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しらぼ、

松本真青がSFを書くとこうなる。

あの日みたモザイクの向こうがわを僕は忘れない

(2015年12月22日制作)


モザイク。


と聞いて貴方は何を連想するだろう。



地上波では放送できないような内容だったり、ちょっとエッチな内容だったりに使われる修正のことをイメージする人が大多数であろう。無論、今回のモザイクとはエロな動画のモザイクについてである。





ガラス、タイル、木片などを用いた欠片を寄せ集めた芸術品のことを連想した人はとんだ勘違い野郎である。
と恐れながら言わせていただきたい。






そもそも何故?モザイクは必要なのか。
海外では無修正での動画が認められているにも関わらず、なぜ日本では規制がかかってしまうのか?不思議である。
そこには日米の深い関係性が?
日本の政治の流れは?
資本主義とはなにか?
そしてこれから歩むべく日本の方向性とは?



今回はそんなモザイクの必要性についてのお話。






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少年というのは、
性についての関心に満ち溢れている。

幼少期の頃は男女の違いすらもわからなかったのに、小学生くらいにもなると、登下校の時に棄ててあったエロ本を周囲を気にしながら、足で蹴りながらページを捲り、男女の違いというのをだんだんと知っていく。


学校で学ぶ性教育なんてものは陳腐なもので、性の違いを学んでも性行為は学べないから全くもって意味不明だった。コウノトリが運んでくるとか、キスしたら妊娠するとかいうデマが錯乱した。

そんなものを学んでも要点がつかめないのである。

結局はエロ本やエロ動画を観て、人はだんだんと大人になっていくものである。






あれは僕が15歳の頃。

青年に近づく僕は性に対しての好奇心がまるで湯水のように湧き出ていた。

男というのは馬鹿で愚かでどうしようもない生き物なのだけれど、皆が皆、性に関して好奇心旺盛でお互いの性知識を競い合っていた。

暴力で成り立つピラミッドのような組織図は、平成生まれの僕らの世代にはなかった。けれど、代わりに性知識の多いもの、性に精通した者がピラミッドの上に立つような組織図があった。


僕はまだ童貞だったのだけれど、友人達の中では群を抜く知識を持っていて、ピラミッドのツタンカーメンの墓の入り口とかあって、そこから干しぶどうみたいなミイラでも出てくるんじゃないかって位の高地位を確立していたのである。


無論、早々と行為をして卒業した同級生なんかはピラミッドの頂上からヘリコプターから垂れた吊り梯子に掴まって飛び発っていくようなもので、このピラミッドはあくまでも童貞の世界なのである。


しかし、僕と同じ位の地位を確立した友人は何人か居たものの、頂点に立つ者は1人も居なかった。

それは何故かというと、それぞれの知識を競い合う中で、皆が皆、共通した知らない事実がある事を知ったのだ。




そう、モザイクの向こうがわである。




誰もまだその領域に達していなかったのだ。

そもそも何故、女の乳輪とか喘ぎ声とかが認められているのに、そこまでしといて陰部だけモザイクが必要なのか?当時の僕には全くもってわからなかった。




あれ??じゃあエロ動画とかで観ればいいじゃない。
と貴方はいま考えたかもしれないが、ちょっと待ってほしい。

それにはこの頃の時代背景が大きく関わっているのだ。

田舎だったのも大きいが、この頃の僕らにはまだ1人一台ずつケータイを持っているという事も稀だった。

しかもケータイはスマホではなくガラパゴス

エロ動画自体も、現代のような優良なサイトは無く、すぐにスパムメールの嵐になるような悪質なサイトや、結局たどり着いても修正済みの動画しかなかったのである。まさにエロにとっては世紀末である。

この時代は凄く重要で社会の授業でも必修項目なのでぜひとも覚えていただきたい。


そして、男達は奮い立った。
ピラミッドの頂点に立つのは
この俺だ。と。

それにはもう、どうにかしてモザイクの向こうがわを観るしかなかったのである。


ある日の公園で、友人達が躍起になってケータイを弄って無修正動画を探している時、僕は1人、ペダルを踏み込んだ。




そう、僕が自転車で向かったのはビデオ屋さんだった。


それもTSUTAYAみたいに幼稚なビデオ屋さんじゃなく、パチンコ屋さんの隣にある、ボロいビデオ屋さんだ。


書物、文献、映像。

そのどれをとってもTSUTAYAよりは良質なものが揃っている気がしたのだ。


ビデオ屋さんに到着し、自転車を停める。

そこには、パチンコ屋さんの音でいまにも崩れてしまいそうな勢いのビデオ屋さんがあった。なぜだか僕の期待も高まる。



入り口を入ると、店内にはホコリといかくんの臭いがたちこめていた。

レジの奥から白髪混じりの店長が、ニュッと出てきた。なんとなく気まずい。

「おや、いらっしゃい。」

ニヤッと笑う店長さんの歯がところどころ抜けていて、なんだかモザイクみたいになっていた。

その口のモザイクの向こうがわには、なんてことはない。そこには干しぶどうみたいなミイラを彷彿とさせるノドチンコが哀愁を帯びながらぶら下がっていただけだった。

僕は軽く会釈をして、漫画の棚の奥のお目当てのコーナーへ向かった。


ビデオコーナーの新作の欄とかを見ても、どれも一昨年の作品のものばっかり並べてあった。

他にもタイトルをみても、奥様特急!銀河鉄道スリーファック!とかそれいけ!あんばいの良い人妻!とか卑猥なものがズラリ。

表紙の写真の女優さんはダライ・ラマみたいな顔の人ばかりだった。

どれも無修正ではなく、加工が施されていた。どうやらこのお店にも置いてないらしい。

諦めて僕がお店を出ようとすると、店長が僕に話しかけてきた。馴れ馴れしいなおい。

「きみ、もしかして、あれをさがしているのかな?」


男というのは馬鹿なりに、分かり合うのが早いらしい。店長は僕のことを察してくれたし、僕も、店長の言う「あれ」が無修正のビデオのことだという事を察した。


「はい。そうなんです。」


と僕が答えると、


「店頭には出してないんだよ。」


と言ってレジの下の引き出しからタイトルも何もない、3本のビデオテープを取り出してきた。おもむろに。

店長さんがガチャガチャと歯を鳴らしながら説明する。どうやらビデオ一本で1500円もするらしい。

当時の僕にとってはそれはそれは1500円というのは大金である。しかもビデオテープの中身もよく分からない。かなりリスキーである。

しかし、これくらいのリスクを負わないとモザイクの向こうがわは見えてこないのである。俺は超えてみせる!そう心の中で自分に言い聞かせた。

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1500円を店長に渡して、一本のビデオを選んだ。






僕はまた自転車に乗り、意気揚々とペダルを踏み込んだ。凱歌を歌いながら自宅へ向かう。



早速、自宅の部屋に篭って、ビデオテープを再生する。インディーズ特有の画質の悪さが少し目立つが、まぁいい。




猥らな女性がベットの上に寝転がっていた。下半身をこちらに向けているが、羞らいがあるのか、脚を閉じていて肝心なところは見えない。

そこに男優が登場。

ゆっくりと女の膝頭を両手で掴んで、広げていく。

おもむろに。

女の顔が紅く火照っていく。

声を張り上げていく。

クライマックス。

脚が全開に開かれた。




そしてついに!

僕はモザイクの向こうがわを見た!

そこには、












干しぶどうみたいなミイラがいた。










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何故、モザイクが必要なのか。


それは青少年が健全に成長していく為には見てはいけないものが
この世には数多に存在からである。
そしてそれは青少年の思考や夢を
著しく破壊するものであって、
規制が必要なのである。




あの日見たモザイクの向こうがわを僕は忘れない