しらぼ、

松本真青がSFを書くとこうなる。

心に残るイケメン

人生の中で誰しもが心に残る光景を観てきたことだろう。苦労して登った山頂からの眺め、初めてのデートで一緒に眺めた夜景。それらは幾ばくの時が過ぎ去ろうとも、心の中では鮮やかな色彩を放ち続ける。


僕はなかなかに強烈な友人達がいて、その中の1人にゲイの友達がいる。次々と強かに酔ったノンケの男共をあらゆる手を尽くしては連れ去っていく、北朝鮮工作員みたいなゲイだ。もはや手抜かりはない。


そんな彼と久しぶりに会った時、彼はまだお酒を呑む前から頬を、日の出の空のような赤色に染め、トロンと虚ろな目をしていた。そうだ。彼は恋をしていた。話を聞くと、その彼(好きになった相手)は今時の塩顔なイケメンだったのよ…と呟き、溜息をつく彼(恋をしているゲイ)。


出会いは僕がよく行く二丁目のオカマバーだったそうだ。そこは観光バーだからポケモンGOみたく、「ノンケが出たぞ!」と公園を走り回るツワモンはいない。普通に女性客も来るし、ノンケの男も気軽に入れる、それが観光バーだ。

彼(恋をしているゲイ)は彼(好きになった塩顔)を一目見たときには声にもならない叫び声をあげたそうだ。一目惚れをしたらしい。

彼(一目惚れをして恋をしているゲイ)にどんな容姿だったのかというと、彼(好きになった塩顔)はノンケで、程よい筋肉、短髪で清潔感のあるヘアー、そして完膚なきまでの塩顔だったという。なんだよ、完膚なき塩顔って。


塩顔といえば西島秀俊とか加瀬亮とかがイメージに浮かぶのだけど、塩顔とはどんなものぞ!と僕は興味しんしんになったので、早速彼(ノンケで筋肉と清潔感のある、好きになった完膚なき塩顔)に会えるかもよ?と彼(一目惚れをして恋をしている完膚なきゲイ)に提案してみた。

いやん、いきなり会うなんて怖くてできないわ。と言ったそばからバックを持って席を立つ彼(いきなり会うのは怖い一目惚れをして恋をしている完膚なきゲイ)はまさに肉食系男子である。いや、乙女?

数分彼(いきなり会うのは怖い一目惚れをして恋をしている肉食系男子の完膚なきゲイ)と歩いてお目当てのオカマバーへ。中を覗くとチラホラと客がいた。男女のカップルや、男男のカップルや、1人で来ている男の客。

おや?もしかしてこの1人でいる奴が噂の彼(ノンケで筋肉と清潔感のある、好きになった完膚なき塩顔)じゃないのか??とテンションが上がる。確かに少し塩顔っぽい。空いた席に着いて彼(いきなり会うのは怖い一目惚れをして恋をしている肉食系男子の完膚なきゲイ)に聞いてみた。

「そうよ、あの人よ!あの奥の方!」

指差す方を見るとそれは1人で呑んでる男客じゃなくて、男男のカップルだった。奥の方に座る彼(ノンケで筋肉と清潔感のある、好きになった完膚なき塩顔)の塩顔を覗いてみると、全然塩顔どころか目鼻立ちが濃すぎてイタリア人みたいな顔していた。

どこが塩顔だよ!どう見てもイタリア人である。シチリア産の塩。

ふと彼(実はノンケじゃなくてゲイで恋人のいた、筋肉と清潔感のある、好きになった完膚なきシチリア産)から視線を彼(いきなり会うのは怖い一目惚れをして恋をしていたんだけど惚れた相手が実はノンケじゃなくてゲイの恋人がいた肉食系男子の完膚なきゲイ)を見ると、めっちゃ泣いてた。

完膚なきまでの号泣。いいの、私の心の中で彼(実はノンケじゃなくてゲイで恋人のいた、筋肉と清潔感のある、好きになった完膚なきシチリア産)はいつまでも思い出として添い続けるのよ。と言い、鼻水を垂らしながら恐ろしい顔をする彼(もはやただの怖いゲイ)。


むしろ同性愛ネタをブログに書くとカッコ書きがやたら長くなって一番泣きたいのは僕の方だ。



心に残るイケメン。
それはすこし、しょっぱい思い出。