しらぼ、

松本真青がSFを書くとこうなる。

いきすぎた便器


朝、気持ちをナイーブにさせる出来事があった。仕事の前にトイレで用でも足すかとコンビニへ。最近のコンビニはトイレが綺麗だと客足が伸びるみたいな思想が根付いているものだから、割とトイレが綺麗になっている。

昔はトイレが汚かった店舗も見事に改装されていたりして、昔はあんな奴だったけど、ここまで立派に育ったのか。と感慨深いものがあり、胸が熱くなる。

さてトイレしようとするのだけれど、便器の蓋を途中まで開けると、そこからが硬くなっていて蓋が開けられないのだ。恐れおののいて手をはなすと、その蓋は再び元の位置まで下がっていき、閉まってしまう。なんということだろう。生まれてこの方、便器に拒絶されたのは初めてであった。

僕の事が嫌いなんじゃないか。

という考えが脳裏をよぎる。


例えるなら恋愛でいうところの12月の半ば、そろそろクリスマスじゃないかと思い、今年はプレゼントは何をあげようかな?サプライズしようかな?ムフフと心躍らせながら仕事を終えて帰宅していると、彼女からラインが。

「もう別れよう。」たった一言でこれだけの破壊力を秘めた言葉があったのかと疑うくらいにショックを受け、すぐさま理由を聞く。

「分からないならいいよ。」なんて返事か来ると、分からないから聞いているのに此奴は何を言ってるんだ!と憤りながらもそこは紳士的に返事を適当に返す。

どうやら今日は彼女との一年記念日だったらしく、クリスマスの計画を立てて浮かれる前に意外な落とし穴があったようなものだ。記念日なんかおちおち数えてられるか!メンヘラか!と憤りながらも、そこは紳士に返事を適当に返す。

「とりあえず、謝るから今から会いに行くよ。」今更何を謝るんだと自分でも呆れるものの、クリスマスを一人で過ごす訳にはいかないのだ。ここは忍耐あるのみ。

家の玄関を出ると、北風が肌を刺すような寒さをぶつけてくる。なにもこんな寒い日に会いにいかなくても。と思わず自分で呆れるものの、クリスマスを一人で過ごす訳にはいかないのだ。満月の月の下をトボトボと歩いた。

彼女の家は家からさほど遠くない。歩いて着く距離だ。ラインで「家に着いた。」とだけ送る。すぐに既読。彼女から返ってきた言葉は、「もう帰って。」だった。こんな寒い中歩いてきたのにあっさり帰れるかい!と思い、玄関のチャイムを鳴らす。

しばらくすると玄関の向こう側に人の気配がして、ガチャリと扉が開く。しかしドアロックされたまま、彼女はその隙間から顔を覗かせてこう言った。

「もう帰ってほしい。」

またすぐにドアを閉めようとする彼女。この扉がしまれば、二度と開くことはないのだろうと、慌てて僕は扉の隙間に手を差し込み引っ張る。だが彼女は扉を閉める手の力を緩めることなく閉めようとしてくる。恋愛とは残酷なもので、冷めた恋の先には相手を慮る気持ちは全く残らないものだ。

思わず手が挟まりそうになり、恐れおののいて手をはなすと、扉はバタン。と閉まってしまった。

僕のことが嫌いなんじゃないか。

ってくらいトイレの蓋が開かない時のショックは大きかった。結局壁についている便座の開閉ボタンを使えば開くつくりになっていたのだけれど、こんなの恐怖を煽るだけで必要無いよ!!と思う。ここまで自動式になるといきすぎた便器だ。便器だけど不便だ。


とまぁ、こんな感じで文章を書いたのを投稿前に友人に見せたら、

「またトイレネタ?それしかないの?それに例え話がいきすぎてるし。こんんな作り話よく妄想して書けるね。」

と露骨に言われ、こいつ、

僕のことが嫌いなんじゃないか。

という思いが脳裏をよぎった。どうせ僕のブログなんて身も蓋も無いですよ。いや、蓋はあるか。