しらぼ、

松本真青がSFを書くとこうなる。

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語7

 

ここまでの旅を読みたい人はこちら↓

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語1 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語2 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語3 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語4 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語5 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語6 - しらぼ、

 

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ぶっはー!!

 

 

11月2日 12:00

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同じ宿にそのまま連泊した僕らは昼頃まで寝ていた。この先の旅を考えるとブッダガヤで連泊するか、先を急いでコルカタに行くか、の二択なのだけど、ブッダガヤの喧騒のない雰囲気が気に入ったとか、ビシャールがぶっ飛んでて面白いとか、これまでの弾丸移動続きの疲れとかもあって、もう少し、この土地に居てみようと思った。

 


4日の深夜に飛行機に乗れさえすればいいので、ようやくこの旅に余裕が出てきた。コルカタまで車でも8時間半、列車なら尚早く着く。

 


起きたのは昼過ぎ。この部屋の何が嫌かってダニがめっちゃ激しくて、起きたら更にもう刺すとこないんじゃないのってくらいビッチリ刺されていた。

 

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T君は気に入った覇気カットにスプレーで更に輝きを放っていた。

 

 

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そしてみんなで巻き巻き。

もうこのくらいの日数になると初心者の僕でも結構綺麗に巻けるようになっていた。

 


昼2時過ぎ。外に出てみると、もう早速ビシャールが会いに来ていた。カーンの時もそうだったけど、とにかくホテルの外にセーブポイントみたいに待機している。よっぽど日本人旅行客が良い「カモ」なのだろう。

 


とりあえず写真。

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左のコスプレは僕です。

 


昼飯を食べに行こうぜ!というビシャールの提案で、僕らは近くのバイタクを拾いにいく。その前にとりあえずまた売店でアイスを食べて、両替所へ。

 


とりあえず3万円分を円からルピーにしてくれ。って言ってカード渡したら、オーケーオーケー言ってるインド人店主に間違えられて3万ルピーでカードを切られてしまった。

 


日本円で4万5千円。どんな間違いだよ!って言ったら、ゴメンゴメンって言われて50ルピーの札束を何束もくれたので、すっかり金持ち気分になった僕は、まぁ、なんとかなるさっ。って思った。韓国で一万円が10万ウォンになった時と同じ原理だから、ほんっと成長してない。

 

 

バイタクを拾ってしばらく進むと沢山道沿いに観光客向けのレストランやショップが並んだ通りに出る。

しばらく進んだ所のレストランの前で止まり、中に入った。

 


中庭側には壁もなくテラスの様に吹き抜けになった店内は多少暑いが天気も良く、気持ちいい。なんとなく小洒落た雰囲気で、つかの間インドにいることを忘れさせた。

 


店の端の方のテーブルを見るとオレンジのターバンを巻いたガチなお爺さんがもう1人の男と飯を食っていた。あぁ、やっぱりここはインドですか。

 


どうせまた美味しくない料理しかないのかな、と思ったらメニューにノンベジのメニューがあった。迷わずチャーハンとチキンカレーを頼んだ。

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ブッダガヤから少し外れたこの辺りはどうやらノンベジ料理もあるみたいだ。もちろんビシャールも注文する。僕らの金で。

 


もちろん厳粛なヒンドゥー教の人はベジタブル料理しか食べないらしい。

とビシャールに言われてパッとさっきのオレンジターバンのお爺さんを見たら、チキンカレーの鶏肉を両手で持ってかぶりついていた。あれアウトじゃん!!お爺さんが僕と目が合うと、バレちゃった、みたいな恥ずかしそうな、気まずそうな顔してた。


インドのレストランだとどこでもでてくるケチャップとマスタードをブリブリにかけながら昼飯を食べ、レストランを出た。


どうやら先ほど拾ったバイタクの運転手はビシャールの知り合いらしい。そのまま外で待ってくれていた。バイタクに乗り込み、今度はビシャールの運転で走り出した。

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もう当たり前のようになってるけど行き先も何も聞いてない。ここでビシャールが反旗を翻せば僕らは終わってしまうのだが、もう完全にビシャールを僕らは信頼していたので任せっきりになっていた。

 

突然インドミュージックが爆音で流れ出す。バイタクの荷台を見るとウーファーが積んであった。

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ビシャールがノリノリで頭を振っていた。とっても楽しそうだ。

 


しばらく道を進むと、砂漠が見えた。

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へーっ、インドにも砂漠あんのねー!って言ってたら、どうやら間違いで、河川らしい。乾季の時期になると完全に水が干上がってしまうみたいだ。やはり年中流れ続けるガンジス川は他の河川とは格が違う。神聖化される訳だ。

 

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説明なくビシャールが頭を揺らしながら進む事30分。運転手はなんだかよくわからない大きな建物の脇にバイタクを停めた。左手には長く伸びた山がある。ビシャールはバイタクの運転手をそこに残し、さぁ行こう!みたいな事を言っていた。J君の通訳によると、どうやらここから山道を登っていくと中腹にブッダが修行した祠があるらしい。ちなみにマップでみると赤ピンが僕らの宿、右上の黄色ピンが祠の場所だ。距離にして15キロほど。だいぶ遠くまで来た。

 


坂を登りだすと、やはり観光地なのか、坂道を上まで登るぜ!50ルピーだぜ!みたいなバイク集団が登場した。浅草の人力車みたいなノリなんだけど、エンジン吹かしてブイブイいってたんで北斗の拳のザコ敵にしか見えなかった。たしかに風景は世紀末。

 


あべし!とかひでぶ!とか言ってくる彼等を無視し、坂を登りだす。暑いのですぐに汗が噴き出す。10分ほど登ったところに、観光案内所みたいな建物があった。カラフルな布がはためいていた。

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ビシャールが「ここで上着脱いで干すといいよ!」的な事を言うので上半身裸になり、さあ行きますかってなったら「神聖な場所だから上着を着た方がいい!」とか言ってきた。どっちなんだおい。

 

案内所からすぐの場所にあった岩壁の小さな隙間から中に入ると、中にちっさく金ピカのブッダさん。肋骨浮き出たガリガリのスタイルで苦行の苦しさを物語っていた。

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でも僕には祠の入り口といい、中のブッダといい、陰部開いたらクリトリスありましたみたいな間取りだったのが一番ツボで、一人で笑ってた。

 

写真撮ったらダメだっ!ってインド人に言われながらパシャパシャ撮り、僕らは外に出て来た道を下る。


なんだ、こんなん見にくるだけでこんな遠いところまで連れてこられたのか、とモヤモヤしていたらその様子にビシャールが気づいたらしく、「近くにもっと面白い場所があるよ!」と言った。でもどうせこのクリトリスブッダが面白いくらいなら、大したことないんだろうなぁー、と思いながらバイタクまで戻った。

 

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おしっこタイム。


16時を過ぎたくらいになった。まだ日は高い。

バイタクに乗り、山沿いを更に進む。

すれ違う車の数も減り、明らかに観光地ではない、怪しい場所に連れて行かれるのがわかった。舗装された道も無くなり、かなりの凸凹道になる。


10分ほど進んだところで、バイタクのエンジンを切った。どうやらまた、坂道を登るらしい。やれやれ。


今度は北斗の拳のザコ敵ではなく、子供達が出てきた。物乞いする訳でもない。珍しい日本人を見たくて走って寄ってきていた。ナマステ!挨拶すると手を合わせてナマステー!っと返してくれた。かわいすぎだろ!


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坂道をしばらく登る。先ほどよりもだいぶ景色がいい。


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J君はこのキングダムっぽい景色に心打たれたのか、完全にそっちの人にしか見えなかった。


そんな時だった。

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ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!


ビシャールが叫びだした。ついに頭おかしくなったか!

 

ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!


ビシャールが指を指す。

マンキーマンキー


僕らは指を指す方を見てみると、

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山があった。山しかない。


ビシャールがそれでもしつこいので、注意深く見てみると、ほんっとちっちゃく黒い影が二つ、見える気もする。(写真だと分かりません)

 

マンキー(猿)は神様なんだー!」

ビシャールはとても大切なことのように唾飛ばしながら語ってくるんだけど、すっごいどうでもよくて三人でドン引きした。

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J君は優しいので少しだけ付き合ってあげた。

 

この距離じゃ飼ってる猿でも来ないだろ。無視して登りだしたらまだ後ろからウェイウェイ聞こえてた。


猿呼んでる場合じゃないとさすがにビシャールも気づいたのか僕らの方に急いで来て、また先導しだした。

 

しばらくすると、道の右手に藁葺きの小さい小屋がある。壁、床もない簡素な造りだ。中にはターバンを巻いた老人がまな板とナイフのようなものでずっとトントントントン刻んだり叩いたりしていた。

 


さぁ!ここだよ!とビシャールの案内で中に入るとターバンの老人は人見知りなのか、特に何も話してこない。そして老人の手元を見るとさっきからトントンしてたのは…ガンジャだった。

 

 

 

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ガンジャの老人 本名 不明

 年齢56歳

言語 ヒンドゥー

レア度★★★★★★

 

どうやら話を聞いてみるとこの老人、この山一帯の土地の持ち主らしく(自称)この藁葺き屋根の下で30年間ずっと庭先に自生したガンジャを吸い続けるという、もうこの旅路上最高にカオスな老人だった。どうやらビシャールとはガンジャ仲間らしい。


老人の生活環境というと藁葺き家の他、食料は山の下の子供達が必要分運んできて、水は道向かいの井戸から汲む。小さなソーラー発電機が置いてあって、そこから伸びたコードの先にスピーカーが付いててマッタリとした音楽が山の裾野を流れていく。電気あるのに全く生活に使わないところが流石だ。


恐らく、食料に必要な金はこの辺の地主ということで回収しているのだろう。日本でこんな隠居生活してる奴はいない。絶対。


早速、みんなで吸おうぜってなって老人に手招きされながら家の中に。申し訳程度のシートが敷いてあった。岩に座る老人を囲むように僕らは座った。


老人が朝からトントンしてくれたガンジャは、もう葉っぱの面影はなく、茶色い固形物になっていた。それを赤土を焼いたパイプに詰め、湿らせた布をパイプの吸口に巻いて、マッチで火をつけて吸う。

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これが意外に難しくてそのまま咥えても空気が逃げてしまうので、何度も老人にパイプの持ち方を教えてもらった。案外、すごい優しいのな。

 


ビシャールが吸うときはまたいつものマントラを唱えだして、それがあまりに長ったらしいもんだから、老人もイライラしだして「おい、いいから早く吸えよめんどくせえ」みたいな事を言いながら途中でマッチで無理矢理吸わせてた。ビシャールのめんどくささは世界共通。

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吸ってみると、すっごいキツい。ビシャールのシングルベッドの下のやつよりもかなり強い。何口か回して吸うともうバッチリきまってしまった。

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普通にむせる。

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さっきから聞こえてきてた音楽が耳に心地いい。そして山からの景色もあまりに美しい。もう完全に吸うための環境がここに整っていた。

 


この天国に一番近い場所で、この老人は、ブログを書いている今でもきっと、ガンジャを吸っているだろう。

 


日本に帰ってからも、この老人の存在を思い出す度に、どれだけ閉鎖的な日本に生きていても、自由はいくらでもあるのだと励まされた。

 

 

 

と、しばらくまったりしてるとなんとお湯を沸かしてくれて、なんかよう分からん葉っぱの入った飲み物を出してくれた。

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砂糖がかなり入っていて、甘い。もう、いやらしいくらいにマンチな時に欲しくなる味付けになっていた。完璧。

 


それから老人は僕らにシヴァを祀ってるところがある、と言って僕らを案内してくれた、と言っても道向かいのスピーカーの脇だった。

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階段をそのまま登ろうとすると、「ちょっと待て!」どうやらここから素足で行かないといけないらしい。いや、老人の足の裏より僕らの靴の裏の方が綺麗な自信があるのに。

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これが一応シヴァ祀ってるらしい
ガンジャを好む神様、シヴァを適当に拝んだ後、なんか老人と僕は変に意気投合して、言葉通じないのに結構話してた。

 

僕「この辺もぜーんぶ、おっちゃんの土地?」

ガ『そうだよ!』

僕「すごーい!!」

『ニヤニヤ』

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案外この老人かわいい。

 

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さて、日が沈むのもあっという間で、夕方になってきた。カオスな老人とも別れを告げ(結構悲しかった)、僕らは山道を下りていった。振り返ると、いつまでも老人は僕らに手を振ってくれていた…。

 

 

 

 

 

 


と思ったらもう次のガンジャをパイプに詰めて吸ってた。


つづく。


次回は、絶対に真似をしてはいけない!インドで死者多数の密造酒を実際に飲んでみたりします。お楽しみに。