しらぼ、

松本まさはるがSFを書くとこうなる。

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語8

ここまでの旅を読みたい人はこちら↓

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語1 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語2 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語3 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語4 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語5 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語6 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語7 - しらぼ、


~前回のあらすじ~

山奥に潜むガンジャ仙人との死闘の末、ボロボロになりながらもかろうじて勝利した僕らは仙人から魔界の剣を譲り受ける。熱い抱擁を交わした後、仙人はゆっくりと瞼を閉じ、シヴァの待つ天へと、ゆっくりと昇っていく…

 

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18:20

もうブリッブリなのでさっきまでどういう絡みをしてきたのかよくわからないまま、西に沈んでいく黄昏を見ていた。きっと、あらすじみたいな感じだろう。

 


僕らを乗せたバイタクは元来た道を引き返していく。もちろんビシャールはブリッブリなので待っていたビシャールの知り合いが運転する。きっと最初からこのつもりで知り合いを連れてきていたのだろう。

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ウーファーから流れる爆音インドトランス。乾いた砂埃。無数のクラクション。頭を揺さぶりながら音楽に溺れるビシャール。そして彼が手に握りしめたリモコンが次々と曲を変えていく。

 


カオスたちを乗せたバイタクは荒れた道を駆け抜けていく。

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砂漠…じゃない、乾ききった河川を渡る時の夕日が綺麗だった。

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こうして今日もインドの一日が終わる。いま頃日本はどうなってんだろう。

 

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ブッダガヤに差し掛かる頃にはどっぷりと暗い闇が訪れていた。ビシャールが指差す方を見ると、昨日見た寺院が光り輝いて見えた。自然と、手を合わせる。

 


19:50頃、ようやく僕らはブッダガヤのビシャールの家に着いた。激しくお腹が空いていた。

 


「何か食べよう!僕がご馳走するよ!」

 


みたいなことをビシャールが言ったとき、僕らは耳を疑った。まさか、そんな筈はないだろう。あの勝手に会計一緒にするビシャールが。きっとまだガンジャが抜けてないのだ、という意見で僕ら一同は一致した。

 


ビシャールの家のすぐ脇に屋台が一台出ていた。まさにインドって感じのクオリティで、近所に住んでいるのであろう人々が料理を頼み、店の主人はせわしなく動いている。

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調理の様子を見ているとめっちゃ適当で、落ちた食べ物とかも3秒ルールみたいになんでも拾って入れてしまう。

 


不衛生極まりないあの料理を食べれば、確実にインドの洗礼を受け、腹を下すだろう。しかし、もうここはヤケクソみたいなもんで、やはり現地人と同じものを食べてみたかった。

 

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卵とキャベツと短く切った焼きそばの麺みたいなのを炒めてソースで味付けした奴。

 

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餃子(肉は入ってない)

 


結構シンプルなんだけどもうめっちゃ美味くてみんなで貪るように食べた。

店主がサービスで水まで出してきてくれたんだけど、すっごい白く濁ってて中に微生物みたいなの沢山漂ってたから一切飲まなかったら、何も知らないJ君がグラス掴んでグイグイって一気に飲み干してた。可哀想だからこれはこの先もずっと秘密にしておこう。

 


飯を食べおわった後に金を払おうとすると、「オーケーオーケー。」なんとビシャールか本当に払ってくれていた。雪でも降りそうだ。そしてどうやらビシャールに何か提案があるようだ。

 


「酒を買おう。」

 


とのことだった。僕が毎日、酒酒酒酒うわごとのように呟いていたからきっと気にしてくれていたのだろう。どうやらビシャールの家の近くで闇ルートの酒、つまり密造酒が手に入るらしい。

 


すっかり暗くなった夜道を黙々と歩く。土壁の家が並ぶ一帯を進んでいく。しばらく歩くとどうやら目的の家についたらしい。全員で行くと警戒されてしまうから一人だけ来てくれ、との事だった。酒の密造も飲酒も犯罪だからだ。

 


酒といったらやっぱり僕が行くかってことでJ君とT君を外で待たせて僕とビシャールで家に入った。入るとすぐ脇にまた扉があり、どうやらそこに人がいるらしい。扉を開けると中には入れてもらえず、さっきまで水を入れていたペットボトルを中のインド人に渡す。

 


ちらっと中を覗くと、じいちゃん二人が密造酒であろう液体を床に座って飲んでいた。顔が赤くなっている。

 


しばらくするとさっきのインド人が酒を入れてペットボトルを持ってきた。1.5リットルのペットボトルの半分くらいの量だ。少し濁っていてポカリみたいな色合い。500ルピーを渡すとすぐさまバタン、と扉を閉めた。案外簡単に手に入った。

 


街灯も一通り無く、満天の星空の下、密造酒片手に僕らはビシャールの家に戻った。

 


とりあえず大量の蚊を線香で殺戮し、ビシャールが持ってきたプラスチックのゴミみたいなコップに酒を注ぐ。

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匂いはあまりしない。一口飲んでみる。うん、不味い。

 


ぬるい梅酒に消毒液と砂糖を混ぜたような味だ。一応アルコールは入ってるようで、ある程度飲むと酔ってくる。そして一気に吐き気が襲ってくる。僕らはウエェウエェ言いながら飲み、ビシャールは美味しそうに飲んでいた。こればかりは日本に生まれて良かったと感じた。

 


※密造酒はかなり危険なので絶対マネしないで!

怖っ…インドで密造酒を飲んだ100人以上が死亡している件 - NAVER まとめ



 

 

 

右手に密造酒、左手にガンジャ

 


密造酒とガンジャを交互に吸っては飲みを繰り返す。カオスの跳満ってところか。いつの間にか居なくなっていたビシャールが帰ってきて、得体の知れない料理を持ってきた。肉をソースで煮込んだ様な料理。

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よく肉が手に入ったなと思ったけど、怖くてなんの肉なのかは聞かなかった。マンチなので早速手づかみで肉を食べていく。うん、美味い。甘辛い酢豚みたいな味。

 


で、結局夜の0時を超えてそろそろ帰るかってなったのだけど、戻って泊まる宿を決めておらず(昼間にチェックアウトしていたのを書いてなかった)、とりあえずもう一回泊まればいいかと思って宿に戻った。

 


宿の入り口までいくと流石に時間が遅くて閉まっていた。隣も宿だったのでそちらを訪ねたら入れた。一人500ルピー。背に腹はかえられない。

 


宿に入ると、まぁ隣と同じクオリティ。なぜかついてきたビシャールも一緒に部屋で寝ようとしていたから全力で断った。良いわけないだろ。

 


寂しそうに帰るビシャール。入り口のドアからそっと覗くビシャール。いいから早よ帰れ。

 

 

 

僕らは貪るようにベットに転がり込み、眠りについた。

 

 


つづく

 


次回はついにブッダガヤからの旅立ち。カオスな深夜バスで最終地コルカタを目指します。