しらぼ、

松本まさはるがSFを書くとこうなる。

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語7

 

ここまでの旅を読みたい人はこちら↓

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語1 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語2 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語3 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語4 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語5 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語6 - しらぼ、

 

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ぶっはー!!

 

 

11月2日 12:00

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同じ宿にそのまま連泊した僕らは昼頃まで寝ていた。この先の旅を考えるとブッダガヤで連泊するか、先を急いでコルカタに行くか、の二択なのだけど、ブッダガヤの喧騒のない雰囲気が気に入ったとか、ビシャールがぶっ飛んでて面白いとか、これまでの弾丸移動続きの疲れとかもあって、もう少し、この土地に居てみようと思った。

 


4日の深夜に飛行機に乗れさえすればいいので、ようやくこの旅に余裕が出てきた。コルカタまで車でも8時間半、列車なら尚早く着く。

 


起きたのは昼過ぎ。この部屋の何が嫌かってダニがめっちゃ激しくて、起きたら更にもう刺すとこないんじゃないのってくらいビッチリ刺されていた。

 

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T君は気に入った覇気カットにスプレーで更に輝きを放っていた。

 

 

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そしてみんなで巻き巻き。

もうこのくらいの日数になると初心者の僕でも結構綺麗に巻けるようになっていた。

 


昼2時過ぎ。外に出てみると、もう早速ビシャールが会いに来ていた。カーンの時もそうだったけど、とにかくホテルの外にセーブポイントみたいに待機している。よっぽど日本人旅行客が良い「カモ」なのだろう。

 


とりあえず写真。

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左のコスプレは僕です。

 


昼飯を食べに行こうぜ!というビシャールの提案で、僕らは近くのバイタクを拾いにいく。その前にとりあえずまた売店でアイスを食べて、両替所へ。

 


とりあえず3万円分を円からルピーにしてくれ。って言ってカード渡したら、オーケーオーケー言ってるインド人店主に間違えられて3万ルピーでカードを切られてしまった。

 


日本円で4万5千円。どんな間違いだよ!って言ったら、ゴメンゴメンって言われて50ルピーの札束を何束もくれたので、すっかり金持ち気分になった僕は、まぁ、なんとかなるさっ。って思った。韓国で一万円が10万ウォンになった時と同じ原理だから、ほんっと成長してない。

 

 

バイタクを拾ってしばらく進むと沢山道沿いに観光客向けのレストランやショップが並んだ通りに出る。

しばらく進んだ所のレストランの前で止まり、中に入った。

 


中庭側には壁もなくテラスの様に吹き抜けになった店内は多少暑いが天気も良く、気持ちいい。なんとなく小洒落た雰囲気で、つかの間インドにいることを忘れさせた。

 


店の端の方のテーブルを見るとオレンジのターバンを巻いたガチなお爺さんがもう1人の男と飯を食っていた。あぁ、やっぱりここはインドですか。

 


どうせまた美味しくない料理しかないのかな、と思ったらメニューにノンベジのメニューがあった。迷わずチャーハンとチキンカレーを頼んだ。

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ブッダガヤから少し外れたこの辺りはどうやらノンベジ料理もあるみたいだ。もちろんビシャールも注文する。僕らの金で。

 


もちろん厳粛なヒンドゥー教の人はベジタブル料理しか食べないらしい。

とビシャールに言われてパッとさっきのオレンジターバンのお爺さんを見たら、チキンカレーの鶏肉を両手で持ってかぶりついていた。あれアウトじゃん!!お爺さんが僕と目が合うと、バレちゃった、みたいな恥ずかしそうな、気まずそうな顔してた。


インドのレストランだとどこでもでてくるケチャップとマスタードをブリブリにかけながら昼飯を食べ、レストランを出た。


どうやら先ほど拾ったバイタクの運転手はビシャールの知り合いらしい。そのまま外で待ってくれていた。バイタクに乗り込み、今度はビシャールの運転で走り出した。

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もう当たり前のようになってるけど行き先も何も聞いてない。ここでビシャールが反旗を翻せば僕らは終わってしまうのだが、もう完全にビシャールを僕らは信頼していたので任せっきりになっていた。

 

突然インドミュージックが爆音で流れ出す。バイタクの荷台を見るとウーファーが積んであった。

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ビシャールがノリノリで頭を振っていた。とっても楽しそうだ。

 


しばらく道を進むと、砂漠が見えた。

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へーっ、インドにも砂漠あんのねー!って言ってたら、どうやら間違いで、河川らしい。乾季の時期になると完全に水が干上がってしまうみたいだ。やはり年中流れ続けるガンジス川は他の河川とは格が違う。神聖化される訳だ。

 

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説明なくビシャールが頭を揺らしながら進む事30分。運転手はなんだかよくわからない大きな建物の脇にバイタクを停めた。左手には長く伸びた山がある。ビシャールはバイタクの運転手をそこに残し、さぁ行こう!みたいな事を言っていた。J君の通訳によると、どうやらここから山道を登っていくと中腹にブッダが修行した祠があるらしい。ちなみにマップでみると赤ピンが僕らの宿、右上の黄色ピンが祠の場所だ。距離にして15キロほど。だいぶ遠くまで来た。

 


坂を登りだすと、やはり観光地なのか、坂道を上まで登るぜ!50ルピーだぜ!みたいなバイク集団が登場した。浅草の人力車みたいなノリなんだけど、エンジン吹かしてブイブイいってたんで北斗の拳のザコ敵にしか見えなかった。たしかに風景は世紀末。

 


あべし!とかひでぶ!とか言ってくる彼等を無視し、坂を登りだす。暑いのですぐに汗が噴き出す。10分ほど登ったところに、観光案内所みたいな建物があった。カラフルな布がはためいていた。

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ビシャールが「ここで上着脱いで干すといいよ!」的な事を言うので上半身裸になり、さあ行きますかってなったら「神聖な場所だから上着を着た方がいい!」とか言ってきた。どっちなんだおい。

 

案内所からすぐの場所にあった岩壁の小さな隙間から中に入ると、中にちっさく金ピカのブッダさん。肋骨浮き出たガリガリのスタイルで苦行の苦しさを物語っていた。

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でも僕には祠の入り口といい、中のブッダといい、陰部開いたらクリトリスありましたみたいな間取りだったのが一番ツボで、一人で笑ってた。

 

写真撮ったらダメだっ!ってインド人に言われながらパシャパシャ撮り、僕らは外に出て来た道を下る。


なんだ、こんなん見にくるだけでこんな遠いところまで連れてこられたのか、とモヤモヤしていたらその様子にビシャールが気づいたらしく、「近くにもっと面白い場所があるよ!」と言った。でもどうせこのクリトリスブッダが面白いくらいなら、大したことないんだろうなぁー、と思いながらバイタクまで戻った。

 

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おしっこタイム。


16時を過ぎたくらいになった。まだ日は高い。

バイタクに乗り、山沿いを更に進む。

すれ違う車の数も減り、明らかに観光地ではない、怪しい場所に連れて行かれるのがわかった。舗装された道も無くなり、かなりの凸凹道になる。


10分ほど進んだところで、バイタクのエンジンを切った。どうやらまた、坂道を登るらしい。やれやれ。


今度は北斗の拳のザコ敵ではなく、子供達が出てきた。物乞いする訳でもない。珍しい日本人を見たくて走って寄ってきていた。ナマステ!挨拶すると手を合わせてナマステー!っと返してくれた。かわいすぎだろ!


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坂道をしばらく登る。先ほどよりもだいぶ景色がいい。


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J君はこのキングダムっぽい景色に心打たれたのか、完全にそっちの人にしか見えなかった。


そんな時だった。

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ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!


ビシャールが叫びだした。ついに頭おかしくなったか!

 

ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウェイ!


ビシャールが指を指す。

マンキーマンキー


僕らは指を指す方を見てみると、

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山があった。山しかない。


ビシャールがそれでもしつこいので、注意深く見てみると、ほんっとちっちゃく黒い影が二つ、見える気もする。(写真だと分かりません)

 

マンキー(猿)は神様なんだー!」

ビシャールはとても大切なことのように唾飛ばしながら語ってくるんだけど、すっごいどうでもよくて三人でドン引きした。

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J君は優しいので少しだけ付き合ってあげた。

 

この距離じゃ飼ってる猿でも来ないだろ。無視して登りだしたらまだ後ろからウェイウェイ聞こえてた。


猿呼んでる場合じゃないとさすがにビシャールも気づいたのか僕らの方に急いで来て、また先導しだした。

 

しばらくすると、道の右手に藁葺きの小さい小屋がある。壁、床もない簡素な造りだ。中にはターバンを巻いた老人がまな板とナイフのようなものでずっとトントントントン刻んだり叩いたりしていた。

 


さぁ!ここだよ!とビシャールの案内で中に入るとターバンの老人は人見知りなのか、特に何も話してこない。そして老人の手元を見るとさっきからトントンしてたのは…ガンジャだった。

 

 

 

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ガンジャの老人 本名 不明

 年齢56歳

言語 ヒンドゥー

レア度★★★★★★

 

どうやら話を聞いてみるとこの老人、この山一帯の土地の持ち主らしく(自称)この藁葺き屋根の下で30年間ずっと庭先に自生したガンジャを吸い続けるという、もうこの旅路上最高にカオスな老人だった。どうやらビシャールとはガンジャ仲間らしい。


老人の生活環境というと藁葺き家の他、食料は山の下の子供達が必要分運んできて、水は道向かいの井戸から汲む。小さなソーラー発電機が置いてあって、そこから伸びたコードの先にスピーカーが付いててマッタリとした音楽が山の裾野を流れていく。電気あるのに全く生活に使わないところが流石だ。


恐らく、食料に必要な金はこの辺の地主ということで回収しているのだろう。日本でこんな隠居生活してる奴はいない。絶対。


早速、みんなで吸おうぜってなって老人に手招きされながら家の中に。申し訳程度のシートが敷いてあった。岩に座る老人を囲むように僕らは座った。


老人が朝からトントンしてくれたガンジャは、もう葉っぱの面影はなく、茶色い固形物になっていた。それを赤土を焼いたパイプに詰め、湿らせた布をパイプの吸口に巻いて、マッチで火をつけて吸う。

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これが意外に難しくてそのまま咥えても空気が逃げてしまうので、何度も老人にパイプの持ち方を教えてもらった。案外、すごい優しいのな。

 


ビシャールが吸うときはまたいつものマントラを唱えだして、それがあまりに長ったらしいもんだから、老人もイライラしだして「おい、いいから早く吸えよめんどくせえ」みたいな事を言いながら途中でマッチで無理矢理吸わせてた。ビシャールのめんどくささは世界共通。

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吸ってみると、すっごいキツい。ビシャールのシングルベッドの下のやつよりもかなり強い。何口か回して吸うともうバッチリきまってしまった。

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普通にむせる。

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さっきから聞こえてきてた音楽が耳に心地いい。そして山からの景色もあまりに美しい。もう完全に吸うための環境がここに整っていた。

 


この天国に一番近い場所で、この老人は、ブログを書いている今でもきっと、ガンジャを吸っているだろう。

 


日本に帰ってからも、この老人の存在を思い出す度に、どれだけ閉鎖的な日本に生きていても、自由はいくらでもあるのだと励まされた。

 

 

 

と、しばらくまったりしてるとなんとお湯を沸かしてくれて、なんかよう分からん葉っぱの入った飲み物を出してくれた。

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砂糖がかなり入っていて、甘い。もう、いやらしいくらいにマンチな時に欲しくなる味付けになっていた。完璧。

 


それから老人は僕らにシヴァを祀ってるところがある、と言って僕らを案内してくれた、と言っても道向かいのスピーカーの脇だった。

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階段をそのまま登ろうとすると、「ちょっと待て!」どうやらここから素足で行かないといけないらしい。いや、老人の足の裏より僕らの靴の裏の方が綺麗な自信があるのに。

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これが一応シヴァ祀ってるらしい
ガンジャを好む神様、シヴァを適当に拝んだ後、なんか老人と僕は変に意気投合して、言葉通じないのに結構話してた。

 

僕「この辺もぜーんぶ、おっちゃんの土地?」

ガ『そうだよ!』

僕「すごーい!!」

『ニヤニヤ』

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案外この老人かわいい。

 

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さて、日が沈むのもあっという間で、夕方になってきた。カオスな老人とも別れを告げ(結構悲しかった)、僕らは山道を下りていった。振り返ると、いつまでも老人は僕らに手を振ってくれていた…。

 

 

 

 

 

 


と思ったらもう次のガンジャをパイプに詰めて吸ってた。


つづく。


次回は、絶対に真似をしてはいけない!インドで死者多数の密造酒を実際に飲んでみたりします。お楽しみに。

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語6

 

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ぶっはー!!!

 

 

 

ここまでの旅を読みたい人はこちら↓

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語1 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語2 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語3 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語4 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語5 - しらぼ、

 

 

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11月1日昼12時。

昨夜のマンチ飯から部屋に戻り爆睡した僕らは昼まで寝てしまっていた。

と思ったらどうやらJ君は一足先に何処かへ出かけてしまったらしい。部屋には僕とT君の二人になった。


身体がめっちゃくちゃ痒い。肌には腕も足もビッチリとダニに食われた跡が。100箇所は軽く超えている。これまで何箇所か宿に泊まって気づいたのだけれど、ダニにも好みみたいなのがあるみたいだ。三人で同じベッドで寝てもダニに食われる人と食われない人がいる。どうやらこの宿のダニは僕の血が大好きみたいだ。


とりあえずJ君が戻ってこないことには出かけてしまうとバラバラになるので、洗濯することにした。インド初日にエアロシティのセブンで買った固形洗剤で洋服を擦り、水で流しては絞る。部屋は4階だが、上が屋上になっていて干せると宿の主人に言われていたので早速持って行った。

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先着の洗濯物が沢山干してあってスペースがない。仕方ないので乾いてるやつからどかして詰めて干していった。

 


この宿は珍しくシャワーからお湯が出てきた。このソーラーの天日によって、お湯にしているのだろう。なかなかクオリティの高い宿だ。そして、空が綺麗だ。

 

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程なくしてJ君が帰ってきた。昨夜歩いた通り沿いの出店を見たりしてぶらついていたらしい。そしてなんと、新たなガンジャ仕入れ先の開拓までしてくれていたみたいだ。あっぱれ。

 


とりあえず一巻きして、みんなで吸った。T君が着る服がもう足りないみたいで、J君がお土産に買っていた服をとりあえず試着することに。

 

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あぁー。無理だね。

 


とりあえず、表に出た。昨日の夜に何人もいたうちの一人がいた。どうやらJ君はこのガイドの一人と意気投合したらしい。このガイドこそ、この旅の重要人物の一人、ビシャールだ。

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Vishal  ビシャール 19歳

レア度  ★★★★★

言語 ヒンドゥー語 英語(下手)

仕事 ブッダガヤガイド。熱心な信者。

特技 ガンジャ

趣味 ガンジャ

好きなこと ガンジャ

休日の過ごし方 ガンジャ

彼女 いない。募集中。

Facebookのリンク→Vishal Kumar | Facebook

 


とまぁ完全無欠な感じの彼はFacebookでも友達だし、僕のブログにいつもイイネしてくれるいい奴なのでぜひインドに旅行の際は会ってみてほしい。イケメンなので、インド人でも結婚相手にいいよって人は連絡してみてください。

 

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どうやらこのブッダガヤにある沢山の寺院を案内してくれるみたいだ。早速僕らは着いていく。と、その前に近くの両替屋で日本円をルピーに替え、隣のコンビニでアイスを買った。インドで食べたものの中でこのアイスが一番美味くて、結局数日の間に10本くらい食べた。

 

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このブッダガヤには沢山の寺院があるのだが、ブッダが広めた宗教が様々な宗派に分裂していったので、若干違うそれらの教えごとに別の寺院を建ててある。カラフルな色使いのチベット密教、タイの仏教、中国の仏教、深夜特急でも作者が滞在した日本の仏教の日本寺なんかもあった。要は聖地ってことだ。特にこのブログでは詳細について語るつもりはないので、気になる人は別途ググって欲しい。


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めっちゃボウズがスマホで写真撮ったり、自撮りしていた。インスタにあげるのだろうか。

 

 

 

16時過ぎ。そろそろお腹空いたので、一行はとりあえず寺院巡りを辞め、飯を食べることに。近くに美味しい店があるよ。とビシャールに言われついて行く。

 

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途中、足場があったりしたけど、こんな仕事絶対したくないな。どうやら塗装しているみたいだ。

 

 

 

レストランに着くと入り口には蝿が半端なかった。ブンブンブンブン飛んでいる。中に入るととりあえず蝿はいなかった。

 

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あれ?これ、あれだよね?

 


とりあえずビシャールのオススメで。って感じでカレーとチャパティのセットを頼んだ。ノンベジとベジの2種類ではなく、もうベジタブルの一点推ししかなかった。ここにいる間は肉は諦めるしかないみたいだ。

 


4人でそれぞれ微妙に違うセットを頼む。僕はラッシーの他にコーヒーも頼んだ。

 


コーヒーが最初に出てきた。だいたいいつも勝手に砂糖入れられるか、ブラックって言っても「コーヒーって最初から黒いんだけど。こいつ頭大丈夫なの?」みたいな対応しかされなかったので、砂糖入れてないブラックのコーヒーが久々に飲めて感動した。そっか、ノンシュガーって言えばよかったのか。ブラックで通じるのは日本だけかもしれない。

 


次々と食事が運ばれる。うーん、大して美味くない。けどお腹空いてたから食べれないこともない。病院で入院中にカレーがでてきたらこんな味なんだろうな。

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そんな味でもペロッと平らげた。会計はしれっとビシャールは僕らと一緒にしてきた。まぁきっとこっちのガイドは飯も奢ってもらって当たり前なのかもしれない。

 


僕らは外へ出た。タバコはインドでは案外厳しくて、屋内で吸えるレストランはほぼ無い。外でJ君とT君がタバコを吸う間はたかってくる蝿を払うのに必死だった。

 


17時30。もう薄暗くなってきた。

どうだい?僕の家においでよっ。と誘われたので、早速僕らはビシャールの家に行くことに。

 

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途中めっちゃ小さい子犬とかいた。

 

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道端を鶏も、犬も、牛も、人も同じように歩いている。誰も邪魔にしないし、誰も急いでもいない。他の地域ではもっと喧騒がすごかったけど、ブッダガヤでは時間がゆっくりと流れていた。


レストランから5分程歩くと、すぐ家についた。


赤煉瓦を積み重ねた青い扉のお家、これがビシャールの家らしい。なんとビシャールの手作りらしい!

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すっげえ!って反応したら、ドヤ顔された。

 


早速、お邪魔することに。

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入り口から腰をかがめて入り右に折れると4畳くらいの部屋に軋むシングルベッドが一つ。条件は揃ってもシャ乱Qの世界観とはまるで違う。ベッドをずらすと床(といってもそのまま地面)のくぼみにガンジャセットが置いてあった。やっぱ一応隠すのね。

 

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早速どうぞ。ということでJ君から順番に吸っていく。一度に載せる量が玄人向けなので、僕なんかは死ぬほどむせた。

 

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次はビシャールの番。お互いに火をつけてあげるのは友好の証。

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グイグイ吸い込んでいくビシャール。えっいきすぎじゃない?大丈夫?ってくらいもう燃えかすも残らないくらいに綺麗に吸い込んで、

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フィニッシュ。強すぎるだろ。

そのくせ全然ビシャール変化ないなぁって思ったのも束の間で、滔々と僕らにブッダの素晴らしさ、シヴァの素晴らしさを何度も繰り返して話してくるから、あーバッチリ決まってるじゃん。って分かった。

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だいたいインド神話って話の設定も内容もメチャクチャだから、きっとバッチリ決まった奴らで話を作っていったんだろうとしか思えない。どのくらいぶっ飛んだ内容か知りたい人はリンク貼っとくので見てほしい。

スラスラ読んで5分で解るインド神話 - NAVER まとめ

 

バッチリ決まった僕らはそれから外へ出た。ビシャールが今度は世界遺産のマハーボディ寺院に行こう!と誘ってきたけどそんな決まってるのに大丈夫か?ってすごい心配になった。


そんな心配をよそに僕らはビシャールと共にマハーボディ寺院へ。若干距離があるからバイタクで行こうということで近くのバイタクに乗り込む。


10分もしないうちにどうやら到着したらしい。いや、ぜんっぜん大した距離じゃないんですけど!これビシャール決まってて歩けなかっただけだな。

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地図で見るとこの位置関係。

左赤ピンが僕らの宿、黄色ピンがビシャールの家、そして右ピンがマハーボディ寺院。1キロくらいしかない。

 

 

到着した僕らはカメラ類の持ち込みが一切禁止とのことで、僕らは荷物預け所に携帯を預け、マハーボディ寺院へ向かう。

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ネットの拾い画だとこんな感じ。


中に入ると金ピカピンのブッダがいた。どの宗教でも同じことが言えるのだが、信者は貧乏、そして教組は金持ち。それを祀る物にはふんだんに金が使われている。

 

皆手を合わせ祈る。並んで一列、押さないで、なんて文化はここにないので押したり引いたりごった返しになっていた。


なんとか寺院の外に出る。

周辺は芝で綺麗に手入れされていて、沢山の僧侶が修行したり、瞑想していた。


修行といっても手塚治虫漫画みたく針の上とかではなく、ずっと立ち上がったり座って上半身を倒したりを繰り返していた。昼の情報番組とかで[45分の運動と同じ消費カロリーをたったの5分で!]みたいな動きだ。皆汗をかきながらがんばっていた。


更に進むと小さな祠があって中にブッダの仏像がある。ただ、ポージングがおかしい。ビシャールの説明によると、この小さな祠の中でブッダは7日間片足立ちで目を開けたまま過ごしたらしい。カオスすぎるだろ。


更に奥に行くと、あの有名な菩提樹があった。この下でブッダはおよそ49日間瞑想して、悟りを開いたのだとか。

 

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撮れなかったので拾い画。

 

こうして僕らは一通りマハーボディ寺院を満喫して、悟りを開きながらも、携帯機器を受け取り、この場を後にした。

どうやらビシャール、早く吸いたいらしく、もう我慢できなくてモジモジしていた。僕らはまた再びビシャールの家にバイタクで移動した。

 

時刻はもう夜の9時を回っていた。

家に入ると、今度は別の部屋に通された。どうやらこの家は案外広いみたいだ。小さい穴をくぐり抜け、別室に入るとそこにもベッドが一つ。僕らは並んで座った。

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蚊がめっちゃいる。もう何十匹もいる。痒くなるから蝿よりタチが悪い。助けてビシャール!


するとビシャールがお香を焚いて部屋に置いた。どうやらこのお香の煙は蚊が苦手で、みんな部屋から逃げていくらしい。どうして蚊を殺さないの?と聞くと、ビシャールは答えた。

 

蚊も命があるから。輪廻転生。僕らが死んで生まれ変わったら蚊に生まれてるかもしれないだろ?だから命は大切に。無駄な殺生はダメなんだよ。


って語ってる最中にもう蚊がバッタバッタ床に落ちて死んでいた。いや、殺してるやん。日本の蚊取り線香より強力すぎるわ。


そんなことは全く気にせず、

「音楽を聞こう!」ビシャールは言った。

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平成初頭の頃のようなだっさいデザインの携帯をWi-Fiにつなぎ、YouTubeらしきサイトで音楽を流すビシャール。

てっきりインドミュージックかと思ったら一昔前の洋楽のクラブミュージックだった。こんな汚いレンガの家の中でリアーナとかテキーラブンブンとか動画見てて虚しくならんのだろうか。

 


そんな心配をよそにビシャールはブクブクと吸い込んでは白い煙を吐き出していく。そして決まる。

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ブクブク…
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ブクブクブクブク…
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ぷっはー!!!

ビシャールが決まると定番の神々の話が始まる。そんなのいいから早く吸わせろよ。T君が日本語で愚痴る。確かに。EDMが流れ続ける。狂ってるわ。

 

あ、そういえばビシャールで友人の結婚式のお祝いメッセージ撮らなくていいの?ってJ君に聞いたら即答で、

 

「いや、無理っす。これ結婚式で流したらイカンやつっす。」って答えた。


J君が吸おうとすると、ビシャールはマントラを唱え始めた。いまから吸うガンジャに祈りを込めたりしているんだろうけど、簡単に言うと秋葉原で「おいしくなーれ❤︎」って魔法かけてもらうのとプロセスは同じ。このマントラがまた長くて1分くらい唱えるから僕もT君もめっちゃ舌打ちしていた。


動画で全部撮っているから本当は動画そのままあげたいのだけれど、このはてなブログのサイトの仕組み上、静止画しかアップできない。非常に残念。


みんなでバッチリ決まって、適当にビシャールには熊本弁教えておいて、夜も10時過ぎくらいになったので、部屋を出た。こんもりとあったガンジャもあっというまに無くなってた。


部屋を出て徒歩でホテルへ。帰りにもちろんコンビニ寄ってアイスを買った。そして宿へ。


すっごい不思議な一日だった。こんな時間を過ごしている間にも、日本ではハロウィンのトラック横転事件とか話題になってたり、サラリーマンが朝から晩までスーツ着て働いたりしているのだろうか。信じられなかった。

 

常識がぶっ壊れる国、インド。残り日数半分切ったけど、トコトン楽しもう。そう胸に思い、眠りについた。

 

つづく

 

次回予告

次回は観光地でもない山奥にひっそりと住んで何十年もガンジャを吸い続ける仙人に会いにいきます。乞うご期待。

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語5

ここまでの旅を読みたい人はこちら↓

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語1 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語2 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語3 - しらぼ、

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語4 - しらぼ、

 

 

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現在地、久美子の家。

10月31日 午前7時。


未だ薄暗い外の空気が部屋に入ってきていた。まだ陽は昇っていないらしく、ホッとした。寝坊してはいないらしい。


簡単に荷物を片付けて、着替え、T君を起こす。彼は昨夜寝付けなかったのか、昨日から泊まっていた中国人?らしきツーリストと仲良く吸っていたらしい。ほんとフットワーク軽い。ただ、めっちゃ眠たそうだった。


昨日と同じく階段を下り、舟に乗る。今日の舟は櫂で漕ぐやつではなくて、エンジン式のやつだった。昨日の老人と子供、ではなく、鮮やかな水色のシャツを着た男だった。英語で色々話してくるが、僕はさっぱりわからないし、J君T君曰く、発音がおかしくて聞き取りづらいとのことだった。

 

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水色シャツはぐるぐると勢いよく鉛筆削りみたいなエンジンのモーターを回す。壊れてんのかいな、と思ったりしたが無事にエンジンが唸り、舟は水の上を走り出した。やっぱ手漕ぎより早い。

 

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ガンジス川周辺住民の朝は早い。

火葬の続きや、あちこちで身体を洗ったり、飛び込んで遊ぶ子供、洗濯をする女性なんかが沢山いた。白い布?網?で、なんと魚まで採って食べようとしている。

 

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ライオンキングのパチモンみたいな絵が描かれている建物は、どうやらガンジス川の水を汲み上げて街に送るための施設らしい。それでこのポージングなのか。

 


早速、ガンジスの日の出を拝むために巻き巻きしてきたガンジャを回して吸っていく。T君の刈り上げが実に良い。

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J君もなんか様になっている。

僕なんかただの競艇場のおっさんがタバコ吸ってるみたいになってる。

吸って数分は変化なし。やべ、身体が慣れてしまったのか?と思ったけどそんなことはなかった。

とろ~んとしてきて、波の模様がスッゴいとろっとろになっているように見える。ゼリーみたいな。空の薄明るくなっている部分も、めっちゃ鮮やか。J君に至っては神が降りてきたっぽい。

 

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もう、とりあえず言葉で説明できないから写真載っけておく。全て無加工。ガンジス川隅田川みたいとか言ってごめんなさい。

そして、日本とは空気が違うからか、太陽はピンク色していた。そして次第に赤みを帯びてきて、照り返した赤色の光の柱がガンジスに建っているように見える。このタイミングで川岸の住民は皆、腰までガンジスに浸かって、お祈りを捧げていた。こりゃあ、神さま信じるわ。インスタ映え半端ないって!

 

 

 

 


さて、ひと段落したところで、水色シャツは川沿いを今度は手漕ぎで移動しながら説明していく。

 


そういえば、これが本職なの?と水色シャツに聞いてみた。どうやら他の仕事もするけれど、舟で観光客を案内するのが本職らしく、月に3000ルピー、日本円で4500円ほどだそうだ。それで嫁がいるらしいから、大変だなぁ。

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1.2時間程似たような景色と似たような説明を受け、ほとほと飽きた頃にようやく岸に着いた。てかこのルート昨日の夜も通ってるからな。


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なんか観光客がヨガ習ってるんだけど、これGTA5にあったよね?
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で、一人900ルピー。三人で2700ルピー…っておい!さっきの話絶対ウソだろ。月の売り上げの殆ど今日稼いでるじゃん。

 


まぁこれがインド人気質なのだろう。けどムカついたので、アップで沢山写真載せておく。


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宿で荷物をまとめる。とりあえずバラナシで観たかったものは一通り観れた。もう少し滞在していたかったけど、残りの日数を考えると、早め早めに移動するべきだ。

 


話し合いの末、次はガヤに行こう!となった。

ガヤのブッダガヤはあのゴータマシッダールタさん(ブッダさん)が悟りを開いた土地として有名な場所。日本でいうと、京都とか奈良みたいな歴史文化溢れるスポットとなっていて、インド文化を知るには避けては通れない道なのだ。

 


宿を出るとカーンがいた。ほんっと、セーブポイントみたいな男だな。どこにでも現れる。


ガヤに行くよ。と伝えると、それならバラナシ駅よりこっちがいい。さぁ早く乗れよ。的な事を言ってきて、僕らはまた、バイタクに乗った。

 

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地図を見た感じだと、どうやらカーンはムガルサライ駅に向かっているようだった。確かに、ガヤ方面ではあるが、各駅停車の駅感ハンパないんじゃないか??

それならやはりバラナシ駅から乗って、早い列車に乗るべきでは…なんて思ったがそんな高等な話が僕の語学力でできるはずもなく、バイタクはブンブン進んでいった。

 

 

さぁ、ついたぞ。

 

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カーンと僕ら一行はムガルサライ駅に着いた。駐車場みたいなところにカーンがバイタクを止めると、近くにいたインド人が「そこに勝手に止めるんじゃねえよジジイ!」みたいに突っかかってきた。

オドオドするカーン。

同じインド人同士だとこんなビビっちゃうのか。日本人には強気なのに。

 


なんとかどうにか場所を変え、バイタクを止めることができたらしく、僕らは駅舎の中へ。どうやらカーンが列車の券を用意してくれるらしい。僕らはガヤ方面行きのホームで待つ事になった。14時頃の列車があるらしい。

 


いつものようにホームにタイ航空のひざ掛けを広げ、そこに座り込み、トランプを始めた。やはりこういう旅にはトランプは欠かせない。周りのインド人も、こんな溶け込んだ日本人が余程珍しいのか、周りには人だかりができていた。

 

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よしここで。と、意気揚々にJ君が銀色の輪っかの玩具でワンマンショーをおっぱじめ、インド人は皆目を飛び出させて驚いていた。

 


一旦カーンが戻ってきた。券を買ったらしいが、列車は16時過ぎに着くらしい。ホームでひたすら待たされるハメに。僕らは一旦ホームを出て、建物裏にコソコソと行き、ガンジャを吸う。一応違法なので、流石にホームにいる警官の前では吸えない。インドで捕まったら洒落にならない。

 

フワッフワしながら、ホームに戻り、暑い陽射しの中、ひたすらに列車を待った。

 


ここでお別れだな。とカーンが言った。どうやらお金を請求しているらしい。いくらなの?と聞いて、携帯の電卓画面で渡すと、カーンはあれよこれよと計算した後、僕に画面を見せてきた。7000ルピー。日本円だと一万円超えだ。高すぎるだろ。

結局、三人で話し合った結果、もういっか。とりあえずあちこち行けたし。ってなって、日本円で渡していいか聞いて、1万円渡した。

 


またどこかで会おうぜ。良い旅を。

的な事を言ったカーンはその場を去っていった。まぁ、後から思うと面白いおっさんだった。可もなく不可もなく。

 


16時19分ごろ、かなり遅れて念願の列車が到着した。一番安い等級の列車を取ったらしく、券を見てもよくわからないので、適当な位置から乗る事に。メチャクチャ、混んでるじゃん。

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狭い。まぁ狭い。日本の満員電車も有名だけど、インドの安い等級の列車もなかなかの混み具合だ。6人掛けくらいのスペースに18人くらいいて、その荷物掛けやら通路やらまでギュウギュウで、その間をしきりに物売りが人を踏み蹴散らしながら何度も何度も通っていく。

 

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かと思えば寝転んで場所を独占するおっさんもいて、少しばかり場所を譲ってもらったものの、足が異様に臭かった。

 


途中同じ列車にいた学生と仲良くなって、Google翻訳で会話した。どうやら週に一度、実家に帰っていて、今日は学校に戻る為にガヤに行くらしい。日本人に興味深々だったので、日本語をいくつか教えてあげた(全部下ネタ)。そして、カーンから受け取った列車の券を見せると、これは乗車券じゃないよ、と教えてくれた。まんまとカーンに騙されたわけだ。もうなるようになるさ。

 

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この姿勢で2時間半。7時前頃、列車はガヤ駅に着いた。バラナシで全体の半分だったので、ゴールのコルカタまではあと500キロ程だ。

 


ガヤ駅は照明も少なく薄暗い割に沢山の人がいた。駅のホーム周辺は完全に野宿コースの家族とかが沢山いて、やはりヒンドゥー教の聖地だから家族連れで来てる人が多いのだろう。その間を野良犬がのそりのそりと歩いていた。

列車で仲良くなった学生と写真撮ったりしたけど、全部相手の携帯だったから写メはない。忘れてた。

ちなみに乗車券の確認もなにもなかったのであっさり外に出れた。

 

宿は今回もアゴダで入手。宿はその場のノリで決めるとかいう旅の情緒よりも金が心配になっていた。ブッダガヤの方の安宿を予約。


毎度おなじみのバイタク集団と値段交渉をし、ブッダガヤへ向かう。かなり列車で疲れていたのか、写真を撮ってない。30分くらいバイタクに乗っていると、ようやく着いた。っていうか、宿はまだ奥なのだけど、バイタクで入れる制限があるようで、ここから先は徒歩で行けとのことらしい。全然インドらしくない。それだけ神聖な土地なのだろう。

 

しばらく歩く。ガイドの声かけが何人もやって来た。どうやらホテルやらレストランやらの紹介をしたいらしい。

僕が予約したホテルの画像を見せると、あぁ、こっちだ。と連れて行ってくれたのはいいものの、全然違う宿だった。もうめんどくせーよ。って感じで無視してGoogleマップ頼りに宿を見つけた。すごく疲れきっていた。やはりあの列車のダメージはデカい。

宿に着く。六畳一間にデカいベッドが一つ。500ルピー。仲良く並んで寝るには充分な大きさ。空調のプロペラもある。トイレ、シャワーもある。電源も確認。この宿に決めた。


荷物を置き、一息つく。

とりあえず吸いますかっ。て感じで三人で吸ってたら三人でめっちゃマンチになってしまった。もうお腹空いて仕方ない。またゾンビと化した三人は宿を出ると近くに駄菓子屋みたいなボロいトタン屋根の店があって、ブンブン蝿が飛び回る中、パンを卵に浸して焼いただけのものに腐ってるか怪しいケチャップをブリブリかけて4枚ずつくらい食らいついた。

写真撮ってなかったけど、かなり美味かった。そういえば、もう皿に蝿がたかってきても、初日より全然気にならなくなっていた。どんどんインドに染まっていた。いっぱいになったお腹をさすりながら、僕らは宿に戻り、眠りについた。

次の日からこのブッダガヤで衝撃体験を連発するなんて、僕ら三人はこの時は知る由もなかった。


つづく。

 

 

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語4

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10月30日 午前2時

激しく鳴るクラクションの音を少しでも聞かなくて済むようにイヤホンをつけて音楽を聴く。午前2時だからって天体観測とか聞くテンションはカケラも持ち合わせてない。

 

少しずつウトウトと眠りに入ろうとする度に、他の車を追い越したり、舗装されていない道の段差で跳ねたり左右に揺さぶるバスによって強制的に起こされる。

 

だけど隣のJ君はまるでゆりかごに揺られるかの様に安眠している。微笑んですらいる。羨ましすぎてなんかムカつくからバスの窓から投げ出そうと思った。


いくら頭で観念していても、ジェットコースターの様なフワッと浮き上がる感覚の恐怖だけは拭えなかった。日にちが遅れてしまっても、列車で行けばよかった。と後悔した。


2、3時間おきにバスは小休憩のため、道端の空き地に止まる。もちろん眠れてなどいないので、とりあえず降りて外の空気を吸った。まだ暗かった。相変わらず砂と排気ガスの混じった空気だった。しかも便所臭い。


バスの運転席ではインドのクラブミュージックやゴアトランスが結構な音量でガシガシと鳴り響いていて、2、3人の運転手が運転中は眠くならない様に騒いでいたらしい。


運転手の1人に聞いてみた。

「運転してて眠くならないの??」


「大丈夫。ずっと危ないから眠くもならないさ。」

 

「日本は居眠り運転とかありますよ。」

 

「日本はとてもクレイジーな国だね。」

まぁ実際は中学生レベルの英語を駆使して会話したので、これくらいの会話も大変だった。流暢に訳するとこんな感じ。

そのあと、飲酒運転とかもありますよ。って伝えると、それも驚いていた。ガンジャは吸うけど酒飲んで運転するのはさすがに狂ってるな。と言い残して運転手はタバコを買いに行った。

 

バスの裏で立ちションしようとすると、いきなり「ノーノーノー!!」と言われた。

 

違う場所を指差している。どうやら立ちションはダメでトイレがあるらしかった。この日本人狂ってんな、モラルがないよ、トイレでやれよ。くらいの目で見られながら僕は言われた場所に向かった。

彼に言われた場所に行くと、確かにアンモニア臭が酷い場所だったからトイレがあるのだろうと思ったけれど、そこはただの原っぱだった。結局一緒じゃねえか。


皆が皆、好き勝手にその辺で立ちションしたり、大便していた。そこら中で用を足すとこのバスの停留所全体がウンコ臭くなるから、なんとなく同じ場所で用を足す様にしているみたいだ。なんだ、インド人にもそういう謙虚さがあったのか。


だが、そんな努力も虚しく、こんなにだだっ広い原っぱなのにわざわざ停留所の真裏でみんなトイレするから結局停留所が一番臭かった。もう少し考えればわかりそうなものを。


便所臭い停留所でとりあえずビスケットとクッキーを買ってまたバスへ。

よしっ、エンジン止まってる間に寝てしまえば勝ちだ!と思った時にエンジンがかかって轟音と共にバスは動き出した。もうなるようになるさ。寝るのは諦めた。

 

7時30分。諦めが肝心とはよく言ったもので、諦めた途端に寝ていたらしい。外はもう明るくなってきていた。

Googleマップで見た感じだとあと100キロも切っていた。もう少しだ。あと少し。

 


ふっと、横を見ると、J君の脇になぜか大量のコーン茶がペットボトルに入っていた。ん?こんなの売ってたっけ??

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謎に包まれながらまたしばらくウトウトしていると、J君も起きだした。このコーン茶は何?と聞くと、J君は頬を赤らめていた。恋でもしているのだろうか?青春ってやつですな。

 

 

さて!11時間程深夜バスに揺られ、僕たちは遂に次の目的地、バラナシへと到着した。ガンジス川までもう少し。

 

時刻は午前10時過ぎ。バスが着いたのはまぁ駅もガンジス川も近くないへんぴな場所で、そこにそそくさと降りる僕たち。外で各々立ちションを済ませ、さてどうしよう。


案の定、もう定番なんだけどバスの周りには沢山のバイタクとリキシャがいた。値段交渉もそこそこに適当なジジイの運転手のバイタクに乗り込み、ガンジス川周辺の宿に向かうよう伝えた。

 


このジジイこそ、この旅の重要キャラクター、カーンおじさんだ。この時僕らはこのジジイとこれから長い間旅を共にするなど、微塵も気づいていなかった。


カーン(通称) 年齢 不詳

レア度 ☆★★★★

言語 ヒンドゥー、英語

 

この旅に出る前に、インドについてそれとなくネットで情報を集めていた。その中でもやはり、ガンジス川は鉄板コースだし、様々なツーリスト達がガンジス川周辺の激安宿に滞在している。

 


無論、僕らは観光に来たのではない。旅に来ているので、ここぞとばかり激安の宿に泊まりたい!ということで前もって調べていた日本人宿のツーリストハウス「久美子の家」に行くことに。一日70ルピーくらいとネットには載っていて、さらに部屋からガンジス川が一望できる!とまさに願ったり叶ったりの宿なのだ。


久美子の家に行ってくれ!


そう伝えると、ははぁ、あそこね。はいはい。とカーンは慣れた手つきでハンドルを捌いて、小道をクネクネと進んでいく。幅1メートル弱の道を全速力のバイタクと、人や牛がすれ違う。当たらなければ大丈夫。これがまた、インドなのだろう。

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途中、細い道端で、バイタクはいきなりエンジンを切る。どうやらここから先は徒歩でしか行けないようだ。カーン的に一番英語の通じたからか、J君だけを連れて先にホテルに行くから君たちは待っとけ。とのことだった。

 


いや、一緒に行けば良くね??とも思ったが、うまく説明できないし、このままJ君がカーンに拐われて数年の間監禁されて、洗脳された後、カーンの弟子としてバイタクで稼いでいく人生というのもまた一つ興があっていいのでは?と思ったのでT君と待つことにした。その時は一緒にインド来たらJ君のバイタクで旅行しようね。なんて話をしていたらおよそ30分後、監禁されていないJ君がカーンと共に帰ってきた。


洗脳早っ!!!って思ったけど、どうやら洗脳されていないらしかった。


カーンはチェックインが済んだら、観光に行こう。下で待ってるね。と、早速カーン節炸裂で僕らのスケジュールを固めていく。


J君に導かれるままに、僕とT君は更に奥まった道を進んでいく。

100メートル程進んだ頃だろうか。

 


一気に視界が開け、そこには陽に照らされたガンジス川と、ツーリスト、ボロボロのレンガ造りの建物達だった。遠くで鳥が鳴いている。

 

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ついにきたーっ!ガンジス!と思ったけど、案外普通なのな。隅田川とかとそんな変わらない。川幅は倍近くあるが。それよりもやはり川沿いに伸びる建築物がどこまでも続いていて、圧巻された。

 


こっちですよ。

流暢な日本語でJ君が僕達を宿に誘う。あ、そっか、日本人だもんね。


幾人ものツーリストと、ターバンを巻いた仙人風のガチ勢とすれ違いながらしばらく歩くと、あった。久美子の家。

 

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想像よりも高台にあって、インスタ映えは十分だ。ジブリ臭さもある。壁にちっさく久美子の家って日本語書いてあるところも味がある。

 

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脇の階段を登り、こめかみに汗を感じながら宿の入り口へ。柵を開け、中に入ると、どこから靴を脱いでいいのかわからない感じの入り口。

 


日本人というよりタイ人っぽい感じの久美子さん登場。

 

こんにちはー。


久しぶりの日本語にほのぼのとする。

一気に親近感が湧く中、僕ら3人で泊まれる部屋があるか尋ねた。あるよ!と言われ、そのままパスポートを渡し、宿泊簿に名前やらなんやら書いていく。金額は一泊100ルピー。1人160円くらいか。快く承諾し、入り口脇の狭い階段を登っていく。

 


三階に行くと部屋?というより隔てのない広間にちっさいベッドが3つ。

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ここに仲良く並んで寝ましょうね。ということだ。早速、ダニ対策でタイ航空からかっぱらった紫のひざ掛けを広げ、丁寧にひいていく。荷物を置き、一息ついた。

 


ここ久美子の家は、昔日本人の久美子さんと、インド人の男が結婚し、インドでの生活が始まった時、久美子さんが文化違いすぎパネェ!日本人いねぇサゲポヨ!ってことで日本人旅行者を受け入れる宿を作ったところから始まったらしい。

 


日本人ツーリストの定番宿となったが、現在では日本人は少なく、中国人や韓国人の方が多いらしい。ネットでは壁中落書きがあったのだが、現在では落書きも全て綺麗に消してあり、ツーリストが置いていった本が日本のやつが多くて、来てたんだなぁー、としみじみ思う程度。

 


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その夫は2、3年前に他界したとか。いまでは久美子さんが一人で、たまにお手伝いさんを駆使しながら切り盛りしているらしい。(聞いたんじゃなくてググった)


僕らがベッドでうだうだしていると、久美子さんテキパキと床の掃除を始めていた。聞くとどうやら屋上にも上がっていけるらしい。眺めも良いとか。


部屋の奥にある別の階段を駆け上がると、そこには動物園の様な鉄網。どうやらこうやって閉ざさないと勝手にサルが宿に入ってきてツーリストの荷物をなんでも盗んでしまうらしい。

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鉄網の戸を開けて出ると、そこは陽当たり抜群のガンジス絶景スポットだった。たしかに気持ちいいけど、暑い。

 


ここでガンジス眺めながら焚きますか!ということで巻き巻きして一本を3人で回して吸う。

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いや、確かに気持ちいい。だけど、暑い。上裸になって吸っていく。

 

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確かに水面はキラキラと輝いて綺麗だが、やっぱり真夏の隅田川っていう印象が拭えない。大したことないなー。歴史的にはすごいけど、実際見ると大したことないガンジスやなー。


汗もかいたし、3人でシャワー浴びることに。二階にシャワーがあるらしい。ただ、シャワーの水はガンジス川の水を組み上げただけなので、決して飲んではいけないとのこと。

 


二階に行き、シャワーらしき場所を見つける。半畳くらいの広さに石畳みの雑な造りになっていて、シャワーも配管ぶった切り、トイレも汚い、さすが久美子ハウスってな具合。

3人仲良く順番に体を洗っていく。もちろんお湯なんて出ない。真水ガンジス。


ヒーヒー言いながら体洗ったのに全くサッパリしないままタオルで拭いてみんなを待っていると、どうやらシャワールームの横には個室タイプの宿もあるらしかった。


謎の音楽が少しだけ漏れ聴こえてくる。ちょっと挨拶してみよう。


こういう、得体の知れない何か(まぁ人だろうが)と対面するときは、J君にお願いすることになっている。

ノックするJ君。暫しの沈黙。

扉が開いた。


出てきたのは日本人だった。

黒縁眼鏡、ボサボサの頭髪、オタクまっしぐらの顔面、痩せた身体、身体のあちこちに意味不明な刺青。とにかくカオス。目がいっちゃっててだいぶ玄人なんだな、と思った。


あ、どうも。今日からお世話になるので挨拶に来ました。よろしくおねがいしまーす。


あ…どうも。日本から来たんですね…


インドでこんな場当たり的な挨拶を交わすなんて思ってもみなかった。しかもどうせ一泊くらいしか居ないし。この男も僕らのノックが無ければ扉を開けるときは今後ないだろう。


ガンジス川のほとりで長期滞在しようなんてやっぱりちょっとイかれてる。

ただ、5、6万握りしめてここに来れば、とりあえず宿代は一年くらい払えることを考えると、ニート魂も震えるのかもしれない。

 


数時間が経ってボーッとしていると、久美子が僕らを階下から呼んでいた。どうやらカーンがしびれを切らして呼んでいるらしい。めんどくさいジジイだ。誰も待っとけなんて言ってないし。


まぁ、ぼちぼち、出かけますか。という感じで僕らは表に出た。カーンはイライラをあまり顔には出してはいなかったが、多分結構頭にきているかもしれないと思うと非常に愉快だった。


とりあえずお腹空いたわ!


と言うとカーンは、何言ってんだコイツ?みたいな顔をした。

そうだった。日本語伝わらないんだった。

 


どうにかお腹空いた事を伝えると、カーンは、それじゃあ美味いレストランがあるぜ、そら、早く乗れよ。みたいな感じのことを言った。

 


しばらく乗っていると、なんとも入り口のぼろっちいレストランに着いた。ここが美味いんだ。みたいなことをカーンは言った。

 


中に入る。薄暗い。

とりあえず僕はグラタンを頼み、J君とT君は何かしらを頼んで食べた。記憶にもないくらいなので、あまり美味しくなかった。写真すら撮ってない。値段は一品ごとに300~600ルピーくらい。酒もなく、スプライトを頼んで飲んだ。とりあえず次に行こう。僕らは店を出た。


ソナープラ(間違ってるかも)と呼ばれるこの地域には、ヒンドゥー教だけでなく、一部イスラム教徒の人達も住んでいるとのことだった。後日たしかにGoogleマップで見ると、あちこちにモスクがあるようだ。

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右、カーンの後頭部。

 

 

カーンがバイクを止めた。

ついてこい。みたいなことを言うとズンズンと歩いていく。このままシカトして置いて行こうとおもったけれど、こんな知らない場所に残されたら置いていかれるのは僕らの方だ、と気づいたのでついて行った。

 


石壁の建物の間を通り抜け、広場のような場所に出ると、そこには沢山の子供達がいた。ん??


すると、いきなり現地人のメガネの男が現れた。

 


ミナサン!コンニチハ!

 


日本語がめちゃくちゃ上手い。

喋り出す彼の話を聞くとどうやら、なぜか僕らにこれから、イスラム教徒の人が作る民芸品を見せてくれるらしかった。

 


この日本語の上手いメガネはここでイスラム教徒の学校の先生をしているらしい。学校の先生をしながら、観光客までさばいていくなんて、なんて器用なメガネだ。僕らはメガネの言うがまま、そばの建物に入っていく。

 


中には大小様々な機械がガタンガタンと音を立てて動いていた。織物の機械だ。どうやらここでイスラム教徒の人が仕事として織物を作り、それをニューデリーコルカタなどの観光地で売るらしい。

 

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機械の上には点字のような板が蛇腹状に幾重にも着いていて、それが機械に1つ1つ当たることで動きが変わり、柄を作っていくらしい。京都の西陣織と同じような造りだ。

 


コノアタリニハー!、タクサンノー、

イスラムノヒトガー、スンデマース!!

 


それくらいのことなのにすごいテンションで説明してくる。僕らは何度も、ふーん。ふーん。と、頷く必要があって、徐々にめんどくさくなった。

 


工場見学はそれくらいにして、メガネを先頭に僕らは外に出た。いつのまにかカーンはいなくなっていた。

 


カーンがバイクを止めた方にメガネは歩いていく。水色の建物を指差してメガネがクイズを出してきた。

 

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アレハナニカワカリマスカー?

 


水。

 


セイッカイ!!アナタスゴイネー!!

 


…そうか??

 


コノアタリニハー!、タクサンノー、

イスラムノヒトガー、スンデマース!!

 


ソシテー、アノミズヲパイプデナガシテー、イスラムノヒトタチノー、イエニトドケテイマース!!

 


そんな話をしているうちに僕らはバイクを止めた場所に戻ってきた。カーンのバイクはまだそこにあった。メガネは駆け足で正面の建物の階段を上がり、僕らを手招きしている。僕らは促されるままに中へ入った。

 


入り口を入り、部屋に入ると、

奥まった、細長い形の部屋の中には沢山の織物があった。絨毯からストール、ポーチまで大小様々だ。

 


サテミナサーン!!

コノアタリニハー!、タクサンノー、

イスラムノヒトガー、スンデマース!!

ソシテー、アナタタチガサッキミタ、

タクサンノーシナモノガココニアリマース。

 


要はメガネは観光ガイドをかって出たのではなく、ここの織物を売りたいだけらしかった。

冷たいコーラが僕たちに出された。

 


いやぁ、いいかな、別に。

 


誰ともなく、そんな言葉が漏れた。

その言葉をメガネは聞き逃さなかった。

 


ダッタラー!

 


コンカイハ、ヤスクシテオキマスネ!

 


もう一人の男が部屋に入ってきて、壁の棚に入れられていたストールをごっそり取り出し、一枚ずつ広げて見せていく。

 


コレハー、イチマイコレデスヨ!

 


メガネが電卓を取り出し、慣れた手つきで弾く。のぞいてみると1500とあった。1500ルピー。

 


コレラハー、サッキミタバショデ、ツクッタモノダカラー、トテモイイデス!

 

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そんな間にももう一人の男は狂った様にストールを広げ続けていた。そんなにたくさん見ねーよ。僕ら3人はきっと心の中で同じことを思った。

 

あのー、俺要らないんで、髪切りに行きたいです。T君がそう呟いた。

 


メガネはなんでもお任せあれ!とばかりに彼を床屋に連れて行ってくれ!みたいな感じのことを声を張り上げて言うと、カーンが出てきてT君を連れて行った。カーンお前完璧メガネ側の人やん。

 


T君が居なくなった後、僕とJ君はストールを買い、店を出た。ハメられた感はあるが、物は良かったし安かった。

 


表に出ると、T君は店のすぐ横の床屋で髪を切られていた。何カットとかヘアスタイルの名前は僕はあまり知らないが、わかりやすく説明するならば、コボちゃんとタラちゃんと中間くらいだ。600ルピー。

 


満足したT君と共に、僕らはまたカーンのバイタクに乗り込んだ。どうやら今日はガンジス川で大きな祭典がある、とのことだった。川を舟で降って見るといい。みたいなこと言ってたけど結局カーンが予定組むのね。カーンハンパないって!

 

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戻り道に気づいたが、やたらと丸太や木材が道の両脇に大量に積まれている。

あれは火葬の時に使うのさ。的な感じでカーンは指差して言った。頼むから前を見て運転してくれ。

 


僕らは一旦久美子ハウスに戻り、買ったストールを置いて、外に出た。だいぶ日は暮れていた。夕日が見えるわけではなかったが。6時半過ぎ。

 

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舟に乗る為川辺まで階段を下る。

捨てられたゴミが異臭を放ち、ヘドロが泡を吹いて漂っている。思わず爪先立ちみたいに歩く。汚いよ。と言うと、ガンジスは神聖な川だから、汚くなんかないよ。の一点張りだった。目の前のゴミが見えんのかい。

 

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J君のコーン茶がほとばしる。

 

 

 

舟を漕ぐのはカーンではなく、老人とその息子らしき少年の二人だった。カーンは船には乗らないらしい。戻ってきたら、酒が飲めるレストランがあるよ。と言い残し去っていった。

 


舟に乗り込む。老人が舟に乗って櫂を漕ぐなんて、まるでヘミングウェイですな。と思っていたら少年が櫂を握り、力強く漕ぐ。

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かなり上手い。きっと普段からこうやって働いているのだろう。勉強出来ず、言葉も喋れないが、舟を漕がせればピカイチだ。

 


波の波紋を眺めていると舟酔いした。かなり頭が痛くなってきた。

 

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他の観光客も舟に乗っていた。

 

薄暗い川辺を下りながら、川沿いの灯りに照らされた建物を眺める。ヨーロッパさながらの豪華な造りだ。

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昔この辺りは王族やら貴族やらが川辺に住んでいたらしい。まぁ景色抜群だしね。

 


更に進むとあちこちで火葬の炎が燃えていた。キャンプファイアーの様に井形に薪を組み、24時間亡くなった人を燃やし続けるらしい。強烈な臭いがするのかと思えば、意外と無臭。

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インドでは火葬と水葬との二種類がある。子供や妊婦、不慮の事故などの場合は火葬にしないで、そのまま遺体をガンジス川に流す。ただ、火葬はお金がかかってしまうので、遺体を水葬する場合も多いらしい。


燃え切った遺体は日本の火葬の様に綺麗な細かい灰にはならず、焼肉のコゲみたいになる。火葬場の人が棒で突っついて川まで転がしていき、川に落とす。臭いを嗅ぎつけた野良犬とカラスが辺りを埋め尽くす。


そのすぐ横で沢山の人が沐浴したり、川の水を飲んでるから結構、カオスだ。

 

ようやく僕らを乗せた舟は今日の祭典の場所にたどり着いた。大小様々な船が寄せ集められ、綱で繋げてある。観光客を沢山乗せた船が多い。外国人がこれでもかってくらいカメラを構え、写真を撮りまくる。


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意味不明な音楽と太鼓の様な音、カメラのフラッシュに包まれて、なんとも不思議な場所になった。ターバンを巻いたガチ勢が陸地でお祈りを繰り返す。もうカオス増し増し。

1時間くらいその雰囲気を満喫した僕らは舟の縄を解き、戻ることに。

 


途中、一回試しに櫂を漕いでみようよってことで、実際にやってみた。

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息も合わず、タイミングも合わず、舟はグルグル旋回したりあさっての方向に進んでしまう。僕も佐世保学園で少しばかり鍛えたつもりだったけど、全くダメだった。

 


舟は違う場所に着いた。久美子ハウスよりだいぶ下流の場所。

全て予定調和なのだろう。岸にはカーンが立っていた。

早く来いよ。みたいなことをカーンは言い、またバイタクに乗り込む。ビールが飲めるレストランに連れて行くのだと言う。船酔いには迎え酒が一番。僕は期待に胸が膨らんだ。

 


レストランにつくと、カーンのくせに割と綺麗なレストランだった。中に入ると他の外国人観光客もいた。

僕らはそこでビールで乾杯。やっぱり酒って良いですなぁ。ちなみにおでこの赤いのは舟で物売り少女から渡された紅?チョーク?みたいなやつで、額につけると集中力が増すのだとか。集中してお酒飲みます。


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1時間程度飲んで食べて、そろそろ帰りますかって時にお店の店員は未会計だったのを忘れていたみたいだったので、こちらから教えるのも癪だから黙ってバイタク乗って逃げようぜ。という算段に。

 

インド人より非常識な日本人3人の食い逃げ作戦だった。

 

コソコソとバイタクに行き、カーンに出せ出せと煽る。
バイタクにエンジンがかかり、走り出したものの、すぐに気づいた店員が大声で走りながら追いかけてきたもんだから即刻バレた。

 


あっ、そういえば忘れてたね~なんて顔してサラッと会計を済ませたけど、心の中で舌打ちした。いやいや、こちらこそ忘れててすいません。みたいなことをインド人店員が言ってたので、案外この店員良い奴だったな、と少し食い逃げしようとしたことに心が痛んだ。

 


すっかり暗くなった夜道を走り抜け、久美子ハウスに帰った。

 


明日の朝、日の出を見たほうがいい。絶対に。カーンがそう提案した。どうやら舟で早朝ガンジス川に繰り出し、朝日を拝ませるよう舟をまた用意しておくよ。とのことだった。僕らは無論、OKした。

 


その時に、必ずガンジャを巻いて持ってきた方がいいぞ。カーンはそうアドバイスをくれたが、僕らも勿論、そのつもりだ。てかなんてこと言うガイドだ。

 


カーンと別れ、僕らは部屋に戻った。

疲れからか、僕とJ君はそそくさと眠りについたが、T君はまだ寝れなさそうだ。目を閉じて今日を振り返る。あまりにも濃い一日だった。4日目が終わってもまだ旅は半分以上残っていた。長すぎ!!

 

 

 

つづく。

 

 

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語3

 

 

そろそろアグラにつくよっ!

 


そう相席の夫婦に呼ばれて、ボンヤリとした意識のまま目を覚ました。

約2時間半程、距離で200キロほどの道を進んできた。

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  200キロはだいぶ進んだなぁ、と思ったが、Googleで見ると全然まだだった。左上の黄色ピンがニューデリー、小さい赤ピンがアグラ、そして我々のゴールであるコルカタ空港は画像右端の赤ピン。その距離1470キロ。

 


日本の距離で例えるなら茨城県から鹿児島市まで山陽高速を使って1470キロ。200キロだと茨城から熱海くらいだ。まだちょっとしか進んでいない。

 

慣れ親しんだ列車とも別れを告げ、僕達はホームに降りた。すっかりあたりは暗い。夜の11時。今回は予算を考えて、アゴダのアプリを利用して宿の予約を済ませておいた。時間は焦らなくても良かった。

 


ホームには沢山の猿。間違えて上野動物園に来てしまったのかと思ったけれど、猿があまりにも野性味溢れていて、日本で見る猿達とは別格なのだとすぐ分かる。

長いホームを歩き、階段、通路を抜けて改札口へ。もちろん改札でPASMOとかSuicaとかはない。特に券も確認されない。全然無賃でいけそうだ。

 


外には毎度おなじみのバイタクとかリキシャが数台。我先にとインド人達が僕らに向かってガンガンに喋ってくるが、唾が飛び交い過ぎて汚かった。

 


とりあえず一番チープな奴にする!との話し合いの末、1人のおっさんのバイタクに乗り込んだ。

 


Googleマップのスクショをおっさんに見せて、ここが分かるか?と聞く。マトモに見てないまま、オーケーオーケー。と答えておっさんはアクセルを踏む。もう、なるようになるさ。

 

 

 

数十分程、砂埃を吸い込み、クラクションの喧騒を聞きながら進んで行くと、本日の宿に到着。

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正面はすごく立派な感じだが、側面は塗装も何もない。びんぼっちゃまみたいなツーリストハウスだ。3人一部屋で800ルピー。安い。中庭のある造りで清潔感もよし。インドに旅行に来たら是非ここに泊まってほしい。名前知らんけど。

 

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朝買ったノンアルコールビールがここで初めて役に立つ。皆で吸って気持ちよーく就寝。ちなみにこのころ日本ではハロウィンで軽トラックがひっくり返ったりしてニュースで話題になっていた頃だ。ハロウィンを微塵も感じさせない国、それがインド。

 

10月29日 月曜日

 


誰ともなく、ごそごそと起き出す。快眠。天井にファンがあるから暑さも無く快適なのだが、いかんせん根元が今にも外れそうなくらいボロくて、いつ高速回転ファンが僕らに落ちて来てミンチにされるか分からないのが怖かった。

 


まだ時間は朝の10時ごろだが、世界遺産のタージマハルを見るためにも今日は早起き。荷物をまとめながらみんなで一服。いや、三服くらいした。

マンチになったゾンビ達3人は表の中庭に。もうお腹空いて空いて仕方ない。炒飯みたいなのとサンドイッチとナンのついたカレーとチャイを頼む。

待つ間はまたみんなでトランプ。

空腹を感じながらトランプで笑いが止まらない。最高なひと時。

宿の主人もこういった手練れ供はおそらく何度も会っているらしく、慣れた手つきでキチガイな量の料理を運ぶ。

ひたすらにかき込む3人。かなり美味かった。

うろ覚えだけど会計が2400ルピーくらいで宿の三倍くらいになっていた。

 


お腹を満たした僕らは早速タージマハルへ向かう。

 

 

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タージマハルに近づくにつれ、道の舗装も綺麗になってきている。さすが世界遺産

 

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赤土とレンガで作られたこちらはアグラ城。写真だとわかりにくいが、こちらもなかなかデカい。更に道を進んでいく。

 

入場チケットを買い、ガイドを雇う。本当ならガイドなんてつけたくないが、あまり時間に余裕のある旅ではない。時短と撮影と解説を聞く為、同行してもらう。

 


荷物を預ける場所に着くと、そこには長蛇の列が。おそらく何時間も待たされるであろうと覚悟したが、なんとガイドが付いているので列に並ばなくても預けることができるらしい。ディズニーでいうところのファストパスですか!

ガイド雇って良かったーって思ったけど、入り口の混雑を力づくで通り抜けただけなので、絶対にガイド関係ない。荷物を預けていざ、タージマハル!

 

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J君の友人の結婚式メッセージとして日本語を喋らせる。ガイド料払ってるんだからこれくらいしろよっ!て感じだ。なかなか流暢な日本語。

 

 

 

タージを存分にマハルした僕らは荷物をまた取りに戻った。預かりチケットを渡して出ようととすると、T君にストップがかけられた。

 


どうやら僕がまとめてチケットを渡したから、T君の分まで確認もせずにチケットを破り捨ててしまったらしい。ブチ切れるチケット確認のおっさん。

 


だがここで負ければ理不尽な扱いを受けて警察に行くか、多額のチップを請求されるのは目に見えている。負ける訳にはいかない。怒鳴り散らして対抗する僕達。

 


30分ほどの戦いの末、もう好きにしろと言わんばかりの態度になったおっさんを横目に睨みながら、僕達は荷物預かり所を去った。

 


バイタクの場所に戻ると、運転手は巻きタバコを吸いながら僕達を待っていた。臭いを嗅いでわかった。絶対これガンジャやな。

 


バイタクに乗り込み、お腹が空いたと言うと、運転手は巻きタバコ吸いながら、それなら美味い飯のあるレストランがあるよ。と答えてくれた。きっと彼もマンチなのだろう。ハンドルを切る動きが大層鈍くなっていたのが心配だったが、無事に僕達を乗せてレストランにたどり着いた。交渉の末、僕達がレストランで食事している間にガンジャ仕入れて来てくれるらしい。

 


僕達はレストランに入った。

キンッキンに冷えたビール。

旨味のあるカレーとバターライス。

香草と練ったカバブ

どれもが僕達を幸せにしてくれた。

 


お腹いっぱい食べて、1人3000ルピー。やはり原因はビールが高いからだった。それでも満足したから不満は無かった。僕達はレストランの外でトランスを流しながら牛を見ながら、ひたすらに運転手とガンジャが来るのを待った。

 

ナイスなフォト。

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そしてトランスと牛。

 

 

 

遠くからバイタクのエンジン音が聴こえてきた。眺めると見覚えのある運転手。ようやく戻ってきてくれた。

袋に無造作に詰められたガンジャはかなりの量だった。金額は忘れたが、エアロシティーよりも破格に安かった。

一本巻いて、みんなで回す。

 


牛が鳴いた。

のそのそと動いている。

もうすぐ、日が沈む。

 

 

 

 

 

僕らは移動しなければならない。

あまり時間に余裕が無かった。

 


キャリーバッグなどの大きい荷物をツーリストハウスに取りに行く。

列車の券は取れるのか、宿の主人に聞くと、もう当日の券は無い。とのことだった。ふっかけてるのかもしれないが、パソコンのモニターを見る限りでは本当に当日では取れないらしい。あと一泊すれば良いよ。とも言われたが、断った。そんな時間に余裕はない。

 


バイタクの運転手に聞くと、それならバスで行けばいい。と答えた。バスならまだ空きもあるだろうし、値段も安いよ。とのことだった。すぐさま決めて、バスのチケット販売店に行った。

 


1人600ルピーくらいだったと思う。

それで次の街バラナシまで行ってくれるそうだ。たしかに安い。どんなバスかもわからないが、もうなるようになるさ。

 

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わりとちゃんとしたバス。当たりだ。

餌を求めた動物がウヨウヨと集まってきていた。

 

中に入る。どうやら2人一間と1人一間で別れるらしい。中めっちゃ狭い。絶対にホモっぽいから1人で寝たい!!

僕らは拳を振るいながらジャンケンをした。

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結果、負けた。

僕とJ君が同じ一間になった。畳一畳分くらいのスペースに荷物を足元に置き、身体を寄せ合いながら横になった。足元のモニターは誰かが蹴破ったのか、バリバリに割れていた。足を伸ばすと確実に刺さる。

 


これマジかよ。これで朝までかよ。そう思ったとき、バスがエンジンをかけ、動きだした。けたたましいクラクションを連発し、ひっくり返る!と思うくらいのGを身体中で感じながら、

僕達の旅はまだまだ続いた。

 

 

 

つづく。

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語2


10月27日22時過ぎに僕らのタイ航空はインディラ・ガンディー空港に到着した。外に出ることなく通路に入っていくので暑さはよくわからない。

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かなり長い通路を抜けて、今回の旅の難所、アライバルビザの発行へ。

 


もともと日本でインド大使館に行ってクソみたいな手間のかかるビザの取得を済ませてからじゃないといけなかったのが、昨年?あたりから現地でそのままビザがとれるようになったらしい。そんなアライバルビザは日本人くらいが恩恵を受けられるらしく、なんだ、インドいいやつやんっ。ってなった。

 


ビザを取得して手荷物のベルトコンベアの列に行くと、僕たちだけ遅かったからか、J君のトランクとT君のバックはすでに床に転がっていた。誰かが持って行って盗まれても文句ひとつ言えないセキュリティ。インドの洗礼ってやつですか。

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※実際の写真

 


両替のレートは悪いらしいがよくわらないのでとりあえず2万円くらいをルピーに。それから今夜の宿は空港から隣駅のエアロシティ周辺で探すことにした。

 


トリバゴでなんとなく相場とホテル街の位置は把握していたけれど、もうここは日本でもタイでもない!せっかくインド来たんだからと、現地でホテル探しすることに。

 


1人30ルピー、45円くらいでかなり機嫌の悪いスタッフと睨み合いながらも地下鉄に乗り、10分弱。ようやく僕らはインドの外の空気を吸った。

 


運動場の砂埃みたいな埃っぽい空気。湿気はなく、涼しい。

 

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しばらく大通り沿いに道を進んでいく。環八とか246の横を歩いてるイメージでOK。けたたましいクラクション。黒い排気ガス。ヘッドライトに照らされた乞食の少年少女。

 

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「プリーズマネー」

裾を掴んでどこまでもついてくる子供達。すごい戸惑ってしまったけれど、断り続けた。

 

道路を渡り、ホテル街へ。道路沿いにはいかにも綺麗なホテルが立ち並ぶ。一泊1人3000ルピー。4500円。そんな贅沢な旅をするつもりは全くなかった。

どこも高そうで戸惑っていると、どうやら横道に入った裏路地に入ると安宿が多くあるようだった。

路は電灯もなく、暗闇で、野良犬の目だけが光っている。


何人もの客引きが、BARだのホテルだのと声をかけてくる。ぼったくられるのが関の山。僕らは無視してホテルを当たってみる。木の戸を押すと土壁のような入り口に店主が。照明には見たことない種類の虫が飛び回る。

 


1人500ルピー。店主は言った。

しかし宿が汚すぎて僕ら3人は閉口した。他にもあるだろう。僕らは表に出た。

 


さっきまでの客引きは諦めたのか、1人だけを残して、皆去っていた。

肌は浅黒く、茶髪、他の客引きよりもかなり上手な英語を使ってくるその少年に、なんとなく好印象を持った。

まぁ結局僕は英語全然わからないからJ君とT君に話をしてもらった。なんか割とコスパの良さそうな宿があるらしい。

 


僕らは彼に着いていくと、すぐ近くのホテルを指差し、そして入って行った。

料金は3人一部屋で、1人日本円で800円でいいとのことだった。およそ500ルピーちょい。中を見てから決めよう、と言ったがなんだか勢いでもう決めてしまっていた。もうなるようになるさ。

 


部屋に入る。割と綺麗。

窓際の小型のエアコン、テレビ、ダブルベットが一つ。トイレ、シャワー。申し分なかった。と思ったら早速申し分あった。シャワーの水がめっっちゃ弱い。

 

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マジかよ、ってなったけどやはりこれがインドなのだろう。結構高いテンションで写メを撮った。

 

とりあえず外をぶらぶら歩いてみるか、と思い外へ。来るとき見かけたセブンイレブンに向かった。

 

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中はこんな感じ。インドらしくカレーも売ってある。レッドブルマウンテンデューもあるが、値札が無いので買わないといくらかわからない。夜間には入り口に銃を構えた警察が立っていて、レシートの確認、ボディーチェックが行われる。すごいなぁ、日本なんて夜のセブンの入り口はヤンキーとアル中しかいないのに。

 

 

 

そそくさと買い物を済ませ(みんなレッドブル)表に出るとまたさっきのホテルを教えてくれた少年がいた。すでにT君と意気投合し、めっちゃ仲良くなってる。どうやらガンジャ欲しいか?みたいな話らしい。酒は?と聞くと酒の方がどうやら手に入れるのが難しいらしい。ガンジャ3グラムくらいで1000ルピー。とりあえず買ってみた。ホテルに戻るとホテルのボーイが、俺が巻いてやるよっ!ってなんか粋がってきた。

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水耕ではないので、土がついている。それを丁寧に取り除きながら細かく擦っていく。巻く用の紙もすぐ近くで売っていた。タバコの葉を混ぜて、いざ吸ってみる。マズイ。かなり、マズイ。そういや僕、タバコ吸わないからこれ無理だわ。ってなった。

 


それでも2、3本巻いては吸ってみるとあら不思議!とってもいい気分に。

お酒飲んでるのと同じ感じ。ただ煙っぽくて喉が少し痛い。

「ビールもあるぞ。」とボーイが勧めてきた。中瓶一本250ルピー。裏ルートだからか、高い。が、俄然呑みたい。頼んでしばらくするとキンキンに冷えたビール瓶が出てきた。インド最高やん!結局朝までに4.5本飲んだ。

 


そしてここで日本から持ってきた幻のトランプの登場。実は今回の旅行の前に僕だけ、大阪→神戸→奈良→京都→羽田→タイ→インド というハードな旅になっていて、神戸のオカマBARの名刺をババの代わりにしてババ抜きしたい!と道中ワクワクしながら持ってきたのだ。

 

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笑ったらアウトのルールでババ抜きしていくんだけど、もうみんなバッチリ愉快な気分なので笑いが止まらない。

吸って、飲んで、笑って、気がついたらもう朝の5時だった。最高の夜だ。

 

 

 

10月28日昼の12時ごろ起床。

ションベンみたいな色と勢いのシャワーを浴びて準備を整えたら、外へ。

 

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明るくなってホテルの外観を見るとそのボロさが滲み出ている。韓国旅の時もそうだったけど、夜泊まると翌日見る宿の外観の見すぼらしさに鳥肌が立つ。


話し合いの末、今日の目標はエアロシティから地下鉄でニューデリー。列車の券を買ったらバザーを見に行こう、という流れだ。

翌日の最高の気分もあって、今日もなにかいいことあるかもしれない。そう思った時だ。

 

路上の売店で声をかけてきた。

「ビールがあるぞ」と。

 

インドのお酒事情は、州によっては飲酒が禁じられている。地域によっては合法なところもあるが、販売されてではなく、BARや飲食店などの限られた場所のみだ。それなのに、いま昼間っから売店にビールがあるという。こんな奇跡みたいな話はない!やはりツイているぞ、と思い二本買って400ルピー払った。

 

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ノンアルやないかい!!!

 


ノンアル二本で600円は高すぎるぅぅ。

 

 

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落ちたテンションをエアロシティのマスコットキャラは「どんまいっ」と言ってくれているようだった。

 


再び地下鉄でニューデリーへ!


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ここが都市ニューデリーの駅正面。

バスとタクシーが無造作に走り、その間を人と野良犬が縫うように歩く。

 


カウンターにはどれも長蛇の列があった。ツーリスト用の窓口がどこかにあるはずなんだが…どこだろう??

近くの警官や窓口の人に聞くと皆、

「あっちだぜ!」

って指差すんだけど、それが毎回バラバラで、どうやら皆かなり適当に教えているらしかった。いやきっと、誤解されて違う説明をしているだけなんだ!と信じたかった。

 


途方に暮れ1.2時間。T君が執念の甲斐あってようやくツーリスト用の窓口を見つけてくれた!ありがたや。

 

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どうやら建物を抜け長いプラットフォームを渡り、その先の建物を抜けた先の二階こっそりとあった。絶対わかるか!!こんなもん!!

とまぁ、なんとかアグラ行きの2等列車席を買うことができた。夕方18時30出発の便で1人50ルピー。75円。

 


よし!という感じでこれから電車までの時間は近くのバザーを見に行くことにした。

 

駅からバザーまでは歩いすぐの距離だった。遠回りしたくなくて、路地裏の中を抜けていく。

 

表の通りから一本入ると、ゴミの山だった。混沌。

 

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ゴミの中に住む人。

 


カラスと食べ物のゴミを奪い合う7.8歳の女の子。

 

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衰弱した犬。

 

 


旅の本とかYouTubeとか沢山見てきたけれど、やはり現実に目のあたりにするとレベルが違う。

 


5分程歩いてバザーのメイン通りに出た。なんだか死の淵を垣間見てきたから、バザーの活気はまるで命が漲っている様に感じた。

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数百メートルは続いているであろうこの通りには、ツーリスト用の物がメインで売っていて、衣服、民芸雑貨、とりわけターバンやストールといった生地が沢山売ってあった。

 


J君は一目惚れした黒革の鞭を即購入し、嬉しそうにピシッ、ピシッと降っていた。どういう使い方をするのかが、楽しみだ。

僕は手ブラで来てしまったので、どうしても着替えの服を入れるバックが欲しくて、オッサンから購入。250ルピーだったので120ルピーまで値切ったら、アンタはノーブララザーだよ、と笑っていた。値切ってもぼったくっても、済めば後から文句を言わない。それがこの国の商売の気風なのだろうか。

 

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時刻が迫ってきた。僕らはまだ心残りのあるバザーを後にして駅へ。ホームには座りこんでいつ来るとも分からない列車が来るのをのんびりと待つ人達。


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ちなみにこの光景は日本では日曜日の始発ごろの大江戸線六本木駅でも観れる。

 

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恐らく合っているであろう電車に乗り込む。

向かい合わせの三段シートになっていて、壁に書かれた番号のところにとりあえず座る。すぐにインド人夫婦が相席になり、場所が違う、と言われてしまう。チケットを見せて話をしてみると、どうやら場所はあっているが、相席なので僕らはもちっと詰めて座らないといけないらしい。アグラまで3時間程だから、まぁ仕方ない。

 


それから彼ら夫妻とぼちぼちと話をしてみると案外優しいご夫婦で、降りる場所に着いたら教えてあげるよ、との事だった。

 

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一人分のスペースはこれくらい。

 

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移動販売のカレー。100ルピー。ノンベジで頼んだのでチキンが入っている。ちなみにこれがインドで食べたカレーで三本の指に入る美味さだった。

 

食べ終わったゴミはどうしよう、とあたふたしていると相席の夫婦に、

「窓から投げて捨てるんだよ」

と言われた。これがこの国の国民性ってやつですか。だからゴミが多いんだよ。

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また別のカレーが来たのでこれも買う。150ルピー。3種類のカレーが入ってるけど、全部味が似ていて差がない。全く美味しくなくて、半分くらい残した。

 

 

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寝台の上によじ登って横になる。

車内の喧騒、列車の音、扇風機のカタカタという音。

インドといえばカレー。くらいの知識と、知ったかぶりしていたインド観念を毎日毎瞬覆されながら日本の国についても考えてみたりした。

 


ぼんやりとしながらも、列車は次の街アグラへと走っていく。僕は期待に胸が膨らんだ。

 

続く。

 

 

印度放浪記 ガンジャとカレーと深夜バスの物語1

 

 

 

 

キィ、キィ、ザプン…

 


聴こえるのは櫂の軋む音と小さな波とボートとが微かにぶつかり合う音だけだった。朝6時。岸辺には色とりどりの衣を着た人達が祈り、体を清めながらも、今にも登るであろう日の光を待ち望んでいた。

 


風も穏やかで、ガンジスの水面はまるでCGグラフィックの様に規則的に、そしてゼリーの様に弾力があり、なんとも判別つかない鮮やかな色をしている。

 


根元ギリギリまでガンジャを回して吸った。ゆっくり、息を吐く。煙が空に昇る。景色がかなり鮮明になる。色が濃くなっていく。その時だった。

 

 

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日が昇った。なぜガンジスの人々が神を信じて生きているのか、少しだけ分かった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、という訳で今回は10月25日~11月5日までの12日間に及ぶ日本→タイ→インドの放浪の旅の物語。

 

 

 

10月25日、夜の11時、羽田空港国際ターミナル。

これまで何度か海外に行ったことはあるものの、羽田空港から海外に行くのは初めてだった。偶然格安航空券を探していたときに、成田と同じ価格で行きの便だけが羽田発だったので、迷わず選んだ。

 


出発は明日26日の朝10時35分。

んっ?無駄に来るの早くないか?と思った人もいるかもしれないが、それには理由があった。

 


今回の旅は前回の韓国放浪記とは違い、僕と仲間2人を連れた3人での旅。

「J君」と「T君」だ。ほんとはどっちもJだけど、わからなくなるので変えておいた。

 


この2人がなかなかの浮世離れで、時間を守ってくれる保証が全く感じられなかったのもあって、今回は前日から羽田空港乗り込み、そのまま朝まで過ごせば流石に遅れない、と踏んだのだ。

 


ただ、この浮世離れ達が海外でみせてくれるであろう化学反応に僕は期待で胸が高ぶってもいる。

 


1階のLAWSONで酒を買っては飲みを繰り返し、酩酊したら4階のモスバーガーをかぶりつく。車椅子で遊びながら屋上テラスに出る。しばらく日本ともおさらばだ、と思うと、なぜか平凡で星も大して見えない夜空にも愛着がでてくる。

 


4階にある日本橋という橋のデザインの通路の脇で、僕ら3人は眠りについた。一応人に聞かれたら、日本橋に泊まった。と言って良さそうだ。

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10月26日

硬い床が深夜になると更に冷たくもなってしまいなんとも寝心地の悪い夜だった。ただ、前の職場の先輩が「インドならこれ持ってけよ!」とふざけて渡したホッカイロがここでまさかの大活躍を果たし、辛うじて寒さを凌いだ。ただ、夜間の屋内の工事現場がめちゃくちゃうるさくて、ほとんど眠れていない。

 


朝の8時ごろになると、ぞろぞろと仲間達も起き出す。すぐ脇のモスバーガーでコーヒーを啜り、屋上テラスへ。

 


冷たい風が吹き抜けるものの、目が覚めてちょうどいい。T君には欲しそうにしていると思ってクーリッシュのバニラ味をあげた。彼は喜びのあまり涙を滲ませながら美味しそうにクーリッシュを飲んでいた。見ているこっちが寒くなった。

 


チェックインを済ませ、携帯を充電しながら待っていると、10時20分。結構ギリギリな時間に。慌てて手荷物検査をくぐり抜け、早足でゲートへ。こんなに早く来ておいて僕らが一番遅くゲートに着いたらしい。

 

シートの予約もできていなかったけど、3人とも並びだった。スカイチケットの奴ら、上手いことやってくれてたらしい。


時刻通りに機体は動き出し、そして、日本の地を離れていった。


フライト時間、6時間半。時差があるので、タイに到着するのは15時前後。

タイ航空はわりと乗り心地が良い。僕自身、そんなに数多の航空会社に乗った訳じゃないので、あまり参考にはならないだろうが。機内で配られたタオルケットはこの旅先で必要だと思い、ちゃっかり拝借する。


飛行機で暇を持て余すと思って一応本も持ってきたけれど、眠気でヨメズ、されどネレズ、宮沢賢治的な気持ちで結局座席についているモニターで映画を2、3本観た。デッドプールの1.2作と忘れたけどスパイ映画。疲れもあって、とても長く感じた。

 


ようやくタイのスワナムンプール国際空港に到着。機体から降りてバスへ。ムッとする空気。アジア特有の高温多湿で一気に首筋から汗が流れる。それでもテンションが上がったせいか、疲れは吹っ飛んでいた。

 


入国審査を受け、ニコチンの切れた仲間たちはそそくさとタバコを吸いに表へ。それからスワナムンプール空港の電車に乗り込み、バンコク市内の宿を目指す。

タイはトランジット時間を伸ばして立ち寄っているだけなので、インド行きの飛行機は翌日の夕方17時55分。あまり遠くへ観光もいけないので、バンコク市内にあらかじめ宿を取っておき、近場でタイを感じようじゃないか、そらよかタイ、といった感じだ。

 


1時間ほど電車に揺られ、僕らはバンコク市内に到着。ナナという場所で、バンコク市内ではバッポン、ソイスクンビットに並ぶ夜遊び街になっていて、観光地全開の程になっている。移動続きと高温多湿で体の疲労はなかなかのピークを迎え、ホテルに入る。予約を確認して部屋へ。駅へのアクセスと、まぁ初日にタイで乞食宿みたいなところはさすがにいいやと思い、1人あたり1800バーツのホテルに。なかなか快適な宿。

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荷物を置き、シャワーを浴びたらまた元気が出てきた。3人で表へ出た。まずはこの旅に必要な衣服を買わなくては。

外の天気が怪しくなっていて、スコールが来るかな?と思ったけれど、小雨。日本から履いてきた裏面ツルッツルのやっすいスリッパで何度も転びそうになり、死の危険を感じながら近くの店へ。Tシャツやサンダルも数多く売ってあり、僕とJ君は購入。履いていたスリッパはもう要らないのでお店に脱ぎ捨てていった。

 


それからナナプラザで酒を浴びるように飲む。ハイネケン一杯200バーツ。日本円で600円くらいだから日本ともう値段も変わらない。現地の酒でもないので高い。

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酩酊しながら3人移動し、ビリヤードのあるバーへ。

一回250バーツだと聞かされ、高すぎだろと思いつつ二度ほどプレイしていたら、25バーツとの聞き間違いだったと分かった。酒ももう充分だったので、店を出て、通りに見かけたラーメンを食べに行くことにした。

数多の声かけとオカマ達。途中いきなりオカマからちんこ触ってくれって言われて服の上から触ったらめっちゃでかい息子さんだった。せっかく大きいのに、なんてくだらないこと考えてたら1000バーツで寝ない?と聞かれた。ムリっす。

その後も幾度となく襲いかかるオカマを避けながら屋台へ。1人50バーツ。150円。それとソーセージ焼きもあった。一本25バーツ。

野良犬と声かけがうるさかったのでそのまま大通りにでて道端で汁を啜った。味は鳥の出汁がよく出ている春雨ヌードルといった感じ。ネギの臭みがあったけど、かなり美味かった。ただ強烈に辛い。3人揃って汗が滝のように流れた。ソーセージの方は、なんか身体にいかにも悪そうな油の味がするサラミみたいで、僕は受け付けなかった。

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汁を啜りながら目の前の大通りの喧騒を見ていると、スッゲー、アジアだな。と語彙力の無い感想が浮かんだ。

 

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僕らはそれぞれ部屋に戻り、汗をシャワーで流し、眠りについた。

 

 

 

10月27日

起きたのはもう昼の12時ごろだった。

酒をかなり飲んだ割に二日酔いにはなっていなかった。それよりもやっとしっかりとした睡眠が取れたからか、かなり体調は良かった。

 


Tはもうすでに起きていて、部屋に行くと音楽を流しながら気持ち良さそうに朝の一服。Jはまだ寝ているかもしれなかった。あまり遅くなってしまうと、飛行機の時間が迫ってしまうので、早いうちにチェックアウトしてもう少し、バンコクでぶらぶらとしたかった。そんな時、T君が僕に言った。

 

「あの、お金ないんで借りていいですか?」

 

最初聞いた時、んっ?ってなった。何を言っているのかな?と。聞いてみるとどうやら旅費をもう全部使ったらしい。驚きを通り越して笑いしか出てこなかった。さすが、T君。彼を見ていると、自分の心配性とか神経質さがかえって可笑しくなってくる。

 


部屋の掃除を回っている掃除のおばちゃんが廊下にいたので、「友人の部屋を開けてくれ!」と頼んだ。ほいほーいとおばちゃんは確認もなしにマスターキーでガチャガチャとドアノブを回して開けた。セキュリティもクソもない。

 


部屋の中を覗くとJの姿はない。バンコクに惚れて、いわば駆け落ちのように失踪したのだろうか。僕のことはもう置いて、インドに行ってください。僕は一生バンコクに残ります。そう語るJの姿が脳裏に浮かんだ。

 


が、トイレを開けたらウンコしているだけだった。セキュリティは無いが、確かにクソはあった。

 

 

 

無事チェックアウトを済ませ、観光するから荷物だけ置かせてもらい、僕らはまたナナプラザ周辺をぶらつく。

とにかくお腹すいたので、ちょっと良さげなレストランに入る。

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キンキンに冷えたビールが出てくる。そのほかの海老春巻きとかチャーハンとかカルボナーラとか、どれを頼んでも最高に美味くてびっくりした。もちろん現地人は高くて食べないのだろうけれど。3人で3000バーツ。9000円と高かったが、構わないくらいに美味かった。

 


同じ通りを進むと、タトゥースタジオがあった。もっと崩れかかったトタン屋根みたいなところでタトゥーいれて欲しかったんだけれど、期待を裏切るようにかなりの清潔感だった。日本にもこの規模のスタジオは無いだろう。

 

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JとTはデザインを決めた。Jは今回が人生初のタトゥーだった。左腕にチベット密教の文字。Tは幾何学模様っぽいシンプルな薔薇。

飛行機の時間が迫っていたので、あまり大掛かりなデザインは出来なかった。インドに行きたいのにここで飛行機に乗り遅れるなんて事だけは避けたかった。

 


デザインが固まったところで、僕はタトゥーを今回入れるつもりはなかったので表へ出て、マッサージに行った。

 


タイのマッサージはとにかく安い。

1時間300~400バーツくらいなので、1000円弱で受けられるし、結構上手い。

 


1時間程マッサージを受けて、そろそろあの2人もタトゥー入れ終わってるなー、と思いながらスタジオに戻ったが、なんとTだけがタトゥーを入れていて、これからJのタトゥーが始まったところらしい。てっきり同時に始めていると思っていたので、かなり焦った。飛行機は17時55分。空港まで1時間程かかるのに、すでに15時を回っていた。空港での検査うんぬん考えるとヤバそうだった。

 

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が、さすがにタトゥーを入れ始めたところで、途中で辞めさせるのだけはあまりに可愛そうだった。しかも始めてのタトゥー。もうなるようになるさ、と思いながらスタジオにあるチュッパチャプスを舐めた。あまり美味しくない。

 


40分程でタトゥーが完成した。なかなか綺麗に入っていて、タイでも充分なクオリティなのだと知った。時間は16時30分。昨日の電車のルートだと間に合わない。なので、最短距離で空港を目指す為に中間の駅までバイクタクシーで行くことにした。おそらく15分くらいは早くなる。

 


僕らは急いでホテルに荷物を取りに戻ってから近くのバイクタクシーの運転手と交渉し、バイクの荷台に乗った。

 

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三台のバイクにそれぞれが乗り、颯爽とバンコクの街を走り抜ける。信号は無視。当たらなければ良いらしい。僕は手荷物が少なかったけど、Jはでかいキャリーバッグを肩に担いでなかなかバンコクに馴染んでいた。こういった移動をしてなかったので、スリル満点、かなり楽しい。

 

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駅に到着してしばらくすると電車が来た。この調子だと17時半には空港に着く。なんとかなりそうだ。

 


空港に着いてチェックインを済ませ、荷物を預け、搭乗口に向かう。途中ヤバめなモニュメントがあり、写真撮っていくくらいの時間の余裕もあった。

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よく、「2時間前には空港に到着しておいた方がいい。」なんていうけど、全然そんなこと無さそうだ。20分くらい前に着けば充分だと学んだ。

 


振り返ると刺激的であまりにも長いバンコク滞在だった。これで旅行終わりで日本に帰るとなっても充分なくらいの密度。これから旅は始まったばかりだということが信じられずにいた。バンコクの思い出とインドへの期待を乗せた飛行機はバンコクの地から飛び立った。

 


という感じで、つづく。