しらぼ、

松本まさはるがSFを書くとこうなる。

韓国放浪記〜釜山は○○〜



今回は今年2月23日から25日にかけて旅行した韓国放浪記の話。


東京羽田から故郷熊本へ。数泊した後に23日早朝から熊本⇨博多天神博多港国際ターミナル⇨韓国釜山
というルートで今回は韓国に行ってきた。


事前に東京までの往複路はきちんとチケットも購入済みで準備万端。あとはワクワクドキドキの初韓国を楽しむ…というプランだった。



いざ国際ターミナルに着くと、もう中でサッカーの試合できるんじゃないのってくらいの巨大な旅客船が並んでいる。まるでタイタニックさながら、である。
なんて素敵な旅なんだ!と胸をワクワクさせてお目当てのフェリー、「beetle」を探した。

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そこにはもうポンコツな船が一艘。
潮風を受ける「beetle」の文字。
本当にこんな船で行くのか!?と不安になった。いまにも沈むんじゃないかって勢いだ。

そんな不安ももろともせず、無事船は僕を乗せて釜山へ向かった。


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クジラとの衝突の可能性がある、とのことで低速運転で進む「beetle」。2時間弱。小さい船は半端なく揺れて胸がワクワクからムカムカに。
そんな中、ようやく船は釜山に到着した。

まだ見ぬ土地にワクワクする。


入国審査を受けてターミナル内でお金の換金。12万ウォンと思うとお金持ちになった気分だけど1万2千円足らず。まぁなんとかなるさ。

ターミナルを抜けて外へ。
広い空。遠くに立ち並ぶビル。ほのかに香る潮風。異国情緒はないものの、やはり日本と雰囲気は違った。


今回はホテルは事前にとっておらず、まぁ釜山に着けばなんとかなるでしょくらいの気持ちで来てしまったので、さてどこに行くか。目の前に止まったバスにとりあえず乗り込む。


「このバスはどこにいくんですか??」

僕が問いかけると運転手は答えた。



「무슨 말을하는지 모르겠다!!」

ものすごい剣幕で罵ってくる。
しかしもうなんて言ってるのかさっぱり分からない。そういえば韓国は韓国語なので日本語が伝わらないのは当たり前なんだけど隣国だからなんとかなるかなぐらいの考えが愚かだった。

すごすごと車内に座る僕。なんて怖しい国なんだ韓国。

すると運転手がまた罵ってくる。

「돈을 지불!!」

意味わからない言葉を吐いて料金箱をガシガシと叩く。ぶっ壊れそうだ。しかしそのジェスチャーで前払いなのだと気付いた。


なんて怖しい国なんだ韓国。初めっから半泣き状態である。なんか海外旅行する度に最初強烈な叱咤を受けるんだけど、いったいなんなんだろう。

しかし、韓国の怖しさを知るのはこれからだった…








クラクションをけたたましく鳴らしながら大通りを走るバス。20分程もすると賑やかな街に来た。適当にバス停で降りる。

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釜山の観光地で有名な「西面(ソミョン)」だ。勿論到着したときには全く分かっていない。

とりあえずお腹が空いたので賑わっている食堂に入ると、老若男女、ヨボヨボのジジイからキャピキャピのOLまでが、何をどうしたらこんな色になるんだってくらい真っ赤な麺を啜っていた。僕はあまり激辛とか好きじゃないのでメニューの写真を見て、とにかく赤くない料理を頼んだ。白濁色のスープに野菜と麺が入ったもの。これなら辛くないはず。

しかし数分して店員が持ってきた料理は、メニューと全く違うコテンパンに真っ赤なスープだった。滅茶苦茶である。しかもみんな食べてるものと一緒だ。

「취향에 바랍니다」

またなんか分からない言葉をゴチャゴチャいいながら店員がボウルを僕のカウンターに置く。真っ赤なコチュジャンソースみたいなのが入ってた。まだ入れとけってか!キチガイだな!

一口食べるともう辛くて舌が痛くて美味しいとか美味しくないとか分からなかった。これがアベレージで昼飯なのか。きっと韓国人はみんなドMに違いない。



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その後、立ち飲みや屋台でひたすら酒を呑み、おでんやホットクを食べる。どこに行ってもたいして食べ物も同じでどこまでもおでんかホットク。

屋台が並んでて

おでん屋
おでん屋
おでん屋
ホットク
おでん屋
おでん屋

みたいな並び。
もういい加減飽きる。韓国人はこんなの毎日たべてるんだろうか。

とそこに、屋台の一つに日本語が書いてあった。

「日本語OK。日本人屋台」

やっと日本語があった。もう日本語が懐かしくて恋しくて思わず中に入ると、おばちゃんと若者の男性客が2人。みんな日本人だった。狭い屋台の椅子に座った。

「ビールください。」

はいはい〜、と返事をしておばちゃんが瓶ビールを出す。言葉が通じるということがこんなにありがたいことだとは。

「あっ、日本から旅行で来てるんすか?」

カウンターに座る客に尋ねた。

彼ら2人は埼玉の大学生で、就職前のこの時期に韓国旅行を決めたらしい。僕と違って彼らはホテルも予約済み、観光地も下調べして来ているそうだ。オススメの観光地を聞いてみる。

「チャガルチ市場に行ってみると良いですよ。魚が美味いそうです。」

親切に教えてくれた。どうやら西面から南下して今朝降り立った港よりも更に南西の方にあるらしい。明日行くことにした。

瓶ビールとチャミスル、肉炒めを食べて会計をする。2万2千ウォン。明らかに他の屋台より高く取られた。日本人料金ということか。背に腹はかえられない。
僕は屋台を後にした。


さて、ホテルを探すことに。
と、ここで所持金をみてみると

5万2千ウォン。
もう半分近く使っていた。
そしてどのホテルを見ても、相場が「5万ウォン〜」になっていた。
これには参った。5千円弱で泊まれるのだから日本に比べればだいぶ安い。だけど僕はそれ以前に所持金が無かったのだ。

今日泊まると明日は野宿になってしまう。こればかりは避けたい。

酔ってふらつく足取りの中、安宿を探し歩く。こんな時の安宿の探し方は世界共通かもしれない。とにかくボロい宿、だ。

一軒のボロいラブホテルを発見し、中に入っていく。エントランスと言うには仰々しいほどのボロいカウンターに颯爽と老婆が現れた。ジェスチャーを交えて言うには、どうやら3万ウォンらしい。仕方ないので3万ウォンで手を打ち、泊まることにした。

部屋の鍵を渡されて、302号室へ。
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中に入るとモワンとホコリといかくんの匂いが立ち込めていた。確かにボロ宿だけれどベットメイキングも小綺麗にはしてあった。渋谷の自宅と部屋番号が同じなだけあって、無性に家に帰りたくなる。なにが楽しくて1人韓国の安ラブホテルに泊まっているんだか。

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充実したアメニティ。
石鹸、シャンプー、歯磨き粉と使用済み歯ブラシ。世紀末である。


一通り部屋を眺めたところで、小腹が空いたので近くのコンビニに行くことにした。所持金も僅かだが、なんとかなるさ。もう明日のことは考えない。今を生きる。


ブルブルと身体を震わせながら近くのセブンイレブンに。呑んだ後はやはりカップラーメンが食べたい。とおもってカップラーメンの陳列棚へ。






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まぁ、なんというか国民性がにじみ出ているというか、辛いものしか置いてない。パッケージが爛々と赤い色しやがってからに。一つだけ黒いパッケージのラーメンがあったので手に取った。
コンビニでお湯を入れてラブホテルに戻る。

部屋で食べるとアホみたいに辛かった。
カップラーメンのフタをみると死にかけのニワトリが口から火を吐いている絵が描いてあった。

半分くらい食べ残して痛い喉と舌を堪えながら震えながらその日は眠りについた。


続く。