか言いようのないときに、丸美の担当医に泣きながら礼を言うと、担当医はフッ、と鼻で笑い「私はただ仕事を全うしただけです。礼には及びません。」と呟きながら病棟の廊下を歩きだしたときの担当医の背中が、というか白衣がカッコいいから白衣が好きなんです。っていうお涙ちょうだい的な話では無い。AVの病院の企画ものの話だ。


僕たち人間が生きていく上では、食事や睡眠、運動は欠かせない。バランスの良い食事は健康を保ち、適度な睡眠が疲れを癒し、快適な運動でストレスを発散させる。

そしてもう一つ必要なものがAVだ。それも動画まで到底たどり着けない悪質なサイトではなく、XVIDEOだとなお良い。適度な観賞で人生は豊かになる。というのが僕の自論だが、そのうち何処かの国の学者が公式に発表する日も近い。


とまあそんな訳で意識高い系の僕はモリモリとAVを観賞するのだけれど、そのAVの中でも一時期、白衣にはまり込んでいた。銭湯大乱闘とか、謝礼が出ますとかそっちのけで白衣もの一点集中で観ていた。





ピリリリリリ。呼び出し音がなった。
受付の壁に掛けられたボードを見る。5号室。
丸美の担当の病室のパネルが赤く点滅していた。

またこの患者さんか…

私の苦労を誰かに気づいてほしい。

そんな気持ちがより一層大きいため息になって丸美の口から出てきた。

だけどもこんな小さい病院には夜間何人もナースが待機できるはずも無い。それに今はGWの真っ只中。緊急対応の医者すら居ない。
丸美は一人でこの夜の夜勤を務めていた。

薄暗い廊下を抜けて5号室に入る。
5号室の集団病室の奥の窓側。患者のオオタケが入院している。

「オオタケさん~、どうされましたか~??」

「いやぁ、ナースさん、なんだか眠れないんです。」

「ダメですよ~静かにしないと、部屋の他の患者さんが起きちゃいますよ?」

この患者、子供じみたことを言う。だけども目は丸美の顔と胸を交互に見ていて、完全にいやらしいことを考えているのは丸美にも十分伝わってきた。

冗談じゃない。なんて気持ち悪い目。

そう言ってやりたいのだけれど、仕事だと思いグッと我慢する。

「ナースさん、眠れないんですよ~、隣で一緒に寝てくれませんか?」








(中略)







「ダメですよ~静かにしないと、部屋の他の患者さんが起きちゃいますよ?」



オオタケに注意される。
だけども丸美は堪えきれずに声をあげてしまう。オオタケの身体に跨がり、腰を振り続ける。はだけた白衣。いやらしい音が股間から聴こえてくる。


オオタケの顔を見る。なんて嫌らしい、汚い顔。だけどそんな男と行為をしている私はもっと、嫌らしくて、汚い女。


ベッドが軋む音、荒い息、そして喘ぐ声。深夜の病院の暗闇に響き続けていた…








みたいな作品とか、もう堪らない。勃起ものだ。
1日3回くらい見れるんじゃないかって気になってしまう。



他にも、丸美がその後の職場のストレスで暴飲暴食に奔り、胃腸内科に診察にいくと、そこの院長がまた嫌らしい目で丸美を見てきて、じゃあ診察始めますってなって補聴器で胸とかつついちゃって、丸美が、思わず喘いじゃったら院長が「おや、様子がおかしいですね?」ってことになって集中治療室…院長絶好調。なんて展開も堪らない。(はあはあ)




そんな、AV観賞を繰り返していたある日、僕は胃腸の不調を訴え、胃腸内科に赴いた。

原因は過度の暴飲暴食や睡眠不足などだった。そんなことはこの際どうでもいい。

なにが問題かというと、受付の人や病院の先生を見る度に、僕は勃起していた。

そしてそれは橋下マナミ似のナースだったわけでもなく、ただの白衣を着た一辺の曇りのないブスだし、先生に至ってはオッサンだ。

全然性欲の対象なんかじゃなかった。


謎に包まれたまま股間を手で抑えながら診察を終え、病院を後にした。


一抹の不安を抱えたまま数日を過ごしたある日、ふと友人Kにこの出来事を話してみた。


友人Kは答えた。それはパブロフの犬だ、と。




全然意味が分からない。

そう尋ねたものの、「まぁ自分で調べてみればいいさ。」とだけ答えて、友人Kは帰っていった。


で、気になったもんだからパブロフの犬でググッたら、犬を利用した条件反射の実験らしい。


犬の口に唾液の分泌量を測定する器械を着けて、毎回ベルを鳴らしてから餌を与えると、犬は次第にベルが鳴るだけで涎を垂らすようになったらしい。

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なるほど、友達Kが僕に言ったのはそういうことだったのか。と理解した。


つまりは僕は白衣を着た登場人物ばかり出てくるAVばかり観賞しているものだから、白衣を見ただけで、条件反射で勃起してしまうということだ。

いや、それはさすがにないだろう。

そもそも、犬が腹を空かせることと一緒にされては腹がたつ。

僕の人格を否定されているみたいだ。

ちくしょう。


余計に腹が立ってきて、いったいどんな人がこんな実験をしたのかなと思ってパブロフさんを調べた。

ロシアの生物学者のイワン・ペトローヴィチ・パブロフさんという写真がでてきて、白衣を着ていた。









勃起した。



実録。教団Xに潜入してきた。


「あなたは神を信じますか?」



きたっ、この言葉だ。目を閉じて座っている僕は思わず瞼の暗闇の中で聞こえる声に敷物の端を、ぎゅうっと握りしめていた…






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世界には様々な宗教がある。

お祈りをして、「アーメン」(ヘブライ語で、[確かに]の様な意味)と唱えるキリスト教や、ムハンマドを通じて神の教えを広げたイスラム教、インドで広められた仏教。

これらは世界的にも有名な宗教で世界宗教とも呼ばれているが、更に分派されたり、新興宗教が生まれたりなどしていて膨大な数の宗教団体が存在する。


とりわけ日本に於いては世界で一番といって良いほどに宗教に関しては寛容で、なんと18万以上もの宗教が存在する。

神社やお寺といった、日本の行事に馴染んでいる宗教や家族で継がれていく形態の宗教、中には危険思想の強いものやカルト的な団体も数多にある。僕の知人にもおにぎりを三角に握ったのはフリーメイソンだと豪語するキチガイがいたりする。



なぜこれだけ宗教団体が存在するのか。答えは単純である。コンビニやファストフード店が急増したのと同じことで、需要があるからだ。

それだけ現代社会における個人の精神的な不安は大きいということだ。藁にもすがる思いで陰日向のような生活に一縷の希望を求めるのだ。精神病や自殺の増えた昨今、新しく入信するのは10代、20代の将来に不安を抱えた若者や、精神的弱者が多い。


だが僕はここで疑問に感じるのだ。
不安な時こそ希望を求めるのは解る。
そこに神の存在があれば助けを乞うのも解る。

しかし、そもそもどうやってそんな存在を信じることができるのだろうか?僕には全然信じられない。

確かに僕は普段から霊的なものとか神様とかを極端に信じないので、私のお墓の前で泣くこともなければ玉を7つ集めて神龍を召喚しようなんて考えもない。

いたってクールなのである。


普通の人なら、イメージは人それぞれとしても漠然と神様みたいな存在が胸の内にあるものなのかもしれないが。

しかし、宗教にはすごく関心があった。歴史を学んだり国々の文化を知っていくと、宗教がものすごく密接に関わっている。宗教を知ることは教養を得るということかもしれない。

是非とも一度はそんな、入信する人がどんな心持ちでいるのか体験してみたいものだ…。









そんな事をムラムラと考えながら日々を過ごしていた、そんなある日だった。



仕事を終えてマンションに帰る。
ポストを開けてみるといつもの様に山の様なチラシと郵便物が詰め込まれていた。
それらを引っ張りだし、小脇に挟んで部屋に入る。

分譲マンションとかピザ屋さんのチラシや水道、ガス、電気止めちゃうぞ的な追い込みの封筒がてんこ盛り。

止めれるもんなら止めてみやがれとばかりに支払い用紙を引きちぎってゴミ箱にぶち込み、マンションもピザもくしゃくしゃに丸めてゴミ箱へ。だいたい五千万超えの分譲マンションなんかウチのマンションに入れるな。そう思っていた時だった。

ひときわ異彩を放つ一枚のチラシがあった。そこには幽体離脱してる絵とか、栄養失調の体育座りの絵がかかれていた。
とにかく禍々しいオーラ。



この絵を見た限りでは高い霊層界も大してリア充してないなと思ってしまった。

が、裏面を見ると驚いた。そこには信者の人々の体験談が綴られており、白血病が治っただの、イジメがなくなっただのといった数々の奇跡体験が載っていた。

みなさんが読んでくれている僕のブログは、実はジャンル的にはSFなのだけれど、僕のブログにもとても書けないんじゃないかってくらいのファンタジックな奇跡体験がバシバシ書かれてあって噴飯ものだった。

そして読み進めてみると、どうやら3日間の講習を受けると、お御霊(みたま)を手に入れることができて、ファンタジックな能力を使えるようになるらしい。ちなみに3日間の講習を受ければクレーン作業玉掛け1トン以上の資格が手に入る。玉絡みのものは意外にサクッと手に入るものだと感心する。



もう僕の好奇心は何物にも邪魔されることなどなかった。

気づいた時にはすでにそのチラシに書かれた宗教団体(規模の大きさを考慮して、ここでは教団Xと呼ばせてもらう)の番号に電話を掛けていた。



数コールの後に人が電話に出る。
老婆の声。どうやら会場の受付のようだ。嗄れた声が特殊な場所に電話していることを余計に意識させた。

僕は家に届いたチラシを見て興味を持ったのだと老婆に伝えた。この点は嘘ではない。老婆はとにかく一度会場に来て欲しいと伝えてきた。

どのような服装でも良いのかと聞くと、お祈りの時に座るので、座りやすい服装で来て下さいと言ってきた。どうやら会場に行くということは、お祈りをする、ということらしい。ここまでは想定の範囲内だが、ちょっとドキムネだ。

僕は軽装に身を包み、家を出た。
チラシに書かれた会場は最寄りの駅から二駅ほどの所から徒歩五分くらいの通うには申し分ない距離だった。もしかするとこれは神のお導きかもしれない。

住所をGoogleマップに打ち込み、ナビ通りに歩いた。目的の場所には3、4階建の低層マンションのような佇まいで正面の入り口には瓦屋根の立派な庇がついた建物があった。粉うことなき建物だ。僕は教団Xの入り口から中に入った。

ガラス張りの扉を開けて中に入ると薄暗いフロントだった。真白な壁とグレーの床。公民館のような内装と言うのが分かりやすいかもしれない。

フロントにいる受付に尋ねると、振り向いたのはおそらく電話対応をした老婆だった。「あぁ、先ほどの。」と答えた老婆の声が嗄れていた。あぁ、先ほどの声か。

「今日が初めてなんですね、では、このバッチをつけてください。」

老婆から手渡されたのは赤と銀の二色のバッチだった。安全ピンで胸に僕は着けた。おそらくこれが新人のマークなのだろう。
老婆や、中にいる他の人を見ると、それぞれバッチをつけているが形や色が違う。階級を表しているのだろうか。

バッチをつけ終わると、別の女性が登場した。ここから先はこの女性が案内するのだという。

促されるままにエレベーターで3階へ。

エレベーターを出た右手には畳敷の大広間があった。そこには等間隔に敷物が並べられており、何人もの信者が儀式を行っていた。僕が唾を飲み込んだ音が隣の女性に聞こえてしまったかに思えた。まさに踏み込んでみたかった領域だ。緊張を隠そうとしてもなんとなく動作がぎこちなくなっている気がした。






「では、先ずはお祈りをしましょう。」

導かれるままに中央の赤い絨毯の上を歩いていく。

祀ってある神の前で正座をして、指示を受けるままに礼を繰り返す。途中途中案内の女性がボソボソと祈りを唱える。

一通りのお祈りを済ませると、すぐ隣ぬいた60過ぎくらいだろうか、老人が話しかけてきた。

「君はどこから来たんだい?」


「あ、笹塚てす。」と思わず言ってしまった。あくまでも保身の為に住所は言わないはずだったのに不意に聞かれるとつい答えてしまった。気を緩めるとどこまで個人情報を晒してしまうかわかったもんじゃない。

「そうなんだ。近いから通いやすいねぇ。何丁目?」

味をしめた老人は更に詮索を続ける。流石に教えませんとは言えないので適当に違う住所を答えておいた。笹塚にお住まいのみなさん、いきなり勧誘が来たらゴメンなさい。僕のせいです。アーメン。


次に誘導されたのは、その中央の赤い絨毯から左右に置かれた座布団と毛布のところだ。これから行うのは、手をかざして身体の御霊を解放させたり、身体の調子の悪いところを治すもので、「手かざし」と呼ぶらしい。

女性と向かいあって座る。説明によると、このまま10分ほど目を閉じるのだという。僕が目を閉じている間に、女性が僕の眉間に手をかざして(眉間の位置からお御霊が出入りするらしい)くれるらしい。心を落ち着かせてリラックスしておいてくれれば良いとのことだ。

分かりました。僕はそう答えて目を閉じた。こんな真正面に初対面の女性と向かいあって目を閉じるなんて改めて思うと恥ずかしい。

恐らく手かざしが始まったのだろう。
すごい勢いで女性が経を唱え始めた。


どう例えればいいだろうか。仲間由紀恵主演の「トリック」という作品があるのだが、その山奥のカルト集団の唱えてる感じとそっくりだ。そのうち阿部寛までその辺からぬっと出てきそうだ。


突然すぎて吹き出しそうになるのだけれど、真面目に唱えて貰っているもんだから笑うのは流石に不謹慎だと思い、必死で堪えた。顔がひきつりを起こしているのが自分でも分かる。数分経つと唱えていた経が終わった。女性が話しかけてきた。


「松本さんはどうして今日おいでになられたんですか?」


僕は答えに詰まった。流石にブログのネタにしようと思ってきたんです、とか言っちゃったらこのまま幽閉されて海外にでも飛ばされそうだし、なんとなくとかだと食いつきも弱いので模範解答をしようって考えた。

「実は、ここ2週間くらい、毎晩の様に幽体離脱を体験するんです。いままでこんなことなかったのに!過去にはこんなことなくて不思議だったんです。そんな時、偶然自宅にここのチラシが投函されていて興味を持ったんです。」


と答えてみた。良い回答だったのか、女性は興奮ぎみだ。

「それは正に運命ですね。私達は肉体と精神というものは別々のものだという教えがあります。よって、幽体離脱が起きるのは至極当然なのです。ここで体験を重ねることで松本さんも知ることができますよ。松本さん…」


「あなたは神を信じますか?」



きたっ、この言葉だ。目を閉じて座っている僕は思わず瞼の暗闇の中で聞こえる声に敷物の端を、ぎゅうっと握りしめていた…



「はい。」




僕は無意識のうちにそう答えていた。


空気を読むと、ここで「いいえ」とは言えない。それからは無言のまま、手かざしが続いた。


10分程経っただろうか。女性が突然唱えだした。






「おしずまり〜。おしずまり〜。おしずまり〜…」


抑揚の効いた声だった。石焼イモ売ってる声みたいな、ふざけてるとしか思えない声で、突然すぎてまた笑いそうになるのを堪えた。堪えるのに歯をくいしばりすぎて口内炎ができてしまったようだ。「では、ゆっくりと目を開いて下さい。」女性がそう言った。


目を開いた。思ったよりも近くに女性の顔があって焦った。「どうでしたか?」と訊かれても、笑いこらえて口内炎できたなんて言えないし、ここも一つ模範解答する事に。

「なんだか、身体全身が暖かく感じます。」

我ながら良い答えだ。神が降臨したとか頭痛が痛いとか言うと大袈裟だからこのくらいのジャブがいい。

女性は答えた。


「いえ、いまのは精神にエネルギーを送ったので身体の変化はあなたの気のせいです。」


ちくしょう。なんてシビアなんだ。
続けて説明が入る。

「いま眉間にエネルギーを送ることで、身体からお御霊が出てくるのですが、いくつもの精神を持ち合わせていると様々な反応が起こるんです。突然外国語で話し出したり、表情が変わったり。松本さんも顔がひきつったのはお御霊が身体から出入りする際の現象です。」


いやいや。笑いこらえただけなんですけど。とはやはり言えず、ただただ頷く。


更に説明が続いた。どうやら修行することでこの手かざしの力が手にはいるらしく、身体の体調を整えるだけでなく、食べ物の味も変えてしまうというのだから驚きだ。

見ると、周りの他の信者達もペアを組んで敷物に横になり、身体の悪い部分に手かざしをしていた。なるほど、この雰囲気と場にヤられて人はどうやら信じてしまうらしい。空気を読もうとする感情とその自己暗示によって。

そしてそう言う僕も既に信じていた。


なんて素晴らしいんだ!これで世の中の救われない人々を救うことができるかもしれない。


一通りの説明を受けて、この日のお祈りはお終いになった。さっきの老人がまたやってきた。「君はなかなかいいものを持っていると思うよ。また来なさい。」というダメ押しの言葉と力強い握手。胸元を見ると一目で権力者であることが分かるようなド派手なバッチを付けていた。恐らくこの教団Xのボスだ。



受付の老婆、案内の女性、そしてボスに手を振られながら僕は教団施設を後にした。なんて晴れ晴れとした、素晴らしい気持ちなんだ!強く思った。そしてまた来よう。と思った。



帰りに笹塚でラーメンを食べることにした。暖簾をくぐる。

「細麺固めで!」と言った僕の声はなんだか肉体と精神が研ぎ澄まされたような、気持ちのいい声だった。


しばらくしてラーメンが出てきた。いつものラーメン。いざ食べようとしたところで、ふと今日の教えを思い出し、ラーメンに手かざしをしてみることにした。

ラーメンに手をかざし、目を閉じる。
笑いを堪える、といった雑念もなく、無心の境地に達していた。

手かざしで美味しい美味しいラーメンに味を変えるのだ。

10分ほど手かざしをしただろうか。

目を開けてみるとそこには汁を吸い尽くして伸びきった麺の、あまりにも悲惨な変貌を遂げたラーメンがいた。


やっぱり宗教なんて信じられないや。
アーメン。いや、ラーメン。

月まで届くからあげくん

今月、あの、LAWSONの「からあげくん」が発売開始から30周年を迎えた。

もはやからあげくんを知らない人の方が少ないんじゃないかってくらいの認知度のあるからあげくん。実はあのパッケージのニワトリみたいなのは、鶏ではなくて妖精らしい。


さて、30周年を迎えたことに関して、様々なメディアで取り上げられたのだが、その時の売上高の表現に、僕は思わず唸った。ここに一文を抜粋させていただく。

>>ローソンのヒット商品からあげクンは1986年4月15日に誕生。販売数は累計25億5000万食で並べると月まで到達し、少し折り返したぐらいの距離になるという。<<

みなさんはどう感じただろうか。なに、普通じゃないか。と思った方も居るかもしれないが、ちょっと待ってほしい。「月まで到達」という表現、だ。

だってどう考えたってからあげくんを積み上げて月まで届かせるっていう概念がない。

よく考えたらこういう例え方をすることってよくあるかもしれない。東京ドーム何個分の広さですとか、東京タワー何個分の高さですとか…。

実際よくわかんなくてモヤモヤとしたままで終わるのだけれど、この表現、インパクトだけは絶大だ。

今回のようにたかだかしれた、ちゃっちいからあげの売上高をそのまま数字で表現するよりも、ここで、月まで届いちゃうんです。とすることで、インパクトがあって、おおっ!ってなる。

じゃあこれを使ってちゃっちいものを月まで届かせてみたい。そう思った。


とここまでブログを書きながら、僕はスタバで鼻くそをほじっていた。仕事の合間に一息いれる常連のサラリーマンや、MacBookを開いて何かやってる洒落乙な好青年の並びで僕は鼻くそをほじりながら鼻くその記事を書いている。親が知ったら泣きそうだ。

じゃあ早速、この鼻くそはどんだけほじれば月まで届くのか。


まずは地球から月までの距離を調べる。Googleで一発だ。370300㎞。案外遠くない。僕が勤める会社のポンコツ車はおそらくもう月まで行って折り返して地球に帰還したくらいの走行距離があるもんだ。

で、今回の検証は、一日溜め込んだ鼻くそをほじりだし、その長さを計測、その一個の鼻くその長さを鼻くその全長の平均値として日数で倍掛けする。すると何日間分の鼻くそで月まで届くか分かる。という検証で行う。勿論、この検証方法が正しい、というものではないので、あくまでも一検証としてみてほしい。


とここまで書いていて大変なミスを犯してしまった。いまほじっていた鼻くそを無意識のままで指先で丸め、スタバの店内に弾きとばしてしまっていたのだ。これでは鼻くその計測が出来ない。鼻くその全長を実測もせずに仮定してしまうとあまりにリアルティが無く陳腐になる。

探さなければ。
くそっ。いや、鼻くそっ。

店内を見回す。無意識の中で飛ばした鼻くそがどのくらい飛んだのかは分からないが、おおよその方角は分かっていた。
カウンター状に延びた席の僕の左後ろ方向、10時の方角だ。ちょうど店内の中央部に面していて、ひらけている。おそらく着地点は床だ。

床に這いつくばって鼻くそを探す。綺麗に磨きあげられた木目のフローリングは鼻くそを探すにはあまりに困難だった。ワックスで光が乱反射するし、色が鼻くそと同化している可能性が高い。

しばらく探してもみつからない。そんな時だった。

「何か落し物ですか?大丈夫ですか?」

そう優しく声をかけてくれたのは、スタバの店員さんだった。

そうなんです。実は見つからなくって、鼻くそが。なんて口が裂けても言えない。絶対言えない。ダメ。絶対。もうただのセクハラか、清原と一緒に吸引した人としか思われず通報されてしまうだろう。

「あ、いえ、ほんと、大丈夫なんです。すいません。」

緊張して冷や汗ガンガンかいてしまってて尚更シャブ中だと思われそうなのだけれど、店員さんは、はぁ、そうですか。とだけ言って去っていった。

もう仕方ない。今日はブログ書くのやめにして、明日また改めてほじり直すか。と思った束の間、鼻くそを発見した。

おそらく弾きとばした方角とはあさっての方に飛んだのだろう。そしてスタバの店内の空調に乗って飛距離を伸ばし、鼻くそは一息いれてるサラリーマンの髪の毛に着いていた。もうこれは事件だ。

「あのぅ、頭に鼻くそが着いてますよ?」なんて絶対言えない。それに言ったところで僕がその鼻くそを回収したら誤解を招く。しかし、かといってこのまま鼻くそを諦めて明日ほじり直すとしても、このサラリーマンは頭に鼻くそを着けたまま今日という1日を過ごすことになってしまう。なんて可哀想なんだ。それは避けなければ。

こうなったらもう勢いでワッシャーっと鼻くそ掴んでダッシュで逃げるしかない。これは戦いなのだ。

僕は決意し、荷物をまとめ、用意ができた。

思いっきり頭に手を出して鼻くそを回収し、僕はスタバから走って逃げた。サラリーマンの怒号と周りの客の冷ややかな視線の中、僕は走った。野村ビルの正面に出て、西口の大ガード手前から曲がり、ユニクロの前を抜け、新宿駅の西口まで、ひたすら走った。鼻くそを手に全力疾走する姿はいま思うと泣けてくる。

ゼエゼエと息をきらしながら無くしてはないかと不安になりながら手を開くと、確かにそこには鼻くそがあった。僕は大きく息をついた。

しかし、鼻くそは何故か、半分くらいの大きさになっていた。どうやらサラリーマンの頭に半分ほど忘れてしまったらしい。仕方ない、あるものでやるしかない。

せめても少しでも距離を出そうと、鼻くそを必死に細く伸ばす。西口の周囲の人の目が痛いが、それどころじゃない。

僕の意識は既に月に届いていた。
そう、ユーリイ・ガガーリンのように。

鼻くそを引き延ばす姿が東急ストアのガラスに写る。顔は青かった。


5㎜だった。これを1日の鼻くその平均値にする。

370300㎞を5㎜で割る。
まずはミリの単位に合わせる
370300000000㎜。
を5で割る。

74060000000日かかる。

これを365日で割る。(閏年は計算しない)

すると、毎日5㎜の鼻くそを積み重ねて月まで届かせるのに必要な年数が出てくる。


202904110年かかる。いやもうわけわからん。歴史的にいうと三畳紀で、恐竜や翼竜が生息する時代。このころから5㎜の鼻くそをコツコツと積み重ねると現代で月にたどり着くのだ。なんてこった。




この検証の結果、恐竜に囲まれながらコツコツと鼻くそを積み上げていき、活発な火山活動による低酸素の地球でバタバタ倒れていく生物を横目に、何度となく繰り返される絶滅と繁栄の中、アウストラロピテクスの誕生、人間の誕生、キリストがイエス!とかノー!とか言ってる事なんかもう些細なことにしか思えない。そして日本で監禁とか安倍さんとかが出てくる。そんな2億年という歳月を過ごす。鼻くそをほじりながら。そうして月まで届くのだ。

モヤモヤとしてて、分かりづらいんだけど、インパクトがあって、おおっ!ってなるのは確かだ。




検証以来、スタバのお店の前まで行くと、決まっていつもあのときのサラリーマンが居るからお店に入れない。
もう怖くて怖くて、
チキンになってしまった。あ、妖精か。

笹塚のカフカ

三種の神器という言葉はみなさんにも聞き覚えがあると思う。元々は歴代天皇に伝わる八咫の鏡とか八尺瓊勾玉とか草那芸之大刀といったものであるが、みなさんが聞き覚えがあるのは、戦後の家電製品ブーム時代の方だと思う。

1950年代後半の白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫。これら生活必需品となった家電製品は、高度経済成長期の慌ただしい時代においては、国民にとっては天皇の三種の神器よりも神々しいものだったのでは、と思う。

さて、昨今、様々な技術が進歩した。
過去の三種の神器はもはやアベレージなものになりつつ、スマートフォン人工知能AIが踊り出てきた。

僕の職場の先輩が四六時中LINEの人工知能AI「りんな」とLINEしている姿を見ていると日本国家の終焉は近いものだと感じてしまう。助けて、りんな。

しかし、これらスマートフォンなどは、結局のところ、過去の三種の神器が揃ってこその必需品となるわけだ。マズロー自己実現理論のピラミッド図のように、三種の神器が満たされた上で、次の家電を求めるようになるのだ。


先日、我が家のPanasonicの洗濯機が購入から2年程経ったころ、ついに壊れてしまった。エラー表示が出ていて、黒い小さなディスプレイに【H51】と表示されている。意味が分からん。

もう、にっちもさっちもいかない。

じゃあ仕方ない、とりあえずコインランドリーに行くかと思い立ったが、近所の銭湯「栄湯」のコインランドリーが、なんと急遽同じタイミングで4日間の長期休暇に入ったのだ!!(怨恨の為今回は銭湯の店名は公表して書く)


そのとき同居人のY氏は呟いた。

「我々は神に見放されたのだ。」と。



結局、にっちもさっちもいかないので、
浴槽に洗濯物をぶち込み、少しのお湯と洗濯を入れて足踏みするY氏。

その姿はエジプトのベニハッサン村に残る紀元前2100年頃の壁画の洗濯の様子を彷彿とさせた。

このまま時代に逆行して、僕らは洗濯物を浴槽で足踏みする生活を送るのか、と思うと戦慄したし、逆に足踏み当番表なるものを作成して、ルーレット方式で足踏み当番を決める、などなど考えると新しい生活にワクワクもした…。


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週末、桜の花弁もあらかた散り過ぎて、ライトグリーンの新芽を出してきた頃、僕は○美とのデートを約束していた。

二人の出会いはまるでドラマの様だった。

笹塚フレンテの4階の図書館の本棚のとある一列で、背伸びをして必死に本を取ろうとしている女の子。

僕が代わりに取ってあげると、女の子は可愛いえくぼを見せて、僕に「ありがとう」と言った。

手渡した本を見ると、村上春樹作「海辺のカフカ」だった。

「あ、これ僕読んだことありますよ。」僕は思わずそう言い、お互いに好きな本の話をした。

女の子は○美という名前だった。

いつの間にか、週末にデートの約束をした。一緒に好きな本を持ち寄って一緒に海辺のカフェで読書しようと。

次第に僕は○美を好きになっていった。


いや、きっと違う。あの日、○美の可愛いえくぼの笑顔を見た瞬間からに違いない。


「お待たせ〜」

ちょっと小走りでやってくる○美。
少し天然なところがあるのかもしれない雰囲気は何処となく可愛い。

海辺のカフカに掛けて海辺のカフェに行こうと考えたのだけれど、都内で探すのには一苦労した。結局豊洲近くのオープンテラスのあるカフェにした。近くでは緑化フェンスを貼っている作業員の姿が見えた。東京湾は曇り空で灰色の海だった。

席に座り、たわいのない話をする二人。
ゆっくりとした時間は何故か、早く進んでいく。まるで見た目には穏やかな海のさざ波が、実際にはその水面下ではものすごい潮の流れがあるかの様に。

「まさくん、今日は夜も一緒に居ていいかな?」

そう○美が僕に聞いた時だった。
不意にケータイが鳴る。LINEのメッセージだった。メッセージを開くと同居人Y氏からだった。


『今日は君が洗濯の足踏み当番だ。』


そのメッセージを読んだ時、一気に夢から覚めた心地がした。もう、○美とは一緒に居られない。僕は、帰らないといけないんだ。僕は呪いをかけられているんだ。ルーレットで選ばれた者は同居人の洗濯物も一緒に足踏み洗濯しなければならず、交代は許されない禁忌なのだ。

「○美ちゃん、ごめん、僕、帰らなきゃ…」

突然の展開に、目を丸くして驚く○美。

「えっ?なに?どうしたの??」

「実は、、」

説明をする僕。こんな話信じてくれないだろうと思っていたのに、○美は大真面目な顔付きで聞いてくれていた。

「そうだったんだ、まさくん…。あ、じゃあ、こうしたらいいよ。」

○美は僕にこの呪いから逃れる方法を教えてくれた。僕はその夜、深夜バスで東京を飛び出し、家出を決行した。いきさきは四国の高松。僕はそこで降り、高松の私立図書館に通いだす。

オオタケもまた都内の笹塚から少し離れた中野区の南台に住む知的障害のある中年だった。通称、「鬼殺し」を好んで飲む建築作業員を殺害し、東京を離れた。オオタケはトラック運転手のオノの力を借り、「入り口の石」を探し始める。

僕はその後警察に追われ、森の中に身を潜め、旧帝国軍のコスプレイヤーと出会い、川のある町にたどり着く。

その後最終的には家出しててもしょうがないやと決意、僕は新幹線で岡山から東京に帰ったのだ…。ってこれ海辺のカフカじゃねえか。オオタケさん関係なくなったし。



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そんな妄想から覚めた僕はまだ洗濯機の前に佇んでいた。


一度思考を戻してみる。

そもそも、何故洗濯機が今回壊れたのだろう。


その【H51】っていう謎のメッセージが気になって仕方ないので、Yahoo!知恵袋で調べてみたら、【H51】=洗濯槽の過負荷とのことだった。あぁなるほどカフカね。

美人は三日で飽きる、ブスは三日で

自慢じゃないが僕はブスにモテる。

右向きゃ右のブスが目を輝かせ
左向きゃ左のブスが胸をときめかせる。

僕の顔はとりわけてイケメンじゃない。
かといってとりわけてブスでもない。

おそらくブスでもこの男ならワンチャン有るんじゃねぇか?っていう算段で、ときめかれる訳である。僕の顔はそんな顔だ。

かといってモテる分には嫌な気持ちもしない。ブスにモテて喜ぶこともないが、嫌な気持ちにもとりわけてならない。
そんな落差のない感情が僕の退屈な人生を見事に反映しているのかもしれない。





あれはいつだったか、そう、春が近づく中でたまにすごく冷え込む日が来る、最近の様な季節だ。

僕は夕方、仕事が終わると、その頃は決まって同じ下北沢のBARに酒を呑みに行っていた。

BARといっても中は騒がしく、居酒屋といった方が良いのかもしれないが、こだわりの強いマスターにそれは言えなかった。

いつもの様に店内に入り、カウンターのいつもの席に座る。入り口正面がカウンターで、店内の奥に入るとテーブル席が何席かある。ウェスタン調の店内の所々にエスニックな柄のカバーやタペストリーが飾られていて、独特な雰囲気だ。

ラム酒を呑む。ふと横を見るとカウンターの僕の席の二つ、三つ隣に女が一人酒を呑んでいた。常連じゃない。初めて見た女だ。


僕の視線に気づいたのか、こっちを振り向いた。ブスだった。僕に少し照れながら話しかけてくる。


「あの…いつもこのお店に来てるんですか?」


そこから質問と答えを繰り返し、初対面の典型的な会話が続いた。

僕には分かる。このブスは僕に惚れているのだと。自惚れている訳じゃない。ブスの目を見れば分かる。ブスの瞳の奥の深淵で、恋の炎が渦巻いている。そしてブスも二種類いる。自分をイケてる女だと思っているプライドの高いブスと、自分をブスだと自覚しているプライドの低いブス。このブスは後者のブスで、声を掛けられない事は火を見るよりも明らかなので、自分から積極的に話しかけてくるブスだ。


それからお互いの話をした。田舎の会社に勤めていたが、今回東京の本社に短期間の出張で来ているらしく、まだ東京に来てから一週間も経っていないそうだ。女の話は何故か抑揚があって、テンポがあって、聞いてて全く飽きなかった。他人の人生に関心のない自分の事を思うと飽きない事に驚いた。

いつの間にか杯を重ね、夜は更けていった。明日もまた呑みましょうね。と約束されて、まぁ断ることもないかと思い承諾した。


翌日もBARに訪れた。すでに女はカウンターに居て、マスターと話しこんでいたが、僕が訪れたことに気づくと会話をやめて、どうも。と言った。

それからまた、とりとめのない話を交わした。くだらない話ばかりなのに、楽しかった。僕が普段、対人関係で作る壁をこの女はいつの間にか飛び越えて、僕の前に来ていたのだろう。

数時間が経ち、女は突然、泣きそうな、困ったような顔をした。

「実は私、明日の夜、田舎に帰らないといけないんです。」


どうやら、出張での仕事も終わり、田舎の会社での勤務に戻るらしい。

「あのー…」

女がなにか言いかけて、辞める。
僕はあえて聞かずに待っていた。

「んー。じゃあ、あの、明日の夜、帰る前にまたここのBARで会えますか?」


「え?あぁ、全然いいよ。てか、明日もここのBAR来るし。」


しばらくの沈黙。

女がまた話だした。

「私のこと、どう思ってます?」

直球な質問が来た。僕は思わず返した。

「え?いや、なんとも思ってないけど…」


「そうでしたか。わかりました。…ん、何聴いてるんだろ私。あはは、何でもないです。気にしないでください。」

女はそう言うと飲みかけの酒を残し、コートを羽織り、帰っていった。


また沈黙になる。




珍しくマスターが僕に話しかけてきた。

「まさくん、あの子の会計もよろしくね。」







翌日。仕事しながらずっと昨夜の事を考えていた。

なにもあんな感じに帰らなくたっていいじゃないか。

普段なら女がそんな態度しても面倒くさい、と思うだけだ。だけどあの女に限っては違った。何となく心の奥がチクチクと罪悪感のようなものに突かれていた。


何故?そう感じるのか?僕は分からなかった。


仕事が終わり、夜になった。
が、昨夜の一件が気まずくて仕方なくてBARに行くのを躊躇していた。いや、そんなの気にしないで行けばいいのさ。と気を張ってみたものの、わざわざ部屋を掃除したりダラダラして時間を延ばしていた。

だけどやはり、気になって仕方ない。僕は下北沢に向かった。




いつもの時間よりだいぶ遅くBARに入ると、カウンターには誰も居なかった。
胸が痛くなったが、同時にホッとする自分もいた。

マスターが僕に話しかける。

「まさくん、遅いじゃないか。あの子、もう出ちゃったよ?」

「いや、いいんです。別に。それよりラムください。」


「なにがいいんだい。まさくん、あの子の気持ちはまさくんは分かってるはずだ。」


カウンターにラムが出てくる。氷がラムの上で転がりながら浮かんでいる。



「だってマスター、あの女ブスじゃないですか。」





一瞬の沈黙の後、マスターは僕に、教えるような、怒ってるような、でも褒めているような、そんな不思議な調子で話してきた。









「まさくん、女性は顔じゃない。確かに美人の方がいいに決まってるが、本当に大事なのはまさくんとの相性だ。まさくんがあんなに楽しそうに話していたのは俺は初めて見たよ。美人は三日で飽きる、ブスは三日で慣れるっていうじゃあないか。…まさくん、さっき出たあの子はまだ電車に乗ってない、今からでも間に合うんじゃないかな?気持ちを伝えに行けばいい。」



マスターの話しを聞きながら、いつの間にか僕は席を立ち、ジャケットを掴んで店のドアに向かっていた。背中にマスターが話してかける。



「まさくん、お会計は明日よろしくね。」










僕は走った。

下北沢を。

餃子の王将を過ぎ、

緩やかな登り坂を、
駆け抜ける。

歩いている人達が、

不思議そうな目で、

僕を見ている。

僕は夢中で走った。







あの女の為?

いや、自分自身の為に、だ。






洋服屋、居酒屋、いくつもの店を過ぎ、南口のマクドナルドの交差点に着く。

そのまま改札に走り込み、Suicaのカードを、改札機に押し付けるように当てて走る。駅員が怪訝そうに見ているが、もう、気にならなかった。

何だか気持ちいい。

こんなに素直に、

全力で走っている。

こうやって生きていけたら
どれだけ素敵なのだろう。



長い階段を一段飛ばしで駆け上がる。
息が上がっている。

ホームに上がると、ちょうど電車が来ていて、あの女が電車に乗り込んだ瞬間だった。

よかった。

間に合った。

あとは自分の気持ちを、素直に、伝えるだけだ…。







声をかけようとしたその時、ちょうど、女がホームの方に振り向いた。













ブスだった。



もう、圧倒的なブス。鬼門を通り抜ける様なレベルの、陰陽師のラストに出てくる様なブス。他を寄せ付けないレベルのピラミッドの頂上に君臨するブス。が、そこにはいた。





時間が止まった。僕は何も、言葉にできなかった。いや、声がでなかった。ただ、ガクガクと膝が震えた。


無言のまま、電車の扉は閉まり、ホームを滑る様に去っていった。






ブスは三日でも慣れない。