ここまでの旅を読みたい人はこちら↓
印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語1 - しらぼ、
印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語2 - しらぼ、
印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語3 - しらぼ、
印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語4 - しらぼ、
現在地、久美子の家。
10月31日 午前7時。
未だ薄暗い外の空気が部屋に入ってきていた。まだ陽は昇っていないらしく、ホッとした。寝坊してはいないらしい。
簡単に荷物を片付けて、着替え、T君を起こす。彼は昨夜寝付けなかったのか、昨日から泊まっていた中国人?らしきツーリストと仲良く吸っていたらしい。ほんとフットワーク軽い。ただ、めっちゃ眠たそうだった。
昨日と同じく階段を下り、舟に乗る。今日の舟は櫂で漕ぐやつではなくて、エンジン式のやつだった。昨日の老人と子供、ではなく、鮮やかな水色のシャツを着た男だった。英語で色々話してくるが、僕はさっぱりわからないし、J君T君曰く、発音がおかしくて聞き取りづらいとのことだった。
水色シャツはぐるぐると勢いよく鉛筆削りみたいなエンジンのモーターを回す。壊れてんのかいな、と思ったりしたが無事にエンジンが唸り、舟は水の上を走り出した。やっぱ手漕ぎより早い。
ガンジス川周辺住民の朝は早い。
火葬の続きや、あちこちで身体を洗ったり、飛び込んで遊ぶ子供、洗濯をする女性なんかが沢山いた。白い布?網?で、なんと魚まで採って食べようとしている。
ライオンキングのパチモンみたいな絵が描かれている建物は、どうやらガンジス川の水を汲み上げて街に送るための施設らしい。それでこのポージングなのか。
早速、ガンジスの日の出を拝むために巻き巻きしてきたガンジャを回して吸っていく。T君の刈り上げが実に良い。
J君もなんか様になっている。
僕なんかただの競艇場のおっさんがタバコ吸ってるみたいになってる。
吸って数分は変化なし。やべ、身体が慣れてしまったのか?と思ったけどそんなことはなかった。
とろ~んとしてきて、波の模様がスッゴいとろっとろになっているように見える。ゼリーみたいな。空の薄明るくなっている部分も、めっちゃ鮮やか。J君に至っては神が降りてきたっぽい。
もう、とりあえず言葉で説明できないから写真載っけておく。全て無加工。ガンジス川、隅田川みたいとか言ってごめんなさい。
そして、日本とは空気が違うからか、太陽はピンク色していた。そして次第に赤みを帯びてきて、照り返した赤色の光の柱がガンジスに建っているように見える。このタイミングで川岸の住民は皆、腰までガンジスに浸かって、お祈りを捧げていた。こりゃあ、神さま信じるわ。インスタ映え半端ないって!
さて、ひと段落したところで、水色シャツは川沿いを今度は手漕ぎで移動しながら説明していく。
そういえば、これが本職なの?と水色シャツに聞いてみた。どうやら他の仕事もするけれど、舟で観光客を案内するのが本職らしく、月に3000ルピー、日本円で4500円ほどだそうだ。それで嫁がいるらしいから、大変だなぁ。
1.2時間程似たような景色と似たような説明を受け、ほとほと飽きた頃にようやく岸に着いた。てかこのルート昨日の夜も通ってるからな。
なんか観光客がヨガ習ってるんだけど、これGTA5にあったよね?
で、一人900ルピー。三人で2700ルピー…っておい!さっきの話絶対ウソだろ。月の売り上げの殆ど今日稼いでるじゃん。
まぁこれがインド人気質なのだろう。けどムカついたので、アップで沢山写真載せておく。
宿で荷物をまとめる。とりあえずバラナシで観たかったものは一通り観れた。もう少し滞在していたかったけど、残りの日数を考えると、早め早めに移動するべきだ。
話し合いの末、次はガヤに行こう!となった。
ガヤのブッダガヤはあのゴータマシッダールタさん(ブッダさん)が悟りを開いた土地として有名な場所。日本でいうと、京都とか奈良みたいな歴史文化溢れるスポットとなっていて、インド文化を知るには避けては通れない道なのだ。
宿を出るとカーンがいた。ほんっと、セーブポイントみたいな男だな。どこにでも現れる。
ガヤに行くよ。と伝えると、それならバラナシ駅よりこっちがいい。さぁ早く乗れよ。的な事を言ってきて、僕らはまた、バイタクに乗った。
地図を見た感じだと、どうやらカーンはムガルサライ駅に向かっているようだった。確かに、ガヤ方面ではあるが、各駅停車の駅感ハンパないんじゃないか??
それならやはりバラナシ駅から乗って、早い列車に乗るべきでは…なんて思ったがそんな高等な話が僕の語学力でできるはずもなく、バイタクはブンブン進んでいった。
さぁ、ついたぞ。
カーンと僕ら一行はムガルサライ駅に着いた。駐車場みたいなところにカーンがバイタクを止めると、近くにいたインド人が「そこに勝手に止めるんじゃねえよジジイ!」みたいに突っかかってきた。
オドオドするカーン。
同じインド人同士だとこんなビビっちゃうのか。日本人には強気なのに。
なんとかどうにか場所を変え、バイタクを止めることができたらしく、僕らは駅舎の中へ。どうやらカーンが列車の券を用意してくれるらしい。僕らはガヤ方面行きのホームで待つ事になった。14時頃の列車があるらしい。
いつものようにホームにタイ航空のひざ掛けを広げ、そこに座り込み、トランプを始めた。やはりこういう旅にはトランプは欠かせない。周りのインド人も、こんな溶け込んだ日本人が余程珍しいのか、周りには人だかりができていた。
よしここで。と、意気揚々にJ君が銀色の輪っかの玩具でワンマンショーをおっぱじめ、インド人は皆目を飛び出させて驚いていた。
一旦カーンが戻ってきた。券を買ったらしいが、列車は16時過ぎに着くらしい。ホームでひたすら待たされるハメに。僕らは一旦ホームを出て、建物裏にコソコソと行き、ガンジャを吸う。一応違法なので、流石にホームにいる警官の前では吸えない。インドで捕まったら洒落にならない。
フワッフワしながら、ホームに戻り、暑い陽射しの中、ひたすらに列車を待った。
ここでお別れだな。とカーンが言った。どうやらお金を請求しているらしい。いくらなの?と聞いて、携帯の電卓画面で渡すと、カーンはあれよこれよと計算した後、僕に画面を見せてきた。7000ルピー。日本円だと一万円超えだ。高すぎるだろ。
結局、三人で話し合った結果、もういっか。とりあえずあちこち行けたし。ってなって、日本円で渡していいか聞いて、1万円渡した。
またどこかで会おうぜ。良い旅を。
的な事を言ったカーンはその場を去っていった。まぁ、後から思うと面白いおっさんだった。可もなく不可もなく。
16時19分ごろ、かなり遅れて念願の列車が到着した。一番安い等級の列車を取ったらしく、券を見てもよくわからないので、適当な位置から乗る事に。メチャクチャ、混んでるじゃん。
狭い。まぁ狭い。日本の満員電車も有名だけど、インドの安い等級の列車もなかなかの混み具合だ。6人掛けくらいのスペースに18人くらいいて、その荷物掛けやら通路やらまでギュウギュウで、その間をしきりに物売りが人を踏み蹴散らしながら何度も何度も通っていく。
かと思えば寝転んで場所を独占するおっさんもいて、少しばかり場所を譲ってもらったものの、足が異様に臭かった。
途中同じ列車にいた学生と仲良くなって、Google翻訳で会話した。どうやら週に一度、実家に帰っていて、今日は学校に戻る為にガヤに行くらしい。日本人に興味深々だったので、日本語をいくつか教えてあげた(全部下ネタ)。そして、カーンから受け取った列車の券を見せると、これは乗車券じゃないよ、と教えてくれた。まんまとカーンに騙されたわけだ。もうなるようになるさ。
この姿勢で2時間半。7時前頃、列車はガヤ駅に着いた。バラナシで全体の半分だったので、ゴールのコルカタまではあと500キロ程だ。
ガヤ駅は照明も少なく薄暗い割に沢山の人がいた。駅のホーム周辺は完全に野宿コースの家族とかが沢山いて、やはりヒンドゥー教の聖地だから家族連れで来てる人が多いのだろう。その間を野良犬がのそりのそりと歩いていた。
列車で仲良くなった学生と写真撮ったりしたけど、全部相手の携帯だったから写メはない。忘れてた。
ちなみに乗車券の確認もなにもなかったのであっさり外に出れた。
宿は今回もアゴダで入手。宿はその場のノリで決めるとかいう旅の情緒よりも金が心配になっていた。ブッダガヤの方の安宿を予約。
毎度おなじみのバイタク集団と値段交渉をし、ブッダガヤへ向かう。かなり列車で疲れていたのか、写真を撮ってない。30分くらいバイタクに乗っていると、ようやく着いた。っていうか、宿はまだ奥なのだけど、バイタクで入れる制限があるようで、ここから先は徒歩で行けとのことらしい。全然インドらしくない。それだけ神聖な土地なのだろう。
しばらく歩く。ガイドの声かけが何人もやって来た。どうやらホテルやらレストランやらの紹介をしたいらしい。
僕が予約したホテルの画像を見せると、あぁ、こっちだ。と連れて行ってくれたのはいいものの、全然違う宿だった。もうめんどくせーよ。って感じで無視してGoogleマップ頼りに宿を見つけた。すごく疲れきっていた。やはりあの列車のダメージはデカい。
宿に着く。六畳一間にデカいベッドが一つ。500ルピー。仲良く並んで寝るには充分な大きさ。空調のプロペラもある。トイレ、シャワーもある。電源も確認。この宿に決めた。
荷物を置き、一息つく。
とりあえず吸いますかっ。て感じで三人で吸ってたら三人でめっちゃマンチになってしまった。もうお腹空いて仕方ない。またゾンビと化した三人は宿を出ると近くに駄菓子屋みたいなボロいトタン屋根の店があって、ブンブン蝿が飛び回る中、パンを卵に浸して焼いただけのものに腐ってるか怪しいケチャップをブリブリかけて4枚ずつくらい食らいついた。
写真撮ってなかったけど、かなり美味かった。そういえば、もう皿に蝿がたかってきても、初日より全然気にならなくなっていた。どんどんインドに染まっていた。いっぱいになったお腹をさすりながら、僕らは宿に戻り、眠りについた。
次の日からこのブッダガヤで衝撃体験を連発するなんて、僕ら三人はこの時は知る由もなかった。
つづく。