しらぼ、

松本真青がSFを書くとこうなる。

悲しみのクンニ 〜kohhと宮本彩菜と白虎の洞窟〜

 

新年早々、インスタで踊る様に羅列されたワードがある。そう、「クンニ」だ。たった3文字しかないのに、あまりにも破壊力のあるその言葉は、早くも今年の流行語大賞を予感させた。

モデルの宮本彩菜に対しその彼氏、ヒップホップアーティストのkohhが2018年を早くもひっくり返す様な勢いでクンニする動画がインスタで公開され、注目を集めた。どうやら宮本彩菜誤爆らしい。

ブログの閲覧数を1人でも増やしたい僕としては「この手があったか!!」とただ唸るしかなく、この波に乗れとばかりに急いでクンニする為に女性器を部屋中探し回った。
しかし冷蔵庫からクローゼット、靴箱の中まで隅々見渡したが、女性器は家に無かった。

震災を経て今、「もしもの時の備え」が必要であるとあれほどまでにメディアで謳われていたのに、なぜ準備していなかったのか。悔しくて膝を叩いた。

悲しさを胸に、とりあえずその問題のクンニ動画を探す。どのサイトに飛んでも、なかなかクンニは出てこない。

「kohhのクンニ動画載せてます」という甘い言葉に誘われてサイトを開けば、悪質な出会い系サイトや身に覚えのない愛人クラブやエロ動画サイトの請求の雨嵐。58万円?大変だ!親にお金借りないと。

すぐに母親に電話をする。そういえば新年のおめでとうの電話すらいれてないのに、年明け一発目でエロ動画サイトに金払うから金を貸してくれっていうのはどうなんだろう。戸惑いの中数コール鳴った後に留守番電話のガイダンスが流れた。出なかったけれど、少しホッとした。気をあらためて動画を探す。

ようやくたどり着いた流出動画。荒れ狂うkohh。完全にコイツは狂っている。そう感じた。ただ、ちょっと待ってほしい。狂っているとはいえ、これは人間の動物的本能である。SNS上に上がったから批難されてるとはいえ、誰しもが性行為でクンニくらいしている筈だ。この叩かれ方はあまりにも可哀想である。イジメはイジメている人だけでなく、イジメを傍観している人にも罪がある。僕がこのブログを通してkohhを助けてあげないと。僕が守らないで、誰が守る!!

その為にも先ずは僕が誰よりもクンニについて知っておかなければならない。僕はそう思った時にはすでに玄関に向かい、靴を履いていた。kohh、お前のクンニは悲しみのクンニじゃない。喜びのクンニだっ!


クンニを調べるべく図書館へ。年明けの近所の図書館には意外と人が多かった。なんだ、みんな年末の段階で金を使い込んで年明けから本すらまともに買う金もないのか貧乏人め。軽蔑の眼差しを向けながら、僕はクンニを知るべく本を探し始めた。本屋で探さないのはお金がないからではない。決して、だ。

僕は日頃から本が好きで、図書館にもよく足を運ぶ。活字離れの現代人は、この図書館での本の探し方がよく分かっていない人が多い。

たまにずっと本棚をウロウロしていて目当ての本を探せない奴がいるが、それは大方素人だ。慣れている人は本のジャンル(政治、科学、歴史、哲学等)や、出版社、著者、本の割付の番号からでも棚の位置を探す事ができる。

探し出してから数十分が経った。おかしい。なにかがおかしい。季節外れの冷や汗がこめかみを流れた。図書館慣れしているこの僕が、どれだけ探しても目当ての本が無い。周りの人が「うわ、素人がいる」みたいな眼で僕を見てくる。これ以上の恥も無いと思い、受付で直接聞く事にした。

「すいません、本を探しているのですが。」

「はい、なんの本ですか?」

受付にはブーメランババアとAKB48の49人目みたいな女の2人がいたので、ブーメランじゃない方に尋ねた。


「クンニの本はどこですか?」

「あっ、えっ…、あの、え…?」

この女、どこまでも処女ぶっていたいのか、クンニなんて言葉はこの世にありませんみたいな顔をする。おそらくクリスマスに向けて彼氏を作るべく10月半ば頃から頻繁に合コンに顔を出したものの、いまいち理想のタイプの異性がおらず、そのままズルズルと独り身のままクリスマス直前まで迎えてしまい、自分が理想の高い高飛車だったことに気づいたが時すでに遅し、独り身で過ごすことになったので慌てて図書館の仕事のシフトを入れてワンチャン受付越しの出会いを求めてみたものの、クリスマスに図書館に来る男なんて所詮ガンプラオタクと嫁に噛み付く経済評論家くらいしか居ないものだから変な男と交際が始まってしまい、初詣なんて行かないでクンニだの岩清水だのを三が日に体験してしまい、あたし、こんな女になるつもりじゃ無かったわ!とばかりに処女ぶってる。
目を覚ませてやるとばかりに僕ももう一度言った。

「クンニ。」

女は顔を赤らめながらも、僕を生物・科学の棚列に案内してくれた。やっぱり知ってるじゃねぇか。お礼にクンニしてあげますよと言いたかったけれど、辞めた。

それからひたすら棚の本を探したのだけれど、人体の秘密とか人体医学とかしかなくて、クンニは無かった。補足だが、女性器も無かった。

結局図書館に来た甲斐もなく、僕は携帯で調べた。クンニとは何か。

クンニリングス(英: 仏: 独: cunnilingus)は、女性器(クリトリス尿道口・膣・小陰唇・大陰唇)を直接舌や唇・歯などで舐めて性的刺激を与える行為。オーラルセックスの一種。俗ラテン語のcunnus(外陰部)とlingere(舐める)が語源である。日本語では「クンニ」と略すことが多い。セックスの際にすることが多い。
(Wikipediaより引用)

クンニって略称だったのか!
クンニだけだとなんか俗っぽいけど、クンニリングスになるとなんかファンタジー感満載である。
フロドが叔父から受け取った「一つのクンニリングス」に取り憑かれながらも魔法使いとかエルフとかみんなでクンニクンニ言いながら滅びの山にクンニリングスしに行くというとてつもなく壮大なファンタジー。孫の代まで語り継ぎたい物語。

なんだかクンニがファンタジックな感じになってきた。ってか『セックスの際にすることが多い』って、他はいつするんだ?法事の際か?

これだけでもkohhを助けてあげられそうだが、更にクンニリングスについて調べてみる。

歴史と文化的意味

クンニリングスは西洋社会では近年までタブーとされていたが、中国の道教では重要な位置を占めていた。道教では体液は非常に重要な液体であり、よってその喪失は生命力の衰弱を引き起こし、逆に、それを飲むことでこの生命力(気)を回復することができると考えられていた。
(Wikipediaより引用)

つまりかなり柔らかく言うとマ○汁飲むとHPが回復するらしい。次回作のファイナルファンタジーポーションの代わりにコレだな。ボス戦の途中でヤバい時は仲間の女をまんぐり返しするしかない。呪文はもちろん「ベホマ○汁!」やっぱりクンニとファンタジーは切っても切れない関係性かもしれない。

更に文章に着目してみる。『中国の道教』とあるが、皆さんご存知だろうか。道教とは儒教、仏教に続く中国三大宗教の一つなのだ。これらは日本文化と非常に関わりが深く、日本の社会の礼節礼儀の基本ベースだ。

先輩、先生など、目上の人を敬いましょう。という教えが儒教

苦しいことに耐え、正しく生きましょう。という教えが仏教。

クンニしましょう。という教えが道教

つまり両親や年上の人に敬語を使い、尊敬しながらも嫌なこと、辛いことに耐え、嘘をつかずに正直に人と接しながらクンニする。これで君も今日から神だ。法事でもクンニして良い。

トイレなんかにある良い言葉を並べた「親父の小言」をご存知だろうか。その一部にも盛り込んでも不思議ではない。

 

親父の小言


火は粗末にするな
難儀な人にはほどこせ
風吹きに遠出するな
人には貸してやれ
クンニしろ
貧乏は苦にするな
借りては使うな
義理は欠かすな
大酒は飲むな
人の苦労は助けてやれ
クンニしろ
年寄りはいたわれ
家内は笑って暮らせ
出掛けに文句を言うな
万事に気を配れ

二回混ぜ込んでも一切遜色ない。


さて、ここまでくるともうクンニがファンタジーであり、仏の教えでもあることが分かっただろう。これでkohhも今日からまた安心してクンニできる。正に喜びのクンニ。

もっと調べていくと、クンニ美談が更に続々と出てきた。僕も感極まって涙するほどの文章があったので、ここに引用する。

「3つの山頂の偉大な薬」が女の体に見出され、それは次の3つの汁、もしくは精からなる。1つは女の口から、もう1つは胸から、そして3つ目の、最も強力なものは「緋色の茸の頂」(恥丘)にある「白虎の洞窟」からのものである。
オクタビオ・パス『conjunctions and disjunctions』


メキシコの詩人、オクタビオの詩である。白虎の洞窟とはなんて詩的だろうか!

合コンで狙った女に「白虎の洞窟に行かないかい?」なんて赤ワイン片手に囁いたらイチコロである。こんな詩的な言葉を巧みに使う男と出会っていれば図書館の女もクリスマスは独りで図書館勤務しなくてよかったのに。

まぁ白虎の洞窟に行くのが男で、白虎の洞窟でイクのが女なのだが。

と、ここまでずっと新年からクンニクンニクンニクンニ言ってると、本当にクンニしたくなってきた。だって生命力回復するし、白虎の洞窟だし。決して性的にクンニしたい訳じゃないからね?

部屋に女性器転がってないから、じゃあ風俗でもいくかと思って今度は「クンニ 風俗」で調べてみる。僕のGoogleの検索履歴がクンニだらけになって恐ろしいことになってきた。

検索結果を見ると、出るわ出るわSMやらM性感のお店のホームページ。五反田、鶯谷が多いらしい。まさに東京のローマといったところか。

めぼしいところを調べて早速予約する為の電話をかけた。お触りNGとかクンニNGなんて風俗店だったら全く行く意味がないので、確認する必要がある。待ってろよ!俺の白虎の洞窟!

高鳴る期待も虚しく、数コールかけても電話が繋がらない。この風俗店何やってるんだ!?商売する気あんのか!こっちは顧客だぞ!?焦りが募った。

諦めて違う風俗店のホームページを調べようとすると、すぐに着信が。携帯を触ったままなのでワンコールもせずにすぐに電話に出た。きっといま電話した風俗店に違いない。

「あのっ!クンニしたいんです!クンニ!クンニ出来る子でお願いします!あとパンスト破りオプションで!」

勢い余って叫ぶ様に電話で伝えた。僕はもうクンニに取り憑かれていた。ちなみにパンスト破りに関しては、後日話すとしよう。

返答を待つ僕の耳に衝撃が走った。

「あんた、何言ってるの?私よ。お母さんよ。」

なんてことだ。
顔が真っ青になった。
身体が震えた。

そういえば、さっき金を借りようと電話していたではないか。
母親に年明け一発目、クンニ!と叫んでしまった。母親が続けて尋ねてくる。

「さっき電話してきたじゃない。何かあったの?」

「いやちょっと、さっきのはお金借りようと思って。」

「あんた正月から何言ってるの!?どうせ風俗にでも行くつもりでしょ?バカじゃないの!?」


電話をガチャ切りされて呆然とする僕。

これが誤爆ってやつですか。